第十三回ご隠居横丁句会
二〇〇六年四月二十七日(木)午後七時開会 銀座「浜伸」
第十三回句会を右記日時、場所で開催しました。
兼題は「竹の秋」「鞦韆」「朧」=青軸出題
参加者は荒谷黄昏さん、吉田鉄井さん、井上青軸の三人。
内藤呈念先生は投句参加。五句選、秀句二句に講評でした。
兼題の部
黄昏選
@これはもうしづかな爆発樟若葉
〈評〉これはもう、と驚きを切り出し、静かな爆発と意表に出る表現。最後の落ちで、かぐわしい若葉が広がる。巧みな技である。
A権太坂自転車押す子竹の秋
〈評〉権太坂がどこにあるのか知らないが、見るからに険しい坂。そこを一所懸命自転車を押してゆく子ども。竹はすくすく伸びる。それを見守る親心を表している。
・朧なる記憶の向こう燗の湯気
・光にも重さあるらし竹の秋
・三日月も太つてゐたる朧かな
鉄井選
@光にも重さあるらし竹の秋
〈評〉竹の秋の題は難しく、私は想が得られず、どつぼにはまった。「光に重さがあるようだ」という表現は、この季節の光のぼんやりとした感じを、よく見つけた。
Aこれはもうしづかな爆発樟若葉
〈評〉「これはもう」という言葉、感情を直接入れるのは、使わないものかと思っていたが、熟練した人の言葉の力を見せられた。驚きをシンプルに発見したことに尽きる。
・芝桜一十百千億の花
・人無きをたしかめぶらんこ乗つてみる
・三日月も太つてゐたる朧かな
青軸選
@前方もまた後方も竹の秋
〈評〉前方に続き後方、とくればどうしても古墳を連想する。竹林の中に分け入って、周りすべてから竹の秋を感じたというのだが、連想を呼ぶ言葉を巧妙に使い、奈良、あ るいは京都などの古墳の春を思わせた修辞が見事だ。
A人無きをたしかめぶらんこ乗つてみる
〈評〉おとなが、人の多い公園のブランコに乗るのはやや気恥ずかしい。周りをみながら乗ってみる。「ああ、これこれ」。こんな感じでブランコを漕ぐんです。
・これはもうしづかな爆発樟若葉
・朧月子のすねの傷かさぶたに
・袖揺れて紬が歩む竹の秋
提出句一覧
呈念
・空少しひらけ嵯峨野の竹の秋
・前方もまた後方も竹の秋
・人無きをたしかめぶらんこ乗つてみる
・朧夜のおぼろの母は九十四
・これはもうしづかな爆発樟若葉
黄昏
・袖揺れて紬が歩む竹の秋
・ぶらんこや立って風切る得意顔
・円山の枝垂にかかる朧月
・朧夜に面影重なる花みずき
・朧の夜三余も鈍る書斎かな
鉄井
・ネクタイのほころび直す竹の秋
・ベランダで酢飯扇げり竹の秋
・咲く花も散ると気付けり竹の秋
・ぶらんこのくさり夜風と戯れり
・朧なる記憶の向こう燗の湯気
・朧月子のすねの傷かさぶたに
青軸
・権太坂自転車押す子竹の秋
・光にも重さあるらし竹の秋
・こゑ通りブランコやがて揺りやみぬ
・三日月も太つてゐたる朧かな
・芝桜一十百千億の花
この日前後、関東では風邪が流行し、呈念先生と擬宝珠さんが急に出席出来なくなりました。そのため、趣旨を鉄井さんの文化部復帰歓迎とし、席題の部は省略しました。