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2005年1月20日(木)午後6時半開会 於銀座「杉林」
荒谷たそがれ先生が施主となり、定席で開催しました。
参加者は、内藤呈念先生、吉田鉄井先生、青軸の4人。高橋なには橋先生は欠席投句でした。
兼題は「ぞうに」「初夢」「水仙」。いつものように兼題3句に当季雑詠2句を加えた5句提出です。
選は5句、うち秀句2句に講評も同じでした。
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呈念選
@初夢の夢をまくらに二度寝かな (青軸)
<評>初夢をみてその内容を思い浮かべながら寝直したというのである。おもしろい発想。夢の中身を言わないのもいい。
Aお雑煮や歯にこびりつく餅の味 (鉄井)
<評>以前の句会で出た七五三の草履の句と同じように実体験を感じさせる。実感がこびりついた表現に新鮮さを感じた。舌の上で餅を転がすような様子も浮かぶ。
・水仙や春告げ島の淡き恋 (たそがれ)
・初夢やわが転生の山桜 (なには橋)
・水仙の花雪折れに風折れに (なには橋)
たそがれ選
@水仙のかたまり咲きてなほ孤独 (呈念)
<評>水仙はまとまって咲く。にぎやかなのに寂しいとは矛盾を詠っている訳だ。高価な花がいくらもある中で、その辺に咲くただのような花の哀しみ。それを表現したものととった。視線の深さを感じる。この句は迷わず選んだ。
A初夢の夢をまくらに二度寝かな (青軸)
<評>夢という言葉が二カ所でてくるところは技術的に稚拙とも思うが、ユーモアが感じられる。
・初夢を目覚めて反芻苦笑い (鉄井)
・水仙の早き一輪歳詰まる (青軸)
・角餅にイクラと菊菜初春かほる (青軸) <初春=はる>
鉄井選
@初夢の夢をまくらに二度寝かな (青軸)
<評>二度寝は気持ちがいい。そして二度思い出す夢も心地よい。幸せの風景。こんなところ、やられたなと思う。夢をまくら代わりにいう表現は微笑ましい。
Aお歳暮に貰ひし一ノ蔵屠蘇となる (青軸)
<評>字余りだが、年をまたぐ実感を感じる。たった一ヶ月しかたっていないのにあの暮れの酒がおとそに変身する。暮れと新年をつないでいる。これは私の実感でもある。
・心臓にまた皺くはえ初句会 (青軸)
・雪富士や電車は一つ遅らせやう (なには橋)
・添へられし雑煮のレシピふるさと便(呈念)
青軸選
@一輪の水仙すっくと革まり (たそがれ) <革=あらた>
<評>「すっく」に姿勢正しい清らかな水仙の立ち姿がよく表されている。群れで咲く花だが、早咲きの一輪もよくみる。写生が見事。「革」の訓読みをいま知りました。
A添へられし雑煮のレシピふるさと便 (呈念)
<評>ふるさとから届いた餅だろう。雑煮はふるさとの数だけある。味も調理法も違う。母親が入れてくれた「レシピ」。その一語に宿る「いま」が句に命を吹き込んでいる。
・初夢やわが転生の山桜 (なには橋) <転生=てんしょう?>
・親なれば子なれば雑煮盛りにけり (なには橋)
・水仙のかたまり咲きてなほ孤独 (呈念)
提出句一覧
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呈念 ・紛ふなき母系社会や雑煮味 <粉ふ=まごう> ・添へられし雑煮のレシピふるさと便 ・初夢のまたも追はるるとこで覚め ・黄味色の吐息水仙ついてをり ・水仙のかたまり咲きてなほ孤独 |
なには橋 ・ざふにの餅に餡褒貶のこゑ明るし ・親なれば子なれば雑煮盛りにけり ・初夢やわが転生の山桜 ・水仙の花雪折れに風折れに ・雪富士や電車は一つ遅らせやう |
| たそがれ ・味噌仕立て浪速の本音雑煮にも ・初夢や墨黒々と幼き日 ・初夢や墨で感じた幼き日 ・一輪の水仙すっくと革まり <革=あらた> ・水仙や春告げ島の淡き恋 |
鉄井 ・お雑煮や歯にこびりつく餅の味 ・お雑煮の具ばかり食べてさあ餅だ ・空を飛ぶ初夢今年は翔んでやる ・初夢を目覚めて反芻苦笑い ・水仙の風にふるえて右左 |
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青軸 ・角餅にイクラと菊菜初春かほる <初春=はる> ・初夢の夢をまくらに二度寝かな ・水仙の早き一輪歳詰まる ・お歳暮に貰ひし一ノ蔵屠蘇となる ・心臓にまた皺くはへ初句会 |
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「煮凝」「スキー」「寒鴉」の3つに対して5句提出。5句選。
呈念選
@わが骨も煮れば煮凝になるならむ (青軸)
<評>類想を許さないような感じの発想。なるならむの推定の表現もマッチしている。
Aこの重さがあとで羽になるスキー板 (鉄井)
<評>現在は宅急便で送るが、スキーは滑るとき以外は邪魔物以外の何物でもない。しかし、重さを耐えて持ち運びゲレンデに立った瞬間、それは羽に変身する。実感がこもった作品。
・寒鴉ブリューゲル描いた中世よ (たそがれ)
・ベランダで猫と向きあふ寒鴉 (鉄井)
・寒鴉羽ふくらせてゐたりけり (青軸)
たそがれ選
@煮凝のぷるんと旨味を封じ込め (鉄井)
<評>副詞の「ぷるん」にふるえて、この句を選んでしまった。確かに「ぷるん」には味を封じ込めた感じがこもっている。
A煮凝の底からにらむ目玉かな (呈念)
<評>にらんでいるのは尾頭付きの魚の目だろうか。固まった煮凝の下にある目。ぎょっとさせられた。
・煮凝の溶けて舌の根笑ひをり (呈念)
・迎酒煮凝の鉢さびしかり (青軸)
・鳶まねてあはや失速寒鴉 (呈念)
鉄井選
@ままならぬもの叡山の僧スキー板 (青軸)
<評>即興でないと出てこない句。スケールのある比叡山の坊主から身近なスキーへ落とす落差にうまさ。人生を達観した余裕も感じた。
A迎酒煮凝の鉢さびしかり (青軸)
<評>昨日のどんちゃん騒ぎが、朝起きたら煮凝って固まっている。発見はよかった。ただ、「寂しい」と直接言った表現が稚拙だ。たとえば「傾きて」はどうか。実景を描写して寂しさを表したい。直接寂しいと言ったことが句の広がりを自ら限定してしまった。
・傾いて煮凝つてゐる冷蔵庫 (呈念)
・煮凝の底からにらむ目玉かな (呈念)
・煮凝の溶けて舌の根笑ひをり (呈念)
青軸選
@煮凝の溶けて舌の根笑ひをり (呈念)
<評>舌の根は乾くもの。「笑う」を持ってきた取り合わせ。発見の力。眼福というが、これは舌福か。うまいものに出合った幸福があふれている。
A雪上の二本の軌跡交はらず (鉄井)
<評>スキーと言わずに季題を表した。そのために、この軌跡はスキーにとどまらず「人間の軌跡」ともとれる。句に広がりと奥行きが出た。
・煮凝やかなわぬ恋を閉じこめて (たそがれ)
・寒鴉ブリューゲル描いた中世よ (たそがれ)
・寒鴉逝きて流す血赤々と (鉄井)
提出句一覧
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呈念 ・煮凝の溶けて舌の根笑ひをり ・煮凝の底からにらむ目玉かな ・傾いて煮凝つてゐる冷蔵庫 ・靴ずれにスキー担ぎて山を下り ・鳶まねてあはや失速寒鴉 |
たそがれ ・煮凝りやかなわぬ恋を閉じこめて ・スキー場コクドがしぼんで閑古鳥 ・八甲田スキーも縁なく雪に消え ・スキーと湯セットで売り込め旅行業 ・寒鴉ブリューゲル描いた中世よ |
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鉄井 ・煮凝のぷるんと旨味封じこめ ・この重さがあとで羽になるスキー板 ・雪上の二本の軌跡交はらず ・寒鴉名前をくれと啼きにけり ・寒鴉逝きて流す血赤々と ・ベランダで猫と向きあふ寒鴉 ・羽閉じて句でも詠めるか寒鴉 |
青軸 ・わが骨も煮れば煮凝になるならむ ・迎酒煮凝の鉢さびしかり ・ままならぬもの叡山の僧スキー板 ・寒鴉羽ふくらませてゐたりけり ・凍てし朝鴉の声もくぐもれり |