俳句のこと
    更新2005年12月18日(日)        俳句インデクスへ   トップページへ


第11回ご隠居横丁句会(忘年句会) 二〇〇五年一二月一三日(火)午後7時半、銀座8丁目「くはら」
 上記タイトルで句会を開きました。これはその「雑観」部分です。本記は句会記録のリンクからお願いします。

 7月に一周年記念句会を開いた後、衆院選など、なにかと忙しい日が続き、2年目の横丁句会の皮切りは、忘年会になってしまいました。 定席の「杉林」が予約で埋まっていたため、会場は「くはら」という別の和食の店になりました。
 決まったのが急だったため参加者は少なく荒谷黄昏さんと吉田鉄井さん、青軸の3人になりました。呈念先生は風邪をこじらせて欠席。初回から連続参加記録が途切れてしまいました。幹事の要領が悪くすみませんでした。
 兼題は「日記買ふ」「風邪」「河豚」。
 席題は「おでん」「漱石忌」。
 内容については省略しますが、季語を勘違いしたのがありました。
 青軸「トカトントン妻は津軽をむきにけり」で、秋の季題の林檎を冬と勘違いしていました。さらに「津軽をむく」では林檎の季題の代わりにはならないのかも知れません。このあたり、師匠不在の句会の危うさです。
 鉄井さんの「大根をほろり煮ほどくはし箸二膳」の大根は「おでん」の代わりになるのか、と鉄井さん自身が疑問を出していました。さて、どうなんでしょうか。ただ、おでんとして認められないにしても大根は冬の季語なので当季詠としては立派に成立しているわけですが。
 この句会の最大の発見は三人では句会は成立しにくいと知ったことでした。それは選句の際、一人が選んだ瞬間、作者がわかってしまうからです。自分以外の作者は二人しかおらず、自作以外が読まれたら、それは三人目の人の作品になる訳で、名乗りまで作者がわからないドキドキ感が失われます。清記の際、字で作者が分かる問題も比重が大きくなります。まあ、次回からは、きちんと調整してもう少し多人数で開きたいと思っています。

今回のトピックスは、横丁句会の1年間の記録が冊子にまとまったことでした。
句会記録十回分をまとめたほか、会の記録写真などを十枚収録しました。
表紙と裏表紙は俳句をするものなら必ずひとつは得ておきたい「雪月花」の三大テーマのひとつの花で、呈念先生が吉野へ吟行した時のものをお借りしました。
初版は十部で、作品が収録されている八人にお配りしました。
読み返してみて作品のレベルが決して低くないと、自画自賛したことでした。
発行後に間違いと不体裁が見つかり、近いうちにそれを修正した第二刷を刊行する予定です。


第10回ご隠居横丁句会(一周年記念) 二〇〇五年七月二一日(木)午後6時半、銀座「杉林」
 上記タイトルで句会を開きました。リンク先からご覧ください。
 句会記録
 いつも、ここには雑観を書くのですが、ここでは呈念師匠の感想をのせるだけにさせてもらいます。いつものメンバーがそろって出席していたのと、青軸が夏ばてで気力がなかったためです。お許しを。

「みんないろんなことをやり、一年経って落ち着いてきたが、なおその中で跳びはねる元気を失っていない」

初心のうちからまとまることだけを考えるようでは、先が見えていると、これは青軸の私見です。
では、祝一周年!!
 


第九回ご隠居横丁句会 二〇〇五年五月一七日(火)午後六時半、銀座「杉林」
 上記タイトルで句会を開きました。これはその「雑観」部分です。本記は句会記録のリンク
からどうぞ。

 前回の句会で話題に上った大庭さんが投句参加されました。
 
 ・切りすぎた髪もまた良し夏帽子
 ・二の腕に思わぬ日焼け梅雨晴れ間
 ・午前九時燕の親は今朝も留守

この三句が好評でした。呈念先生は「佐藤忠良の彫刻にも似てすっきりして清々しい」(選評)。
また、不参加だったなには橋さんも、句会記録を見て「二の腕の日焼け」の発見と、作品の上品さををほめておられました。
口語調も内容とマッチしているようです。意識して口語派という訳ではないとのことでしたが。
 大庭さんは、雑誌の仕事をしていたころ、盛んだった職場の句会に参加して腕を磨いたそうです。
作句歴は横丁メンバーの中では長い方に入るでしょうか。次回はぜひ生出席して欲しいものです。

 席題は、「枇杷」「梅雨」で、
 この中で鉄井さんの

 ・かかとから梅雨をじんわり感じをり

が全員から一席に選ばれる快挙を演じました。
呈念先生の「類句のできない句。(中略)こんな形で梅雨を詠んだ句は初めてである」
黄昏さんの「谷崎潤一郎ばり。淡いエロスを感じさせる。(後略)」
の評の通りだと思います。

 お断りですが、兼題に対する鉄井さんの提出句
 ・たてがみで雨ふり払え夏競馬
は、「雨降り払え」となっていましたが、意味からは「雨振り払え」と思われたので、
記録人の独断で「ふり払え」と仮名にしました。「降り」で正しいようでしたら直します。
 ついでに、横丁句会の一周年のあとには、全部をひとまとめにして記録としたいと思っているので、
訂正や改訂したいところがあれば青軸まで連絡下さい。

今回は、忙しい出来事が続き、雑観アップが遅くなりました。大分手抜きにもなりましたがご勘弁を。

次回は「ご隠居横丁1周年記念句会」として7月21日(木)午後6時半頃開会。杉林で。
7月6日に、日程等が決まりましたので、追記しました。


第八回ご隠居横丁句会 二〇〇五年五月一七日(火)午後六時半、銀座「杉林」
 上記タイトルで句会を開きました。これはその「雑観」部分です。本記は句会記録のリンクからどうぞ。

 横丁メンバーの職場は夜昼あまり関係なく仕事が発生する環境で、五人参加は久しぶりのことでした。高橋なには橋さんは二回目の生参加です。米原幌櫃さんは欠席でしたが七句の大量投句でした。
 兼題は「桜」「鯉幟」「鯖」。
桜の題が出たいきさつは、記録の方に書きました。一句は欲しい花の句ながら、支持を集めたのは鯉幟と鯖の方でした。
 ・あす汝と別るる鯖火見つめをり(はには橋)
 ・板前の包丁照らす鯖の肌(幌櫃)
 ・鯖鮨を切り分けたれば飯こぼる(青軸)
 ・鯉幟天守閣尾で払ひをり(呈念)
 ・地に降りて魂失へり鯉幟(鉄井)
など、評判になった句が多くありました。
 桜の句では
 ・かうもりにスパンコールの散り桜(青軸)
 ・みづうみや冷えたるがよき桜飯(なには橋)
 二句が〈評〉付きで選ばれましたが、先の二題に及ばなかったようです。
桜は詩情の塊みたいなもので、昔から読まれて独自性が出しにくいのかも知れません。青軸が気になったのは
 ・死んだらねお骨は桜の根のわきに(黄昏)
の「死んだらね」の表現です。「ね」に意表をつかれました。

 席題は「筍」「蚕豆」。メニューからの出題です。横丁句会では出た料理から選ばれることが多いのですが、瞬発力養成によいと、前に呈念先生が言われたように思います。
 ・地下足袋の足裏筍つんと突く(呈念)〈足裏=あうら〉
 ・蚕豆の端丁寧に母削る(鉄井)
 ・幼子の頬にそら豆あまりけり(青軸)
など。食べ物には、共感を誘う要素があるのでしょうか。

 今回すべて平仮名の句とすべて漢字の句が一つずつありました。
 ・さくらもてともだちだもとてもらくさ(幌櫃)
 ・楠若葉裸婦像林立公募展(呈念)
 幌櫃さんの「さくら」は、回文にもなっています。ただ、日本語として無理があるのか、ちょっと意味が取りにくいとの評価でした。「楠若葉」はプロですね。
 
 雑談中また季題が話題に上り「緋牡丹の刺青はなぶさの忍び泣き」〈刺青=すみ〉
の「緋牡丹」季題ではない、との指摘がありました。そういえば、季題は文化であって物と季節感と歴史の物語である、かつて「雁風呂」を例に教わったような気がします。
 青軸が選んだ
 ・母の日や花屋小走りに駆け抜けり(鉄井)
について、青軸は「花屋に寄るのももどかしく家へ駆け戻る孝行な子ども」を思い浮かべていたのですが、鉄井さんは同居していないような話で、花を通る日にその相手がいない寂しさを詠んだのだったのかも知れません。とんだ「名鑑賞」ですが、そっちでも、やはり選んだように思います。
 桜の題の話の中で、横丁職場の同僚が作句されると聞きました。
 ・花ざかりいまは父母のみの家
 Oさんの句です。素直な句と皆に好評でした。
 今度句会の案内を差し上げてみようかと思ったことでした。

 午後一〇時過ぎ散会。
 句会は七月で一周年になりますが、六月にもう一回開けたらいいと考えています。


第7回横丁句会 2005年3月27日(日)午後1時〜浜離宮庭園→浅草「むつみ」
3月定例句会は「花見句会」として上記日時場所で開催されました。句会記録は、例によって別途掲載したのでリンク先を見てください。施主&記録はたそがれ改め黄昏さんです。横丁句会初の吟行でした。
兼題は「燕」だけでした。句会は、浅草の有名な釜飯屋「むつみ」で行いました。
吟行の様子をケータイカメラで撮ったので、今回は写真付きです。

今年、東京のソメイヨシノの開花は3月31日で去年より2週間遅かったそうです。
ここ数年、花の盛りは3月いっぱいというのが常識になっていた(ホントか?)ので、27日には咲いているだろうと思っていたのですが、浜離宮ではまだつぼみ。
浅草で、何本か早咲きの桜が2、3分咲きになっていたくらいでした。
その代わり、菜の花が見事に咲いていました。浜離宮の春の名物らしいです。
自作から始めて恐縮ですが、
 ・菜の花の花粉も黄色く落ちにけり (青軸)
を得ました。呈念先生に、「菜の花といえば花の黄色にばかり目がいくのに足元をよく観察していた」といって頂きました。
足元といえば、呈念先生が菜の花の間にオオイヌノフグリを見つけ、鉄井さんは初めて見たと言っていました。
ホトケノザやナズナもあり、
 ・撥いくつ三味線草の咲き上がる (呈念)
呈念先生、さっそく反応されました。

老人と孫?。横丁句会ご一行。浜離宮は、外人さんらでにぎわっていました。
この少し先の松の木にジョウビタキの雌がいて、
 ・つぶらとは小首傾げる鶲の目 (呈念)
またも呈念先生、素早いです。

浜離宮の西に汐留シオサイトができ、ビルが次々完成しています。
着眼するどく
 ・電通ビルひたすら空を埋めんとす (鉄井)
鉄井さん、「空を埋めんとす」はいつも通り独自の視点です。
写真を撮ったあたりにはドバトが多数いて、そのうち一羽の足に釣り糸が絡んでいるのを呈念先生が見つけ、救護大作戦となりました。持っていたチョコレート菓子をやって近くまでおびき寄せ、捕まえるところまではあっという間でしたが、糸を切るはさみがなく、たそがれさんが事務所へ出かけて借りてきました。ナイフ持ってないか、とんがったものが何かないか、など周りも心配して軽い騒動でした。
 ・鳩ゆびの釣り糸ほどけ春日かな (呈念)
先生、これも句の素材にしておられます。
長谷川櫂のいう「俳句的生活」とは、このように、すべての事柄を俳句する目で見るということなのでしょうか。
(このあたり、何をいっているのか自分でもようわからん)
鳩の写真を撮ろうとしたところでケータイの電池が切れ、写真はおしまいです。

このあと、水上バスに乗り浅草へ。1時間足らずの行程ですが、黄昏さんの観察眼がすばらしいことでした。
隅田川沿いに芭蕉の記念碑と勝海舟の銅像があるのを見つけ、
 ・春の川芭蕉に海舟江戸の旅 (黄昏)
江戸初期と、江戸末期、200年を一つの句にまとめてしまわれました。

船旅のあとは、墨田河畔の「長命寺」で名物桜餅をいただきました。大きな桜の葉を3、4枚使っていて、葉っぱも食べてしまうおが作法だそうです。ぱりぱりとして美味しゅうございました。
その後、会場の「むつみ」(鉄井さん紹介)に着くまで堤防を歩いて、今回の大収穫
 ・背中しか見せぬ木蓮午後六時 (鉄井)
 ・芽柳や春色カーテン揺れてをり (黄昏)
を得ました(青軸の主観です)。
「午後六時の木蓮」「柳の春色カーテン」
まさに、その時、その姿。頭の中で捻るより、見たものをそのまま描くことの強さを知らされました。
呈念先生の、見たものへの即応と相まって、吟行の良さを感じました。
釜飯屋は裏浅草、にあって民家をそのまま店にしたようで、雰囲気も、味もたいへん結構でした。

最後になりましたが、米原幌櫃さんが兼題「燕」に4句も投句され、相変わらずの人気でした。
 ・あやめからあやめに遊ぶつばくらめ
 ・つややかな人のしとねに燕の羽
 ・ゆうまぐれ空切り刻むつばめかな
 ・上見れば下、上、下のつばくらめ
さらに、後日「椿も題だったようなので」ともう一句投句されたのでここに追記します。
 ・一閃の刃おさまり紅椿 (幌櫃)  
「眠狂四郎の円月殺法的な句をひとつ。」と前書きがありました。
幌櫃さん、ちょっと研ぎすぎた刃物みたいなすごい感じです。

次回句会の予定は決めずに散会。連休後を目安に、青軸が調整させていただきます。


第6回横丁句会 2005年2月17日(木)午後6時半、銀座「杉林」
2月定例句会が上記日時場所で行われました。句会記録はリンク先を見てください。

昨年7月に初めての横丁句会がもたれてから半年あまり経ちます。今回話題になったのは、
「新境地」ということでした。

 たとえば、前回、
「煮凝にかなわぬ恋を閉じこめて」「水仙の春告げ島の淡き恋」
の二句で句境を広げたたそがれさんは今回、
 ・節分やカーペットでは音もなく
 ・白鷺や古墳の濠の水ぬるむ
 ・「青」飛んだカワセミ一閃水ぬるむ
など、これまであまりなかった写生的な句を出されました。鳥の二句は、ご夫婦でバードウオッチングしたときの光景とのことで、「カワセミ一閃」を自宅近くで見られる境遇のうらやましさに、野鳥派の青軸は身もだえしたことでした。

 やや同じような文脈かと思いますが、なには橋さんの
 ・汝二十歳風のミモザとなりにけり
もホトトギス調の正統を志すという立ち位置から少し踏み出しているように見え、話題になりました。「風のミモザ」になった女性は、どんな女性でありましょうか。

 鉄井さんは、当初、言葉と音楽に対する鋭い感受性をベースに、「自分の思ったことをそのまま表現する」ことを基本姿勢にしているようでした。最近の句には、17音に対する愛着が見えるように思われます。呈念先生は「定型を外すのは良いが、定型をふまえた上で」といわれました。今回の作品は、兼題も席題も、きちんと17音を踏まえていられます。
 ・水ぬるむふたりが始まる台所
 ・水ぬるむその一滴の重きこと
 同じ「水ぬるむ」2句のうち、「ふたりが始まる」はたそがれさん激賞の作品で、句会記録の講評を見ていただきたいのですが、呈念先生は「一滴の重き」の技巧を褒めておられました。「ぬるむ水」に「一滴の重さ」を感じることが俳句だと、そのようなことだと理解しました。
 「俳句になるかどうかの分岐点」「俳句と俳句もどきの壁」。それが分かる人なら、句は自ずから湧いてくるのでしょう。あるいはその人そのものが俳句であるかも知れません。難しい。

 呈念先生の雑談で、植物名をカタカナで書くのはどんなものか、という話になりました。俳句は日本語、季題、17音の共通の文化的了解の上に成り立っているのであって、たとえば「犬ふぐり」は種が犬の睾丸を思わせることからその名前が付いたのである。理科的にオオイヌノフグリと表記しては言葉の表面的意味以外の部分が伝わらないというようなことでした。
 これは、青軸もかねてから思っていたことで、季題になっている動植物をインターネットで検索して漢字表記を知ろうとしても容易には見つからない。植物の紹介サイトが理科系サイトで、理科系の常識では動植物はカタカナで書くことに決まっているわけでした。ラテン語の学名は載っているのですが。

 今回、兼題の講評にみんなで「〜の勝利」を入れたのはたまたまです。第一位、二位に選んだのですから「何かに勝利している」のは間違いないので、まあよろしいかと。

 前回の「雁風呂」に続く呈念先生の蘊蓄講話では、植物の三しこ名の話が出ました。「しこ名」の「しこ」は、「醜女」の「しこ」で、汚い名前のこと。今回の兼題があれですから、一つはすぐ分かりましたが、あとは教えられて、
@大犬睾丸(オオイヌノフグリ)A屁糞葛(ヘクソカズラ)B継子の尻拭い(ママコノシリヌグイ)でした。

 継子の尻拭い、は広辞苑にも載っているけれど、タデ科で葉っぱに棘があって、継子の尻をそれで拭いたという、あったのかなかったのか分からないすごい話を元にした命名とのことでした。文化の共有も心優しい身には、なんだか険しいものがあります。

 おまけ。今回初めて投句してくれたK藤サッフォーさんは横丁近辺の住人ですが、句会のことを話したら興味をもたれ、勧めたところ一句寄せられた次第です。ややウケ狙いに走られたようでした。次回は、正攻法での参加を期待しております。
 たそがれさんは、兼題の選に当たって、「フグリ」はペアだから、二つそろえるべきだと思って講評句に二題選んだとおっしゃっていました。むべなるかなです。ただ、たまたまたま一個になったことをネタにしているお笑い芸人もおりますけどね。この三行ほど追記です。


第5回横丁句会 2005年1月20日(木)午後6時半、銀座「杉林」
新年句会が上記日時、場所で、たそがれさんが施主となって開かれました。
句会記録は例によってリンクからアクセスしてください。ここでは、記録以外の雑観部分を中心に。

 前回デビューの幌櫃さんと酔童さんは所用で欠席。なには橋さんは「句会重なり」のため、欠席投句でした。
兼題は「雑煮」「初夢」「水仙」。

好評だったのは
 ・初夢の夢をまくらに二度寝かな (青軸)
 ・お雑煮や歯にこびりつく餅の味 (鉄井)
 ・水仙のかたまり咲きてなほ孤独(呈念)
 ・お歳暮に貰ひし一ノ蔵屠蘇となる(青軸)
 ・一輪の水仙すっくと革まり    (たそがれ) <革=あらた>
 ・添へられし雑煮のレシピふるさと便(呈念)
 ・初夢やわが転生の山桜     (なには橋) <転生=てんしょう?>
以上が講評句と2人選以上の句です。

 ・水仙の春告げ島の淡き恋    (たそがれ)
の「春告げ島」が話題になりました。
たそがれさんによると、そう呼ばれる島があるのではなく、花博も行われた淡路島をイメージしたのだそうです。
青軸などは「春告げ鳥」の間違いと思っておりました。失礼。
なには橋さんの初夢句の「転生」は「輪廻転生」からきたと推察し勝手に<てんしょう>の読みを加えました。

席題は「煮凝」「スキー」「寒鴉」となりました。

 ・わが骨も煮れば煮凝になるならむ(青軸)
 ・この重さがあとで羽になるスキー板(鉄井)
 ・煮凝のぷるんと旨味を封じ込め  (鉄井)
 ・煮凝の底からにらむ目玉かな   (呈念)
 ・ままならぬもの叡山の僧スキー板(青軸)
 ・迎酒煮凝の鉢さびしかり      (青軸)
 ・煮凝の溶けて舌の根笑ひをり   (呈念)
 ・雪上の二本の軌跡交はらず    (鉄井)
 ・寒鴉ブリューゲル描いた中世よ  (たそがれ)
同上、講評句と2人以上選の句です。
鉄井さんは、5句選中4句が「煮凝」でした。鉄の胃の俳号の面目躍如です。
たそがれさんは、席題で青軸選の
 「煮凝にかなわぬ恋を閉じこめて」といい、
兼題で呈念選の
 「水仙や春告げ島の淡き恋」といい、
心境か過去の思い出か境涯か、得意の時事句、軽み句に加え句境を一気に広げておられるようでした。

鉄井さんが少し遅れたので、その間呈念先生に添削のようなことをお願いしたら、幅広い話になり、いくつか記憶に残ったものを書き留めておきます。
 
座の文芸のこと。
一つには句会という場を共有することによって、自分以外の見方を知ることができるということ。
句会のことを「運座」といった伝統的な意味合いでしょうか。お互いの批評の中で作品を磨いていくというようなことのように思いました。
もう一つは、座を俳句の持つ「共通の文化的土台」のようなことだと思ったことです。
それは季題のことで、雑談の中で春の季題「雁風呂」が話題にのぼり、
「雁は渡ってくるとき木片を1本銜え、海で休むときに掴まる浮きにする。日本に着いたら不要になるのでそれを浜辺においてゆく。雁が北へ再び旅立つ頃、供養の心を込めてその木々で風呂をたてる」
このような民話を背景にした季題で、雁風呂に限らず「季語には必ず物語がある」と呈念先生がいわれた。
確かに、17音という極小の形式で表現しようとすれば、言葉の外の何かに頼らざるを得ず、
その役割を担うのが「季語」という俳句が共有する文化であると、青軸はそういう風に理解したのでした。
呈念先生は、新年に入って初放鷹と弓始を見に行ったそうです。なには橋さんはかつてホトトギスを聞くため鎌倉の寮に泊まりがけで出かけたそうです。上達の道は日々の精進にあるのでしょう。

形容詞のこと。
鉄井さんが席題で青軸の「迎酒煮凝の鉢さびしかり」を選び、
「私も共感できる発見だが、寂しいと言ってしまったのが惜しい」と講評をくれました。
その通りで、朝起きて見たテーブルの煮魚の鉢をどう表現しようかと思い、結局時間切れで出した句でした。
「傾きて」の代案を出してくれ、これが「座の文芸」の話につながっていたような次第です。話の前後関係はだいぶ怪しいのですが。

複数季語のこと。
たそがれさんから、一つの句の中に季語が2つ以上あるのはどうかと、青軸もかねてから悩んでいた問題に質問があり、それは、主たる季語がはっきりしていれば、他は季語の機能を持たない叙述になるので問題ない(あまり正確でない)との話でした。
似たような疑問で、一つの句の中に同じ語が何回も出てくるのはどうかとの質問には、繰り返しも一つの技法であるとの回答でした。

改名問題のこと。
鉄井さんは第2回句会から鉄井と号していますが、あまりかわいくないというので、改名を検討中です。
「オードリー」という案が出て本人気に入っているようでしたが、だれかが「おーとりーけいすけ」といい、
そのせいか不採用になりました。引き続き募集中とのことです。

ホームページアドバンテージ
ここが青軸のホームページであることに伴うアドバンテージがあるので、お断りと、お詫びを。
一つは、字句の訂正です。「わが骨を煮れば煮凝になるならむ」を「わが骨も」と直しました。
「迎酒」の句の「迎へ酒」を「迎酒」に、「寂し」を「さびし」と直しました。
選にあたって影響があったかも知れませんがご勘弁を。
このページの記述でも句会記録でも、訂正、修正はいつでもお受けしますので連絡ください。

次回2月句会の兼題は
「節分」「犬ふぐり」(オオイヌノフグリ)「水ぬるむ」

提出句数はいつも通り当季雑詠を加えて5句。
日取りは2月14日の週を考えています。幹事は青軸。会場は「杉林」を想定していますが検討中です。
なお「水ぬるむ」は、ほととぎす歳時記では3月の季題と分かりましたが、このままにします。
ご了解ください。


第4回横丁句会 2004年12月18日(土)午後2時開会
第4回横丁句会は上記日時に、横丁メンバーの鉄井さん邸で開催されました。句会記録はリンクからお願いします。
今回は初めて昼会でした。最後はお酒が入って深夜に及ぶのですが、ご隠居横丁の句会が日陰から出た気分を込めて、
「白昼堂々忘年句会」と名付けました。

米原幌櫃さんの鮮烈デビュー が、この句会の最大のニュースでした。
初参加の幌櫃さんは所用のため席題1から加わり、「白鳥」「マスク」「ボーナス」の3題に、30分で3句提出の過酷なスタートです。
 ・白鳥の群れ一面の死装束
 ・人の気も白鳥白く舞い上がる
 ・白鳥の水かき速く静かなり
「白鳥の群れ一面の死装束」は、呈念、鉄井、青軸が1位に選びました。
鉄井さんの「白鳥といえば綺麗な鳥で終わり、と判断停止するところ、その先を見ている」の評に代表されるように、この日一番の収穫と思いました。
聞けば昔、稲畑汀子が地方都市を訪れた際、支局勤務だった幌櫃さんが取材ついでに作品を汀子さんに見せ、評を仰いだといいますから、
かなりの経験があるのでしょう。
白鳥と死のイメージは普通の連想ですが、「一面の死装束」と言い切った事、が発見と、書記青軸は思います。
ちなみに、幌櫃の俳号は死装束のイメージが「滅び」の美学に通じるとの周りの意見で、席上決めたものです。
音楽家の鉄井さんは、ピアニスト・ホロビッツのファンらしく、「ヨネゲンにやるのはもったいない」とおっしゃっていました。

即興 の鉄井さんが、その名にふさわしく今回も力量を発揮し、席題では他の倍の作品を産出されました。
さらにいえば、兼題が当日まで出来ておらず、我々を迎えに出ていただいた駅の改札前で4句をひねる火事場パワーです。
 ・まろき目の何を語るや古狸
これも「改札句」だったのでしょうか、「まろき」の柔らかい言葉が皆の共感を呼んだようでした。
席題では音楽句も登場し、個性満開。
 ・マスク下こっそり歌うはパパゲーノ
 ・白鳥の飛翔夢みしチャイコフスキー
 ・葱きざむリズム揃わぬ十七歳
 ・湯豆腐を崩せる箸の音もなし
書記の私見ですが、パパゲーノなど、音楽そのままの句より、「葱きざむリズム」「箸の音」のような音感を感じさせる作品の方が、
より深さが感じられると思ったことでした。

名鑑賞
 は、今回もまた大きな収穫でありました。
句会記録の講評は、だいぶ端折ってますが、鉄井さんの鑑賞に感心した事でした。
手前味噌ながら、席題2「クリスマス」に提出した青軸の
 ・クリスマス嘘を待つ夜の長さかな
の句は、子どもがサンタクロースがいないことを知りつつ、プレゼントを期待する。
そんなイメージだったのですが、鉄井さんはクリスマスイブの女心の綾と読んでくれました。
これは、「あなたなる夜雨の葛のあなたかな」(芝不器男)が、虚子の名鑑賞で知れ渡ったことを思い起こさせる事でした。
他に兼題に対する選でも、「情景が浮かぶ句、さらに情景を越えて深みがある句」と選句の判断を明確に出しておられました。

たそがれさんも、呈念先生の
 ・雑炊の青菜の茎のかみごたへ
に対する講評で、佐佐木信綱の「ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なる一ひら雲」(のが抜けていました1月11日訂正=たそがれ先生指摘)を引きながら景を大から小へズームする巧みさを
評する博識ぶりを見せました。さらに、書記が誤って業平の作と記録したのを指摘していただきました。ごめんなさい。
信綱は歌の中で「の」を5つ6つ(同上訂正)重ね、呈念先生は句中に「の」を3つ重ね、情景を畳みかけてゆく。
「の」によるズームの技法に共通性がある一方で、「の」の数の違いが短歌と俳句の違いを示しているように思いました。
上達の道は、鑑賞の道の奥にあるのかも知れません。

見出し の表現と俳句の省略法が似ていると、青軸の職場のOBが言います。
初参加の酔童さんは、
 ・雑炊をつつく箸々何つなぐ
 ・初霜や犬にせかれて散歩かな
など、音のリズムと語法の巧みさが目立ちます。酔童さんは見出しをつけるセクションの経験者です。

鉄井さん選の
 ・なでしこと言われし君の太き腰
もそんな感じですが、ちょっと季外れの感がありました。

呈念先生 の評で、
鉄井さんの句の末尾の「や」の切れが話題となり、
 ・皮むきて肌なほ赤き人参や
の「人参や」をたとえば「京人参」のように変えられれば落ち着くとの指摘です。
ただ、京人参は赤い種類ではないので、適切とはいえず、人参を前に置いて
 「人参の皮むきてなほ赤き肌」(不正確)などと語順を変えることも考えればよろしいとアドバイスされ、一同有り難く承ったことでした。
鉄井さんは、それを受けて席題1の「白鳥」では
 ・くちばしのするどさ哀しコハクチョウ
と白鳥に一文字足して切り抜けておられました。即応お見事。

もうひとつ、「署名句」ということがありました。
前回愚生が、「初しぐれ末子こころは伊予にあり」と詠み、
これは、出身地からして署名しているのも同然ということをいわれたことでした。そのとき母ものも出ていました。
今回は
 ・風邪ひいて人参おろす母は亡く  (たそがれ)
を選んだ呈念先生が別人作と思い、評で「作者が分かっても選んでしまう」と述べられ、実は別人という楽しいハプニングがありました。
もうひとつは
 ・関西は狸が狐うどん喰ふ
で、全員たそがれさん作と思っていたらしいことでした。
これは、呈念先生作で、先生は今回、ひとつ騙され、ひとつ騙して引き分け?でした。
メンバーが少ないと、なんとなく傾向が分かって、選ぶときも惑わされがちですが、「騙す」ことも句会の面白さかなと思ったりします。

誤記 のことをお詫びします。
なには橋先生は所用で欠席投句となり、小生がメールで受け取り、事前に見ないように家人に筆記させて封した上で持参しました。
ところが、
 ・とめどなき山茶花の紅婚約す
を「とめどなく」と誤記し、それをもとに選が行われる事になってしまいました。
誠に申し訳なく、お詫びして訂正させていただきます。
なには橋先生の欠席は、その婚約報道のためでしたが、皇室に不幸があり、婚約発表は中止になりました。
発表中止とは関係なくこの句は好評で、もうひとつのなには橋先生作
 ・ふたつずつ闇に狸のまなこかな
とともに、言葉の選び方や運び方に経験値を感じた事でした。

この日は、初の昼席だったり、鉄井先生邸におじゃましたり、新メンバーが加わったり、欠席投句があったり、
それぞれの出来事がよい刺激となり、実り多い会でした。
途中、近隣に住まう同僚ハマーが乱入したことを付記します。
会場提供&仕切りの鉄井さん、ありがとうございました。にゃごさまによろしく。

書記はこの後、午後11時頃電車の駅に行ったと記憶するので、その時刻前後に散会、と記録します。


第3回横丁句会 2004年11月18日(木)午後7時開会
第3回ご隠居横丁句会を催しました。句会記録は、例によって別途作成したのでリンクからどうぞ。ここでは、概要を紹介します。

参加者は、いつものご隠居横丁グループ3人に加え、前回投句参加だった高橋なには橋先生を加えた5人。
吉田鉄井先生の「いっぺん出てきて勝負したらんかい」という要請になには橋先生が応えられたものと拝察します。

兼題は、内藤呈念先生の提案で持ち回り出題とし、今回は井上青軸が「時雨」「山茶花」「落葉」の3つを出しました。
お題の3句に当季雑詠2句を加えた5句提出は前2回と同じ。11月は、新暦では秋、旧暦では冬に入れられるため、
「当季」の解釈がまぎらわしかったかも知れません。秀句2句に講評も同じです。

作句歴の長い呈念先生となには橋先生は、さすがにレベルが高く、今回も初学者のお手本でありました。

それはさておき、音楽が専門の鉄井先生が席題で音楽をテーマにした句を積極的に提出されたのが目を引きました。
「闇雲に作句するのも良いが何かテーマをもってやってみるのもよいのでは」というアドバイスを実践したのでしょうか。
 ・燗酒に酔ひてくすぶるポロネーズ
 ・燗酒につい千鳥足ボレロかな
 ・ブルースの絡みて苦し燗酒や   <苦し=にがし>
 ・鷹が爪突き刺す如しホロヴィッツ
 ・七五三トルコマーチの歩みかな
兼題の時雨の句も、音を巧みにとらえていて
 ・傘を打つ音のかそけき時雨かな
呈念先生の選評もその点を高く評価していました。

荒谷たそがれ先生は、専門の囲碁を詠まれていました。気になりましたが無季のような気がして青軸は採りませんでした。
 ・囲碁殿堂主なき幕開け涙雨
また、席題では前回に続き意欲的に時事を詠んで
 ・めぐみさん北で忘れぬ七五三
気になる句が多く、席題の「鷹」で
 ・おまえさん夜鷹にゃ見えぬ粋づくり
夜鷹を詠むのは、ご隠居横丁の現住人の面目躍如といったところでありましょう。
もうひとつの鷹の句で
 ・ふるさとはお城自慢の鷹匠町
の鷹匠町が気にかかり、インターネットで調べたら、その地名は東京市谷の鷹匠町を始め、
徳島・高知・松江・岡山・中津・竹田・和歌山・横浜。明石・松本・館林・弘前ほか、どっとでてきて驚きました。 
鷹狩りが多くの殿様のたしなみだった時代の痕跡でしょう。

青軸は、花鳥諷詠も好きなのですが、生意気にも俳句らしからぬ言葉を読み込めないかと常々思っていて、
フルヘッヘンドなどという語を無理矢理使ってみました。
 ・フルヘッヘンド灰を落葉の塚とする
自分としては気に入っているのですが、成功しているどうかはわかりません。
野鳥の会会員として、鳥の句には力が入ってしまいます。
 ・鷹一羽身じろぎもせず澪標
の句は嘘っぽく見えるかも知れませんが、伊豆沼でみた尾白鷲と積丹で見た隼、谷津干潟で見た多分ノスリ、
実家でいつもみていた鳶がないまぜになったイメージです。

なには橋先生ですが、選句でいえば、席題で選んだ鉄井先生の
 ・足指に草履食ひ込む七五三
を高く評価され、翌日「句会一番の出来であった」といっておられました。
逆に自作について
 ・残菊の闇触るるより艶めける
呈念先生に「ホトトギス調」と評されたことを喜んでおられました。
青軸は
 ・さざんかのちるや赤白白白白
に「やられちまった」の思いです。
上半分を軽やかなひらがなにしたのは、下半分の「赤白白白白」を際だたせるためでしょうか。
やられちまった、は僭越で格の違いでありましょう。

呈念先生は、実際に見聞した様子を詠まれたという説明がありました。
 ・目つむりて鳩の顔掻く小六月
 ・千歳飴引きずつてゐる七五三
 ・上げ取れて松の廊下や七五三
などです。
鳩が顔を掻く様子は青軸の目にも浮かびます。しかし、それを句にする発想がない。
大いに教えられることでした。

次回は、忘年句会として12月中旬に開催することにし
お題を
「人参」「股引(ももひき)」「狐または狸」
と決めました。

午後10時過ぎ散会


2回横丁句会 200410月7日(木)
第2回ご隠居横丁句会をを催しました。句会記録はリンクから。

詳細は記録を見ていただくとして、概要は以下のようでした。

参加者と会場は第1回と同じ。すなわち内藤呈念先生、荒谷たそがれさん、JUNJUN子改め吉田鉄井さん、井上青軸の4人。
もうひとり出席予定の高橋なには橋さんは急な仕事でキャンセル。兼題に投句して頂きました。
兼題は「案山子」「無花果」「運動会」の3つ。それに当季雑詠を加えて5句提出。選句はひとり5句。秀句2句には講評。

秀句8句(2句×4人)

 ・胸厚き土佐の棚田の案山子かな (なには橋)=青軸選
 ・月明やしおれて紅き酔芙蓉         (〃)=呈念選
 ・運動会白線親子隔てけり          (〃)=鉄井選
 ・分校は今年限りや運動会        (呈念)=青軸選
 ・脱北の民安らけく案山子佇つ   (たそがれ)=鉄井選
 ・無花果や子規を想ひて種を噛む    (鉄井)=たそがれ選
 ・完熟を蜂と取り合う無花果かな     (青軸)=呈念選
 ・幼子を案山子が守する田刈かな     (〃)=たそがれ選

なには橋さんが人気で、秀句以外の2句も5句選に選ばれ提出句全部が選に入る充実ぶりでした。
選外でしたが呈念先生「局面のにはかに険し秋扇」は気にかかっていました。季語の「秋扇」がわからず、スルーしてしまいました。
呈念作品はうますぎ感があって選びにくいといえるかも知れません。でも、季語の意味ぐらい聞いておくべきだったです。
たそがれさんの「脱北の民…」を選んだ鉄井さんは、時事を詠み込む難しさを言っておりました。青軸も先にイラクを詠んで失敗しました。
当サイトではJUNJUN子で出ていた鉄井さんですが、この席で呈念先生に勧められ「鉄の胃袋」の意味を込めて鉄井を名乗りました。
9月19日朝思い立ち11時の飛行機で松山の子規館と子規庵(愚陀仏庵?子規堂?)を訪ねたそうで、到着して初めてその日が「糸瓜忌」と知り、以前にもまして子規に感じるものがあった、と話して大いに受けました。

初回と同じく兼題の後、席題を出し合い各人計7句を選びました。
題は「曼珠沙華」「月」「すすき」「銀杏」の4つ。2回に分けて出題したものです。

席題に入ってから鉄井さんが快調で、他の3人は6句しか出せなかったのに、ひとりだけ9句提出。
しかも、のべ10句選ばれる人気でした。
 ・ちろちろと赤き舌泳ぐ曼珠沙華
 ・手招きをされているようで山すすき
 ・摘みてなお揺れてかなしきすすきかな
 ・ローレライ濡れて見上ぐる青き月
この4句は2人選。他に1人選が2句。
 ・煮て焼いて蒸して喰おうか丸き月
 ・輪をつけて指にはめたし銀杏や
音楽の専門家の鉄井さんは、席上音楽句を掘り下げてみるよう勧められて何句か提出。ローレライはその一つ。

たそがれさんも席題の方が作句のリズムがあっているようで、5句をのべ6句選。
 ・往きし人礎かなし曼珠沙華
 ・白き波ヤマトタケルのすすきかな
 ・すすき野や露伴が好いたたたずまい
 ・仲麻呂に代りて望む奈良の月
 ・さざなみに月の光やドビュッシー
仲麻呂が2人選でした。

呈念先生は
 ・曼珠沙華宙抱くごと蕊を張り
 ・彼岸花蕊の先なる金の粒
 ・月天心ざわわざわわの曲流れ
 ・半身に薄皮まとひ銀杏の実
銀杏が2人選

青軸は
 ・曼珠沙華罪深き色褪せやすく
 ・ススキの穂折りたる罰か長き傷
 ・すすき折りて知りたる蛇笏の重さかな
 ・いま昇る軽き月うさぎ踊る
曼珠沙華、蛇笏、うさぎ踊るが2人選。
自分のことで恐縮ながら罪と罰を隠しテーマにしていました。
すすき折りの句は、好きな「をりとりてはらりとおもきすすきかな」(蛇笏)を踏まえたものですが、
こんな「本歌取り」みたいなのありかなあと思って出してみました。ありとのことでした。


聖地  2004年8月15(日)〜17日=更新は20日

帰省のついでに、俳句の聖地といわれる松山の正岡子規記念館と、
人気の俳人芝不器男の愛媛県松野町の記念館に行って来ました。
子規館は、明治の巨魁の人と文学を存分に伝える立派な規模で、
不器男館は、本人と周りの人たちの肉声が聞こえてきそうな、皮膚感覚を供えた造りで、
どちらも好ましい博物館でした。
何か浮かびそうに思われたのに、結局なにも出てこず、
不器男館のそばのJR松丸駅で、無料の「足湯」に浸かって足福を得たのが収穫でした。
帰宅後に無理矢理ひねって。

・台風に傘借り訪う不器男館 (青軸)

不器男館には、小生の好きな坪内稔典の「たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ」の色紙が飾ってありました。

・みんみんが暑さ固めて風止まる (青軸)
・会社電車医者タクシー夏は長袖 (同)

これも自宅作品です。


炎暑(8月23日に追加)

・耳に秋銀座のはずれ法師蝉 (青軸)

8月12日、東京は38日連続真夏日で新記録。


立秋に  2004年8月7日(土)=更新は8日

・イラクで死ぬ人殺す人きょう立秋  (青軸)
・秋立つか暑き暑きと烏鳴く      (同)
・百日紅ムンクの叫びに似た女    (同)

・かなかなを地獄囃子と聞きにけり  (同)
 「かなかなのどこかで地獄草子かな」(飴山実)を本句として


知命のこと 2004年8月2日(月)

誕生日に三句。

・知命の夏知るより悔ゆること多し(青軸) 
・知命超えて鱶食う夏を思はざり (同)
・知命の夏残尿感の余生かな   (同)

もう一句。獺祭忌はまだですが。

・頭悪し子規三絶句唱し得ず (青軸)

 これは、無季になるのでしょうか?


句会の後 2004年7月30日(金)

下記句会で呈念先生に「青軸」の雅号を頂いていたのを思い出したので称させていただきます。
記念に一句。

・わが銀河11次元にして虚数解 (青軸)


第1回ご隠居横句会 2004年7月27日(火)夕、銀座杉林

知人で俳人である内藤呈念先生を招いて「句会勉強会」がありました。
施主は荒谷たそがれ子。参加者は吉田JunJun子と不運玉玩具庵(当サイト管理人)。
 ………
兼題  @梅干 A炎天 B扇風機 
参加者の宿題は 兼題の最低3句にプラス2句の計5句提出。
 ………
呈念先生5句
・円覚寺塔頭の庭梅を干す 
・斑鳩の道の白さや炎天下 
・まばたいて流星ひとつのがしけり
・ユニクロのシャツの行き交ふ炎天下
・扇風機ここだけの話聞いてをり 

たそがれ子5句
・梅干や西の味覚よ薄皮は
・炎天に息たえだえの挿し木かな
・梅干はやはり関西力こぶ
・扇風機妙な首振り口ポカン
・インドより暑きお江戸の昼寝かな

JunJun子5句
・足元にぬるい風おもては炎天 
・花火太鼓回り続ける扇風機 
・扇風機モーター熱く涼送る 
・雲つき抜けてかっと広がる炎天
・しわに旨味封じ込めた梅干なり

玩具庵5句
・摂氏三九.五度ドライヤーになる扇風機
・炎天下梅干す筵に扇風機 
・七回忌母の梅干既になく 
・焼酎は梅一粒が命です
・扇風機納戸に眠る昭和かな

呈念先生に句会の作法などを教えられました。
無記名で提出し、参加者が分担してまとめ書きしたあと5句を選ぶ方法でした。
無記名にするのは名前に引かれないようにとのことでした。仕組みを知っただけでも大きな収穫でした。
評点は控えなかったので分かりません。

この後、席題を出し合い、以下のような句が出ました。

席題「蝉」
・蝉時雨真昼の街に人絶へて
・この蝉は十七歳か年増だね
・蝉時雨周平いずこ風蕭々(たそがれ)
・ぎろぎろと目をむき命さけぶ蝉
・羽触れあう時間も愛し蝉時雨
・炎天に命吸い込まれゆく蝉
・暁暗やじっと一声蝉の夢
・蝉時雨仏壇供へた青テント
・みんみんや昼寝のタクシー列をなし
・ひぐらしの不況和音の透きとおり

席題「すだれ」
・夏富士のすだれの裏に消えにけり(玩具庵)
・歌麿の簾に匂う年増かな(たそがれ)
・三味の音京の町屋のすだれかな
・上京のすだれの陰のふくらはぎ
・手の甲ではらう軽さや夏のれん
・右へ左へ揺れて流れるすだれかな

すみません。もう酔っぱらっていたので記入したもの以外は誰の句か判然としません。
3時間くらいと思って始まった会は5時間を超え、午後11時50分散会。