大水青記  2006年4月25日作成。5月9日公開。

概説
 昨年2005年10月11日、家人が隣家のアメリカハナミズキに緑色の幼虫を見つけたのが始まりでした。
近年の出版界の大手柄の「日本産幼虫図鑑」(学研、1万8千円)などからオオミズアオと断定しました。
まだ食欲がありそうなので、近所の公園からミズキの葉をもらい与えたところ、1週間ほど、ばりばりと音を立てて葉っぱを食べ、やがて繭をつくったようでした。
 HUNの実家は四国の山間地の農家で、昔養蚕もしていました。「お蚕さま」は、その時期になると畳を上げた座敷まで蚕室として占領し、一家総出で餌の桑の葉を与えたと両親は言っていました。HUNが生まれる前の話で、実際に見たことはありませんが、蚕棚は天井裏の部屋にしばらく残っていました。
余談に流れましたが、蛾の幼虫と一つ屋根の下で過ごした感覚の不思議さと昔の記憶が懐かしかったので書きました。
 飼育箱が静かになったところまでは覚えていたのですが、その後すっかり記憶から抜けていたところ、家人が突然飼育箱を取り出し、聞けば家の裏庭(庭とはいえない額以下)においた収納ボックスにかくまっていたとのことでした。
 羽化のことは下の記録の通りです。本当にきれいな蛾です。
 それにしても、毛虫と鱗粉が死ぬほど嫌いと言っていた家人の、羽根などつまむ手つきの見事さにあきれたことでもありました。
緑色のきれいな幼虫です。10月11日。
ヤママユガ科に共通の透明感ある体色。蛾の幼虫なのに清潔感が漂います。
宝石のようだ、というと誉めすぎでしょうか?
代表的な食草(食木かな?)のミズキの一種アメリカハナミズキについていました。
葉っぱは紅葉しかけ。そろそろ蛹化の時期でしょう。隣家は虫類が苦手なようで、興味がないようだったので、円満にもらい受け我が家の飼育箱で飼ってみることにしました。
茶色の見事なサナギになっています。これは、上の写真から少したったころで、ここまでの途中、養蚕さながら、ミズキの葉っぱを一生懸命与えて、それを幼虫が「ばりぼり、がりがり」食べている写真があるはずなのに見つからなくてすみません。
ハナミズキよりミズキの方が遅くまで緑を保っていました。園芸種は、やはり少しひ弱なのでしょう。


白色
羽化しました。
3月21日、バッハの誕生日のことでした。
つかんでいる手は家人です。
2年ほど前までは「鱗粉はだめ」といっていたのに、去年オオミズアオを近所の公園で見つけて撮影したあたりからファンになり、鱗粉も何するもの、しっかり掴んでしまっています。
水色です。
羽根がだんだん青みを増しました。
顔が可愛いと思います。これも、手は家人です。なにか懐いているように見えます。

黄色
に見えるのは光線の関係でしょう。
羽根が伸びきっていないようだったので、外へ出してみたのですが、たぶん迷惑だったんでしょうね。
職場の先輩の蝶博士によれば、オオミズアオは目立つので鳥によく食べられるとのことでした。
生まれたばかりで白日の下に晒されて迷惑千万だったのでしょう。
鈍感ですみませんでした。
変色
サナギの殻と一緒に撮影してみました。羽根が伸びるのに従って色が変わってきているように思います。

青緑色のきれいな羽根になりました。
上のような飛べない状態で放しても仕方がないと一度飼育箱に戻し、その後取り出したところバサバサと飛び立ち、天井に止まったところです。
貧相だった触角も立派に広がり、蝶博士に鑑定してもらったところ雄とのことでした。
体長35ミリ。翼幅150ミリほど。越冬型の個体は標準より小さいのが普通なのだそうです。
この蛾は、翌日庭に放ちました。
褐色
羽化した後の抜け殻です。頭の方が下になっていてそこだけ破れていました。樹上なら、うまく引っかかって羽根を十分に伸ばし切れたと思いますが、狭い飼育箱の中ではままならぬものがあったでしょう。よくぞきちんと羽化してくれたものと思います。
これは、人間でいうなら「へその緒」みたいなもんでしょうか。繭の作りも、ヤママユの緻密な卵型、クスサンの大胆な網タイツ、ウスタビガのウツボカズラのような奇抜さ、と比べると、なんだか少し雑なようで、微妙な出来映えでした。
捨てないでとってあります。


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