ちょっと怖い話



呪われた宅配便 - 06/08/13

 

 夏休みに田舎に帰省しようと、男は荷物を宅配便にまとめ、日時指定をしてコンビニに持ち込んだ。

 

「絶対に大丈夫なんだろうね、うちの田舎はとても山奥なんだけど?」と、心配性の男は尋ねた。

「大丈夫ですとも..いまや日本中どこでも運べますから」と気楽な店員。

 

そう言いながらも男の書いた伝票に目をやり「お客さん、差出人と受取人が同じですけど?」

「帰省だからね。田舎には誰も住んでないから、オレが配達される1時間前に着いて待ってるって寸法さ」

「なるほど〜失礼しました。ちよっと重いようですが、中身は何ですか?」

「普通の日用品ですよ..普通のね」

「わかりましたぁ、では、お預かりしておきます。」店員は、なぜか首をかしげながら運んでいった。

店を出た男は、ふっと胸をなでおろした。「よしっ、気づかれなかったようたな・・」

 

翌日、男は身の回り品だけをバックに詰め、帰省への途についた。

 

旅の途中でも、荷物のことが気になっていた。

 

男が、列車を乗り継ぎバスを乗り継ぎ、山奥の生家に着いたころは、日も傾いていた。

家に着くと、男はバス亭前の食堂で買い求めた「白いご飯」を、ちゃぶ台に置いた。

 

「今は6時か..腹が減ったけど、荷物の届く7時まで待たなきゃなぁ」

男はごろりと、横になり、長旅の疲れで眠り込んでしまった。

 

とんとん・・とんとん、誰かがガラス戸をノックしている音で目覚めた。

慌てて柱時計を見ると..「なんてことだ、もう9時じゃないかっ」

 

がらがら..「宅配便で〜す」

 

「おいっ、遅いじゃないか..約束の時間を2時間も過ぎてるぞっ」

空腹感が増した男は、乱暴に言い放ち、その荷物を受け取った。

 

ガチャガチャ..その瞬間、荷物の異変に気づいた。

「ちょっと待ってろっ!」宅配業者を怒鳴りつけ、手に持った荷物を奥の部屋で開けてみると。

「なんてことだ..割れている」お気に入りの、ネコの絵柄のお茶碗が、粉々に割れていたのだった。

頭に来た男が、宅配業者の前に仁王立ちになり..叫んだ。

 

「ノロいし、割れるし..この宅配便はどうなってるんだ」

 

宅配業者は少し困った様子で

「ノロいのは、この家の時計が止まってるから、そう思うんでしょ。今、指定の7時丁度ですよ」

 

「へぇ?..そうなの..ゴメン。..いやっ、そうじゃなくて、茶碗が割れているのはどうしてくれるんだ?」

 

「最初から、ワレモノありってしてくれてたら、もっと注意しますけど、あなた書かなかったでしょ?」

 

「だって..お気に入りの茶碗って、恥ずかしくて書けなかったんだよ。」

 

「今度から、正直に書いてくださいね。それではさいなら〜」

 

お気に入りのネコの絵柄の茶碗で、白いゴハンを食べたかった男の夢は、はかなく消えたのだった。

 



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