「暑い暑い、何か涼しくなる方法はないかしら?」と楓さん。そこに、電話がかかってきました。
電話「ひゅ〜どろどろ〜」
楓さん「あら、変な着信音だこと..誰かしら?」と受話器を取ると..
「もしもし〜..ハアッ、ハアッ」と、荒い息使いが聞こえてきました。
楓さん「まぁ、いたずら電話だわ..でも、どこかで聞いた声のような..」
ヒロツ「いたずらじゃないとです。ヒロツです。今、犬と散歩から帰ったとことです。ハァッハァッ」
楓さん「今日も犬に散歩させてもらったのね..でも、何の用かしら?」
ヒロツ「こんなに暑いとやりきれんとです。無料のおばけ屋敷に行って涼みませんか」
楓さん「丁度よかった、あたしも涼しくなる方法を考えてたとこなの。早速行きますぅ」
楓さんが、ヒロツと待ち合わせた場所に行くと、TVでよく見るひげ面顔の男がヒロツと一緒に立っています。
楓さん「よく見るお顔ですけど..名前が思い出せないわ〜」
ヒロツ「こちらは、夏の風物詩の稲川淳爺ぃさんです。今日行くおばけ屋敷を作った人とです」
淳爺ぃ「どどど..どもででです。開園前に見ていただいて批評をして欲しいざんすよ」
ヒロツ「淳爺いさんは、怪談話は得意なんだけど、おばけ屋敷は今回初めて作ったとです。」
楓さん「なるほど〜。それでモニターになればいいのね。ガッテン、ガッテン」
大きな芝居小屋風の建物に入ると、中はさすがに真っ暗闇。
開園前のことでもあり、外と変わらない暑さでした。
楓さん「きぁ〜..全然涼しくないじゃないのぉ..ヒロツの嘘つき!」
ヒロツ「確かに暑い上に、暗いが加わったとです。こうなったら、早く出口にたどり着くとですよ」
暗闇に目が慣れないまま、二人が進むと..
一休さんのような小僧さんが、瞑想している部屋に入りました。
小僧「いらっしゃいませ。さっそくトンチに答えてもらいます。この部屋に居るお化けは誰?」
ヒロツ「お化けって..小僧さんしかいないとですよ」
楓さん「あたしに任せて..1つ目の部屋に居るのが小僧さんだから・・一つ目小僧でしょ」
小僧「うぇ〜ん..これは手強いお客だった..次の部屋にお進み下さい」
ヒロツ「さすが楓さんはトンチの女王とです。ここで答えが解らなかったら、一生出れないとこだったとです」
楓さん「いつも管理人さんとこで鍛えてるから、こんな問題なんてプゥ〜の河童だわ」
ヒロツ「さすがセレブ..屁と言わずにプゥ〜とは気品があるとです」
楓さん「エヘヘヘ」
ヒロツ「そんなことより、次の部屋に行くとです」
次の部屋の入口には「注意!ドラキュラ伯爵が居ます」と表示があります。
楓さん「あら〜。こんな表示があると、何だか楽しみが減っちゃうわね」
ヒロツ「でも楓さん、どこにもドラキュラが居ませんよ。あっ..羽根を広げた鳥が居る」
楓さん「ん〜..あの鳥はクジャクだわ。するとドラキュラはクジャクに変身しているのね」
ヒロツ「なんでそんなことが..あっ、ドラキュラ伯爵とは、ドラキュラはクジャクとですかぁ」
楓さん「そうよ..こんなの表示がなかったら、動物園と変わらないわ〜」
次の部屋は、これまた蒸し風呂のような暑さの中..もの悲しげで野太い女性の声が聞こえてきます。
声の主「いちまぁ〜ぃ..にまぁ〜ぃ..さんまぁ〜ぃ..」
ヒロツ「部屋の隅で、皿を数えている大柄な女の人がいるとです。ここは、番町皿屋敷みたいですよ、楓さん」
楓さん「すると、あの女の人は、お菊さんかしら..ちょっと名前を聞いて確かめてみようか」
大柄女「よんまぁ〜ぃ..ごまぁ〜ぃ..ろくまぁ〜ぃ..ななまぁ〜ぃ」
楓さん「あなたは、お菊さんですかぁ?」
大柄女「んっ?・・いま、仕事中だからあとでね。..はちまぁ〜ぃ..くまぁ〜ぃ」
ヒロツ「楓さん、十枚って聞いてしまうと死んでしまうとですよ」
楓さん「そりゃ大変だわ..まだ美味しいものいっぱい食べたいから逃げるわよ〜」
二人が走り出すと、大柄な女もお皿を持って追いかけてきました。
大柄な女は、二人の前に通せんぼをして、お皿を差し出して言いました。
大柄女「う〜ら〜め〜ぃし〜やぁ〜」
楓さん「何言ってんのよぉ..あなたに恨まれることなんかないわよっ!」
大柄女「いや、そうやなくてぇ..お皿の裏..名刺やねんけど..」
ヒロツ「うらめしや..じゃなくて、裏名刺や..だったとですか」
楓さん「あら、律儀な方ね..どれどれ」
楓さんがお皿を裏返して見ると..
そこには『ニューハーフ 大菊 がまたのご来店をお待ちしてるわよ』」と書かれていました。
楓さん「まぁ、ちゃっかり宣伝までしてるのね。でも、これはこれで怖いかも..」
冷房の無い部屋を出て、出口と書かれた広場に出たときには、二人とも滝のような汗にまみれています。
ヒロツ「やっぱり、オープン前だと気分が乗らんとです」
楓さん「そうねぇ..こんなときは、冷たいものでも飲みたいわ」
ヒロツ「どこかに冷たいものはないかな..おっ、あそこに駄菓子コーナーがあるとですよ」
楓さん「駄菓子と言えば、冷やし飴があるかも..」
ヒロツ「でも楓さん、『懐かしの駄菓子詰め放題:一袋千円』と書いてあるけど、どうしましょう?」
楓さん「あたしは、詰め放題って言葉だけで、詰めたい(冷たい)気分になっちゃったわ」
二人は、またもや汗を流しながら、セッセと袋に駄菓子を詰めこみ始めました。
ちゃんちゃん♪