細木数の子さんの占いのお店で、修行を始めた静香さん。
今日は、お店に置いてある占いの本を読み散らかしながら、何やらぼやいています。
静どん「占いって、色々あるのねぇ〜。一体どれを勉強すればいいんのやら?」
そこに細木数の子先生が、やってきました。
数の子「将来TV出演を目指すなら、自分の占いスタイルを作らなきゃだめよ」
静どん「自分のスタイルですかぁ?..結構イケてると思うんですけど?」
数の子「それは容姿のことでしょ。あたしが言ってるのは相手にいかにインパクトを与えるか..なのよ」
静どん「あらっ、コンパクトはお気に入りが1つしかないから、誰にもあげられないわ」
数の子「また違ってるし..インパクトよインパクト。相手に衝撃を与えるってことよ」
静どん「それって、ビックリさせるってことね..う〜ん」
数の子「世の中には、星占いとか白蛇占いとか、みんな目立とうと一生懸命なのよ。静どんも新しい占いを考えなきゃね」
静どん「ふ〜ん。新しい占いを考えるのね..でねも、面倒くさそう〜」
数の子「静どんだったら、きっとユニークな占いを考えられそうだから、がんばるのよ〜」
静どん「あ〜い」
今日のお店には、全くお客が来ません。
静どんはポカポカ陽気でウトウトし始め..やがて夢の世界へ行ってしまいました。
「こら〜〜っ!?」と、遠くから声がしたので、ビックリして目が醒めました。
静どんは、キヨロキョロあたりを見回しました。
どうやら、ここはどこかの山の中のようです。
こちらに向かって、南洋の島国でよく見る腰ミノを着けた老人が、こっちに歩いてきます。
静どんは、やってくる老人を観察することにしました。
白髪の長い髪を後ろで束ね、見事な不精ヒゲを生やし、手にはオモチャのかざ車を持っています。
静どんは、老人に尋ねました。
静どん「あの〜ここは誰?。あなたは、どこ?。ご飯はまだ?」
老人 「あちゃー、色々質問が多いのう。でも意味が通じるのは『ご飯まだ?』だけじゃ」
静どん「あたいは、寝起きが悪いんじゃぁ〜..では一つずつ質問するね。ここはどこ?」
老人 「占いの聖地『アブラカタブラ山』じゃ」
静どん「へぇ〜そんな山があるんだ。で..お爺ちゃんは誰?」
老人 「ここを訪れる占い師達への、アドバイザー専任の仙人じゃよ」
静どん「アドバイザー専任の仙人って?..お爺ちゃん達はたくさんいるの?」
老人 「そりゃそうじゃ..色々な専任があるから、ざっと千人くらいおるぞ」
静どん「んじゃあ、聞くけど、あたしはなぜここに?」
老人 「占いに迷った占い師は、みんなここに来ることになっておる。ワシのヒントで立ち直って帰るのじゃ」
静どん「あらまっ..すると、あたしも悩んでいたのね。すご〜い」
老人 「おやおや、悩みの自覚が無いものがここにやって来たのは初めてじゃ」
静どん「だったら、ちゃんと記録に残しておいてね」
静どんは、ふと仙人の持ってるかざ車が気になりました。。
静どん「その手に持ってる、かざ車は何なのさ?」
仙人 「これか?..これはワシの占い道具じゃよ」
静どん「てことは..もしかしてお爺ちゃんは、かざ車占いなの?」
仙人 「おおっ、いいところに気がついたのう..こう見えても昔は有名だったものじゃ」
静どん「へぇ〜。お爺ちゃんは何てお名前なの?」
仙人 「えっへん、あの水戸黄門と一緒に旅をした『かざ車のタヒチ』とは、ワシのことじゃ」
静どん「それって...『風車の弥七』じゃなかったっけ?」
仙人 「それはTVドラマじゃ。本当はワシがこの風車で旅の行く先を決めておったのじゃよ」
静どん「そんないい加減なもので占うから、毎回黄門ちゃまは事件に巻き込まれるのよ」
仙人 「ぐはっ、でも『事件を起こさないと物語にならん』と言われたからのう」
静どん「ところで..あたしらしい占いを探してるんだけど、何かいいのがないかしら?」
仙人 「ふむ..ではワシが教えてしんぜよう。その前に聞くが、静どんには霊が見えるのかい?」
静どん「もちろんよ。千円には3つ、一万円には4つ見えるわ」
仙人 「それは、レイ(0)じゃ〜..人や動物の霊が見えるかと聞いておるのじゃ」
静どん「ひぃぃ..そんなの怖くて、見るのも嫌だわ」
仙人 「なるほど..じゃぁ霊感占いは駄目じゃな..では、被り物などはどうじゃ?」
静どん「おおっ..もしかしたら一番好きかも。今でもモウモウパジャマで寝てるもん」
仙人 「それだったら『被り物占い』にしなさい。ワシはその時だけ、不思議な力を与えようぞ」
静どん「わーーーい、お爺ちゃんありがとう。」
喜んだ途端、静どんは椅子から転げ落ちて目が醒めました。
静どん「イテテテ..今のは、夢だったのかしら?」
大きな音を聞きつけて、数の子先生がやってきました。
静どんは、数の子先生に夢の中の出来事を全て話しました。
数の子「なるほど、静どんもついに『占い仙人』に出会ったのね。これでもう一人前だわ」
静どん「あのお爺ちゃんて、そんなにエライ人なの?」
数の子「元々は、風水占いだったけど、水に溺れてから『風占い』だけにしたらしいのよ」
静どん「なるほど、それで、かざ車で占いをしてたのね」
数の子「静どんも、さっそく被り物をしてご覧、どうなるか楽しみだわ〜」
静どん「はぁーぃ..ちょっと家に取りに帰ってきますぅ」
静どんは、モウモウパジャマ(牛耳フード付き)に着替えて、お店に帰ってきました。
静どん「ただいま〜」
数の子「あらあら..とても、野性的に見えて素敵だわ〜」
静どん「そうでしょ〜。この牛耳付きのフードがお洒落なの〜」
お店で、ガヤガヤと騒いでいると..なんと乳牛3頭を連れたお爺ちゃんがやってきました。
爺さん「この店で、乳牛の相談をしてくれると聞いたのじゃが?」
静どん「あら、さっそく被り物効果かしら?..今だけ牛なら誰でもカモンよ〜」
「それは有り難い..実は...」お爺さんは、話しを始めました。
【お爺ちゃんの話し】
ワシの牧場では、乳牛を三頭飼って生活をしていたが、大手が進出してきたために牛乳が売れなくなった。
もう牧場をやめようと、飼ってる乳牛を肉屋さんに売りに行くところだ。
でも、乳牛達がどう思っているのかが、とても気になるので教えて欲しい。
静どん「なるほど〜..それはですねぇ〜(どうしたらいいんだろ?)」
静どんが、牛耳フードをパタパタさせて考え始めると、不思議なことに乳牛達の会話が聞こえてきました。
乳牛a「お爺ちゃんも、少しはあたし達のことを、理解してくれたらいいのにね」
乳牛b「明治生まれの人は頑固だから、だめかもよ。今の時代は味付き牛乳にしなきゃ売れないよ」
乳牛c「あたしにイチゴ食べさせてくれたら、美味しいイチゴ牛乳を出してあげるのに」
乳牛a「あたいのコーヒー好きを理解してくれたら、美味しいコーヒー牛乳が出るわ」
乳牛b「あたしは、果物大好きだからきっと美味しいフルーツ牛乳が出せるわ」
一同 「そうよね〜、餌次第なのよね〜」
静どん「ふむふむ..わかったわっ!お爺ちゃん、牧場をやめなくてもいいわよっ」
爺さん「おおっ〜、一体どうすればいいのじゃ?」
静どんは、乳牛さん達の話をお爺ちゃんに伝えてあげました。
爺さん「そうかぁ、そう言えば人間でも食べ物の好き嫌いはあるからのう」
静どん「さっそく、食べ物を変えてあげてね〜」
爺さん「もう一度、この乳牛達と頑張ってみることにするよ」
せっかくなので、静どんはブランド名を考えてあげました。
静どん「『明治のおいじぃ(オイッ爺)牛乳』これでどやっ!」
爺さん「明治生まれのワシが牛から教えられた記念じゃな。気に入ったぞ」
お爺ちゃんは、イチゴとコーヒーとフルーツを山ほど買って帰りました。
それからというものは、お爺ちゃんの牧場で作られる3種類の牛乳は、美味しいと大人気になりました..とさ。
後日、占いのお店には、お礼にと『明治のおいじぃ(オイッ爺)牛乳』がどっちゃり送られてきました。
静どん「う〜ん。もう飲みきれないわ〜。先生助けて〜」
でも、数の子先生は一生懸命になって別の何かを飲んでいます。
静どん「あれっ、牛乳飲まずに何飲んでるの?」
数の子「あたしゃ、レイカン占い専門だからね〜。冷酒一杯飲んでるのよっ」
静どん「それって冷燗占いか〜。あたしもそれにしたらよかった。(ボソッ)」
ちゃんちゃん♪