| 1997年イギリス映画 原題;GIRLS NIGHT 監督;ニック・ハラン 主演;ブレンダ・ブレッシン、ジェリー・ウォルターズ |
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舞台はイギリスの片田舎。コンピュータ基盤を組み立てる町工場で働く、二人の義姉妹。唯一の楽しみは週に一度、町のホールで開かれるビンゴ大会(ガールズナイト)に出かけること。会場の前で鳩のフンを頭に落とされたのが幸いしてか、見事、妹ドーンに大当たりが飛び出す。しかし皮肉にも、その翌日、彼女は病魔に倒れてしまう。脳腫瘍と判明し、治療を受けるも、病状は悪化するばかり。死際までを病院で過ごすより、普段の生活を送ることを選ぶドーン。彼女のかねてからの夢を叶えるため、姉妹はラスベガスを訪れる。 旅先でドーンは、天使が自分にキスをする夢を見る。体を壊し、余命幾許もなくなった彼女はそこで、これまで意識したこともない幸せに気付くことになる。 彼女が再び自宅で病床に伏している時、家族たちはその傍らで静かにテレビをみている。毎日看病をしていたら、四六時中緊張している訳にもいくまい。むしろこれが、リアルな家族の姿だろう。困難を受けとめて、不運を許容することの、勇気と尊厳。それを見守る家族の強さ。弱り切って眠るドーンは安らかではないが、この状況を自分から望み、そして納得している。その情景を見てジャッキーは、強いショックを受ける。気が強いばかりの彼女は、自分本位で、置かれた境遇にいつも不満ばかりを抱いていた。一見気弱そうなドーンは同じような暮らしの中で、しっかり自分の青い鳥を捕まえている。小学校で知り合って以来、どんな時にも自分の味方になってくれた友だち。初めてジャッキーは、ドーンの真の強さを知る。そして身近にあったものの価値も判らず 、大切な夫とも別れてしまった自分に後悔するのだ。 俺にも20数年来の友人がいる。どちらの立場であろうとも、こうした状況では何を思うのだろうか。限られた時間を親しい家族とともに静かに生きるというのも、ひとつの選択である。しかし、一縷の望みがあるならば、最後まで戦いたい、戦って欲しいと願う。治療の打ち切りは安易な決断ではなかったろうし、ドーンの忍耐強い闘病生活は、画面から痛い程伝わってきた。結局の処、最終判断を下すのは自分でしかないが、この選択には言い様のない口悔しさが残った。不条理にも訪れる、不測の事態。運命とは不公平である。選ばれたのが、勝手気侭に暮らす者にではなく、なぜ堅実に生活してきた自分なのか。つまらなくも平凡な日常生活の中に天使がいることを、この作品は教えてくれた。 ビンゴで大金を手にした彼女が本当に望んでいたものとは、何だったのだろう。もともと彼女は大金なんて欲しがってはいなかった。だからビンゴが当った日にも、亭主のお土産は紙袋に入ったいつものフィッシュアンドチップスである。仲の良い同僚たちと行く、日々の暮らしをしばし忘れさせてくれるガールズナイト。この当選は、地道に暮らしてきた彼女に夢を叶えさせてくれる、神様の御褒美だったのかもしれない。 |
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