| 1998年アメリカ映画 原題;THE BIG LIBOWSKI 監督;ジョエル・コーエン 主演;ジェフ・ブリッジズ、ジョン・グッドマン、スティーブ・ブシェーミ |
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予告編を観て楽しみにしていたのだが、残念ながら期待はずれ。映像はいいのだが、ストーリーが支離滅裂で、わざと混乱させているとしか思えない。展開に終始クラクラさせられた(それが狙い?)。監督の前作『ファーゴ』(名作!)はオーソドックスで優等生的な作品だったが、この人、それだけじゃ我慢できないんだろう。今回は映像も含めて、観客の予想を裏切ることを全編楽しんでいる。もしかするとこの映画、ストーリーなどは二の次なのかもしれない。 この題名を聞いて、どんな映画を想像するだろうか。このストーリーは、リボウスキという名前の主人公が同性の金持ちと間違えられて、借金取りに踏み込まれるところから始まる。この名前からして、どこか人を食っている。暇を持て余していたそいつが、文句をつけにその富豪を訪れたことで、さらに状況は泥沼化していく。そこにさらに非日常的な人物が続々と現れてきて、話をややこしくしていくのだ。 この物語の主人公を演じるジェフ・ブリッジズの太り方は、どうにも素晴らしい。格好の悪さが堪らない。ロバート・デ・ニーロがいくら役作りで太ろうとも、このみっともなさはなかなか出せまい。彼がいつも飲んでいるホワイト・ラシアンは、ウオッカベースに、カルアを加え、生クリームを入れて作るカクテルらしい。そんなものを四六時中飲んでいたら、カロリー過多であの出っ腹になるのも仕方あるまい。碌でなしの友達とつるんでは、仕事もせずにボーリングばかりしている。社会の落ちこぼれ。家で出しっ放しの牛乳を一度嗅いでからグラスに注ぐシーンは、妙にリアルで印象に残った。 おかしな連中の中でもベトナム帰りのジョン・グッドマンは、奇を衒ったとしか思えないドイツテクノ上がりのニヒリスト集団(?!)なんかより、よほど気違い度が高い。主人公が何故こいつとつるんでいるのか、疑問に思えるほどの目茶苦茶ぶりである。そして彼は楽天家でかつ、自分本意な思い込みが異常に強い、敬虔なユダヤ信徒でもある。とんでもない人物設定に、こちらは幻惑させられっぱなしである。 『ファーゴ』では変な顔の犯人役が強烈だった、スティーブ・ブシェーミ。本作では会話の間が悪くて、いつも邪魔者扱いされている男を演ずる。まわりに変な連中が多すぎたおかげで、かえって一番まともな人物に思えた。さしたる見せ場も無く、ちょっともったいない気もしたが、最後の最後まで冴えないところが笑ってしまう。個性的な役柄が多い人だが、実際はどんな人物なんだろうか。かなり巧い役者だと思う。 個性的なキャラクターをたくさん登場させているわりに、全体がまとまっているのは、やはり計算された脚本と巧みな演出のおかげだろう。どのシーンも綿密に作られており、くだらない場面でも気が抜けない。好み次第では、かなり楽しめるだろう。逆に好きでないと、趣味に走った画面に憤りを覚えるかもしれない。俺は正直、いまひとつ乗りきれなかった。破天荒だが作り込まれたこの作品は、軽くマリファナでもやりながら観るのが正しい鑑賞スタイルかもしれない。 |
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