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◎2000作品リスト◎

雨あがる
アメリカン・ヒストリーX
エリン・ブロコビッチ
オール・アバウト・マイ・マザー

キッド
恋するための3つのルール

ザ・ビーチ
シックス・センス
ストレイト・ストーリー

どら平太
美術館の隣の動物園
プランケット&マクレーン
プロポーズ

ボーイズ・ドント・クライ
マイ・ハート,マイ・ラブ
ライブ・フレッシュ


キッド
THE KID

監督:ジョン・タートルトーブ
出演:ブルース・ウィリス、スペンサー・ブレスリン

8才のラスティが、40才のラスティに向かって聞きます。

『月はなぜ、時々オレンジ色になるの?』

大人になるとたいてい、仕事や家事に追われて、そうした些細な疑問を考える時間をないがしろにしています。気が付くと、つまらない経験ばかりが豊富な年寄りになっています。変だなと思う、素朴な疑問を自分で打ち消してしまうような。

映画本編の最後で、この現象の答えがテロップで説明されます。光線の具合がどうしたとかいうものでしたが、すっかり忘れてしまいました。私には、全く興味のない知識だったということでしょう。
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子供のラスが大人のラスを差し置いて、エイミーに求婚してしまいます。
それに対し、憎からず思っていた彼女が、大人のラスにいう台詞。

『私に答えを考えさせたい?じゃ、答えを考えさせて』

もうしっかりと、彼女の答えは出ています。
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彼の職業であるイメージコンサルタントを称して、自虐的に自分で、

『クライアントに嘘をついて、イメージをでっち上げる仕事だ』

カタカナの職業に限ったものでもありませんが、確かにある部分、真実かもしれません。

やり手の「イメージ・コンサルタント」ラスの前に、突如、子供時代の自分が現れます。彼は世間的には成功者に入るのでしょうが、昔自分が想像していた生活とはあまりにかけ離れてしまっています。忘れてしまった子供の頃の夢を、少しずつ取り戻していく大人のファンタジー。 初心、忘るべからず?

                          (2000.12.24)INDEX

恋するための3つのルール
MICKEY BLUE EYES

監督:ケリー・マキン
出演:ヒュー・グラント、ジーン・トリプルホーン

結婚を心に決めた女性の父親は、マフィアだった。平凡だった暮らしが、徐々に壊れていく。彼女を失いたくないとの思いでつく嘘が、雪だるま式に泥沼状態となっていく。巻き込まれ役者ヒュー・グラント。困り顔の泣き笑いが、なんとも魅力的。
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金持ちの老婆に対して、絵画購入の相談を受けた主人公がいう台詞。

「美しいものを壁に飾りたいと思うのなら、鏡などはいかがですか」

歯が浮きますが、さすが商売上手。こんな台詞に騙されて、彼女は彼に全面的な信頼を寄せます。

息子を殺されたと思いこんだマフィアの一人が、 主人公を殺そうとします。彼らの結婚会場には十数人のFBIが潜伏して、逆にその男を逮捕しようとたくらみます。ところがこの映画の山場だというのに、逮捕劇が説明足らずでわかりづらい。他にも脚本のアラが目立ち、全体に中途半端な印象でした。

原題をカタカナ表記で、安易に邦題とするケースはよく見られます。しかしこの題名の出来は、如何でしょうか?劇中ではわざわざ、3つのルールを特定する台詞はなかったように思います。後からパンフレットを見て納得はしましたが、どうにも取って付けた感は否めませんでした。(原題の「MICKEY BLUE EYES」は、彼がマフィアの一員を装って名乗る名前)このままでもなあ。難しいです。

                          (2000.12.13)INDEX

美術館の隣の動物園 
ART MUSEUM BY THE ZOO

監督/脚本:イ・ジョンヒャン
出演:シム・ウナ、イ・ソンジェ、アン・ソンギ、ソン・ソンミ

26才になるまで、まともな恋愛経験全くなしのチュニの部屋に、突然訪れた男チョイス。そこは彼のフィアンセが住んでいる部屋だったはずなのに…
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朝が弱いチュニに向かって、チョルスが毒づく言葉。

『おまえはいつも、片想いだろう。男の起きてる時間には、たいてい眠っているんだからな』

実は徹夜で、公募のためのシナリオを書いているので、少し可哀想な気がします。まあ、そんなことがなくとも夜通し遊び歩くようなタイプには見えないのですが。しかし確かに、妙齢の娘が寝てばかりじゃ、ちょっと色気がなさ過ぎます。
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そのシナリオを盗み読みしたチョルスが、認められるかもしれないと期待する彼女に対し、

『それは、入選じゃなくて、当選だ』

なかなか頓智の利いた台詞です。もはや、運100%といったところでしょうか。
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買い物の帰りの雨上がりを歩く彼女に、チョルスがいう台詞。

『荷物は俺が持つから、お前は傘をさして帰れ。乾かして帰れば、部屋を濡らずに片付けられる』

口うるさくて、細々としたことが気になり、料理を作ったり、マメに掃除をするような男チョルス。何だか少し、自分を見ているような気持ちになりました。
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彼に対する自分の思いに気付いた時、 彼女がもらします。

『恋なんて一瞬で落ちるものだと思っていた。徐々に染まっていく恋もあるのね』

この手の台詞は気恥ずかしいものですが、なかなか胸にしみました。運命的に思える一目惚れというのも、大概は勘違いです。そこから生まれる恋愛も良いですが、この二人の場合、結構うまくいく予感がします。
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この作品の主人公チュニは、明らかにミスキャストです。彼女を演じるには、シム・ウナ(八月のクリスマス)はあまりに美しく魅力的すぎます。いくらずぼらで、男のような性格であろうとも、あの風貌では周りが放っておかないでしょう。

『卒業』の主役をロバート・レッドフォードは、自分では現実感がなさ過ぎるといって断ったそうです。この作品も、もう少しリアリティのある女優だったら、傑作になったかもしれません。虚構のシナリオに自分を投影させるしか自己実現のできない、友達の少ないような主人公だったら、もっと多くの人々が共感を得られました。プロデューサーのキャスティングで決めさせられたようですが、テーマに沿って踏ん張ってほしかったです。(ヒットはしなかったかもしれないけれど、守るべき一線だった気はします)

                          (2000.12.11)INDEX

ボーイズ・ドント・クライ 
BOYS DON'T CRY

監督:キンバリー・ピアース
出演:ヒラリー・スワンク、クロエ・セヴィニー

ファーストシーンから、高速で流れる風景が幾度も挿入される。
自分だけ、別の世界の別の時間を過しているような、焦燥感と疎外感を感じる。
男の心を持って、女の姿で産まれてきた主人公ブランドン。酒の勢いで訪れた地で、自分の素性を知らない人々と新しい生活を始めるのだが…

「私も完璧じゃないから」

性同一性障害を告白した主人公に向っていう、恋人ラナの台詞である。しかしこれはビリーワイルダーの名作、『お熱いのがお好き』で女装したジャック・レモンに惚れ込んだ紳士がいう台詞ではないか。パロディにするには、余りにシリアスなシーン。実際、こんな状況に遭遇したら、誰しもこの程度のことしか言えないのかもしれない。

「髪型を変えたの?」

この地を離れることを決意した二人。荷造りをしている最中、ふいに現れた主人公に向って言うラナの台詞。我に帰って、現実がふと客観的に見える瞬間。相手に夢中であった自分が、突然滑稽に思えたりもする。そんな冷めた感情がこの台詞から感じられ、主人公に感情移入していた自分は震撼しました。
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カラオケはボックスができる前、順番を待ってステージで一人づつ歌うものでした。そんな懐かしい風景が、劇中のバーで見られます。ディスプレイに流れる歌詞をみながら、メロディーに遅れながらぼそぼそと歌う。サビのところだけ声が大きくなるのは、外人といえども同じ。格好悪くて、どうにも恥ずかしくなった。そういえばこのところカラオケに行っていないが、どうなっているのだろう。呑んだ帰り、二件目に流れていた日々も遠い昔。流行っているマンガ喫茶や卓球場になる店も多いとか?

                          (2000.11.25)INDEX

オール・アバウト・マイ・マザー 
ALL ABOUT MY MOTHER

監督:ペドロ・アルモドバル
出演:セシリア・ロス、マリサ・パレデス

「お父さん、独りで散歩に行ったの?」
ボケてしまった父親の身を案じて娘が聞いた言葉に母親は言う、

『犬が、道を知っているわ』

イヌというのは賢いもので、大体は自分が毎日通るルートを決めているものです。どこでトイレを済まし、どのイヌを威嚇するのかなど、ほとんどその日課を崩すことがありません。飽きっぽい飼い主などより、よっぽどしっかりとしています。確かにどちらが散歩させてもらっているのか、わからない状況ではあります。しかしこうハッキリ言い切られると、少しこの親父が不憫に思われました。
物語り半ばで家を出ている娘と会うのですが、顔も判らないところを見ると、かなりヤバい病状ではあるようです。
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大女優のウマは、車中で自分の寂しいプライベートを語ります。

『名声なんて、味も香りもないし、実体さえもないのよ。煙(タバコ)が私のすべてなの』

煙りをくゆらせながらいう台詞は、女優という役柄を差し引いても決まり過ぎです。
こういうことを照らいもなく言えるというのが、女優、外人、女ということなのでしょうか?男で日本人で役者でもない俺ならこんな時、どういう言葉で自分の立場を伝えられるだろうか。一瞬、考えてしまいました。
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年期の入ったゲイのロラ。彼の子を産み、かつて一緒に暮らしていたマヌエラが、彼を称して、

『あの人は、男と女の悪いところを合わせ持った人よ』

最悪です。これほど救いようのない悪口があるでしょうか。逃げ道無しの八方ふさがり。悪くとも俺は、最悪の男といわれる位ではいようと思いました。

作家志望の息子と二人で暮らす、移植コーディネーターの主人公マヌエラ。その子どもを事故で亡くし、かつて過ごしたバルセロナで、別れた夫を探す旅に出る。その地で出会う、曲者の女達との波瀾に跳んだ泣きあり笑いありのストーリー。

しかし俺は、どの登場人物にも感情移入ができませんでした。同じ人間なんだからといわれてもなあ。

                          (2000.10.29)INDEX

ライブ・フレッシュ 
LIVE FLESH

監督:ペドロ・アルモドバル
出演:リベルト・ラバル、フランチェスカ・ネリ

戒厳令下のスペイン。バスの中で出産しそうになった臨月の売春婦に対して、付き添いの女主人がいう台詞。

『せっかちな子だね。マドリッドは逃げないよ』

この手の台詞は、万国共通でロングセラーだと思います。同じようなシチュエーションで、古典落語の中にも登場したような記憶があります。誰が言い出したのか判らない言い回しですが、気が効いた風でいてとても陳腐なので、耳にすると恥ずかしくなります。

『マリファナでも吸って、リラックスしよう』

下半身不髄の元警官である夫が、問題を抱えて帰宅した美人の妻に対して持ちかけます。今のスペインでドラッグがどの程度厳しく取り締まられているのか、僕には判りません。しかし、これは余りにフランクすぎやしないでしょうか。もしかすると、酔っぱらって自転車を拝借する程度の犯罪なのでしょうか?

捨てられそうな女が、若い男にすがりつきながら。

『愛してくれとはいわないわ。私が二人分愛するから』

残念ですが、それじゃ全くダメです。もはや自分で何をいっているのか、わかっちゃいません。むちゃくちゃな台詞ゆえに、女のなり振り構わぬ心を強く感じました。
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バスの車中で産まれた男。20才の時、出会った女に裏切られ、過って警官を撃ってしまう。出所した時、その女と元警官は夫婦となっていた。復讐を誓うのだが、途中からそんなことはどうでもよくなってしまって。
5人の男女の愛憎劇。人生それぞれ色々あるさ、という話。この監督、せっかちとみえて、どうでもいい時間はガンガン飛ばしていく。置いていかれぬよう、御注意。

                          (2000.10.29)INDEX

エリン・ブロコビッチ 
ERIN BROCKOVICH

監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:ジュリア・ロバーツ、アルバート・フィニー

高卒、無職で金もない、離婚歴2回、3人の子持ちの女エリン。潜り込んだ弁護士事務所で、ふとしたことから大企業の起こした汚染問題に気が付く。600人以上の原告団をまとめて、公害訴訟を戦ったある女性の事実をもとにしたフィクション。
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「私は、抱けないわよ」
ベビーシッターを買って出た隣人の男に向かって、釘をさすエレン。それに対して、彼は。

『これで君に迫られずに、子守りに専念できるわけだ』

下心はあるんでしょうが、なかなか良い男です。言葉通りに彼はしばらく、主夫としてそこで暮らします。毎日朝から晩まで仕事に没頭する、エリン。そしてある時、両手に子供を抱きながら、好きなバイクが近くを通り過ぎるのを見て、彼は言いしれない脱力感を感じます。そしてまた、自分の生活に戻っていくのですが…。

かみさんに子育ての大半を任せて仕事をしている自分としても、少々身につまされるシーンでした。同時に、忘れてしまった幾つかのことを思い出したりもして。この映画の主題とは少し外れますが、この男の存在は結構重要だと思います。
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相手の企業が想像以上に強大なことを知り、気勢があがって上司が叫んだ「ファック、ユー」のお返しで。

『ファック、ユー、バック(あんたこそ)』

こんな言い回し、ありふれているのでしょうか。掛け合いのようなシーンで、小気味が良かったこともあって、ちょっと耳に残りました。
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医者に子宮と乳房の摘出を勧められている癌患者に向かっていう、エレンの台詞。

『これで生理ナプキンと鬱陶しいブラから、解放されるのよ』

悪意なんて、あろうはずもありません。こうした深刻な状況であればある程、彼等はこうしたユーモアで場をなごませます。当然、TPOはあるのでしょう。しかし僕にはまだ、不謹慎との一線がよく判りません。善かれと思って言ったアメリカンジョークで、袋叩きにあったりして。今のところ、外人に産まれなくて良かったと思うばかりです。

さらに余談ですが、いかに上手く寄せて上げたにせよ、実際あんな風になるもんかね?ジュリア・ロバーツの胸は。

                          (2000.9.19)INDEX


アメリカン・ヒストリーX
AMERICAN HISTORY X

監督:トニー・ケイ
出演:エドワード・ノートン、エドワード・ファーロング

ネタバレ注意(未見の方は、御遠慮下さい)

『独りよがりのアンクル・トムが …』

高校の黒人校長のことを、主人公が揶揄していう台詞です。この手の比喩は良く使いますよね。できるだけ無関係なもの同士をつなげるのが、コツといえばコツでしょうか。用い方によっては、シニカルで気の効いた会話を助けます。

ヘイト・クライム・ストーリー。白人至上主義者で、ヒットラーに傾倒する男デレク。実はその思想の背景には、黒人に殺された父親の影響を強く受けていた。暴走して、刑務所暮らしをすることになる兄。さらにそんな彼を崇拝するようになる弟、ダニーとの物語。

監獄での生活の中で、黒人の囚人と一緒に働くうちに、人種差別のナンセンスさに気付いていくデレク。人間なんて一括りにできるものではなく、個人個人が重要なのだということを悟っていくくだりが、この映画の見どころです。皮肉にも、同類と信じていた白人グループに手酷い仕打ちを受け、彼は目を醒まします。出所して、新たな生活を始めるため、これまでの関係を精算しようとするのですが…

唐突かつ残酷なラストシーンで、このドラマは幕を閉じます。

『怒りや復讐心は、大きな荷物を抱えて生きていくようなもの。その感情に任せて過すには、人生はあまりに短い』

この事件の後、果して兄は私怨に溺れることなく、グループ抗争の仲介役として、それを阻止できるのでしょうか。2時間程の作品ですが、各々のエピソードをもっと長くみたかったと思わせるほどの出来です。

この作品を観る前、KKK団なんて時代錯誤のような印象を持っていました。しかし、アメリカでは今なお続く深刻な問題なんですね。恥ずかしながら、ここまでの実情を詳しくは知りませんでした。

観た後で俺は、日本人として、子を持つ一人の父親として、少し深刻になってしまいました。
                          (2000.8.31)INDEX


プランケット&マクレーン 
PLUNKETT AND MACLEANE

監督:ジェイク・スコット
出演:ロバート・カーライル、ジョニー・リー・ミラー 、リヴ・タイラー

『俺達の運命は、お前の腹具合次第ということか』

無理矢理飲み込んだ盗品ルビーを使って、刑務所の番人を買収しようと企むプランケット。それを出すとか、出せとかいいながら、後の相棒になるマクレーンがいう台詞です。

約250年も前のイギリスで、実在したといわれる伝説の紳士強盗の話。いつかアメリカで一旗揚げたいと願い続けている、元薬屋ブランケット。金はないが貴族達に顔がきく、聖職者の息子マクレーン。二人に気の強い美女レベッカが絡んでの、ピカレスクロマン。

闇討ちにしたフランス大使に、プランケットが向かっていう台詞。

『貴方が(ここに)いる間、フランスは雨だろう』

言葉通りに受け取ると、彼の不在を祖国が悲しんでいるようにも聞こえますが、皮肉でしょうか?このシーンからすれば、憎まれ口を叩くような場面なんですが、良くわかりません。たわいのないシーンではあるのですが、釈然としませんでした。

レベッカの大切にしているネックレスが、マクレーンとの間で行き来します。その辺りの伏線が、どうもわかり難い。ラストで主人公を救うアイテムになるかと思えば、そうでも無かったようだし。「荒野の一ドル銀貨」は、途中の決闘シーンで一度使ってしまっているしなあ。

男二人に女一人の強盗といえば、「明日に向かって撃て」のブッチ・キャシディとサンダンス・キッド。襲った馬車が銃弾で蜂の巣になるシーンでは、「俺達に明日はない」を思い出しました。この映画、目新しくみえて、結構名作の良いとこ取りをしているようです。

当時を知る人などもう誰も生きちゃいないのだから、もっと滅茶苦茶でも良かったのでは?せっかく破天荒でスマートな主人公なのに、センス溢れる粋な台詞があまりありません。ルパン三世じゃないけれど、その辺りのセンスが良いと作品自体の質もグンと高まるんですがねえ。

さりとて重厚で金のかけた舞台と豪華な衣装には、目を見張ります。趣味の悪い首吊り帽子やら、没落裁判官の家の犬がちゃんと死んでいたりと、場面場面に細部のこだわりが見られて楽しめました。
                          (2000.8.31)INDEX


雨あがる

監督:小泉堯史
出演:寺尾聰、宮崎美子

今は浪人の身である三沢伊兵衛が、御前試合をしくじって、宿で待つ妻にいう台詞。

『今日はひとつ、呑ませてください』

始終物静かで、誰に対しても腰の低い彼も、不器用な自分をやるせなかったのだろう。普段は大酒呑みでもなさそうなので、逆に彼の心中が胸に迫った。それに対し、妻は多くを尋ねることもなく、静かに酒を注ぐ。

慈愛に満ち、時として意志の強い妻、たよ。役の宮崎美子がとても良い。優しさが仇となって、なかなか実力に見合った仕事につけない夫を力強く支えている。それに応えようと空回りする夫の姿が、何処かもどかしく、そして物悲しい。

過去に賭け試合をしたために、藩の指南番への登用を断られてしまう三沢。それを告げに来た役人に対する、とよの言葉。

『大切なのは、主人が何をしたかではなく、何のためにしたかということではありませんか』

出来過ぎです。優等生的で格好が良すぎるので、かえってちょっと困ってしまいます。そしてさらに台詞は、こう続きます。

『あなた達のような木偶の坊には、おわかりいただけないでしょうが』

しかしこれで、主人公の忸怩たる想いも、どうにか少し気が晴れるような気がします。

大雨で川を渡れず、宿に足留めを強いられている浪人とその妻。剣の実力はあるのだが、その優しさが皮肉にも災いして、勤めがどこも長く続かない。喧嘩の仲裁に入ったことから、藩の指南番に取り立ててもらう機会を得るのだが。今回は果たして ……
原作山本周五郎、脚本黒澤明。同原作で64年に、内山清一郎監督の『道場破り』がある。
                          (2000.8.18)INDEX


どら平太

監督:市川崑
出演:役所広司、浅野ゆう子

ある藩と癒着した不良地域を一掃すべく、命を受けてきた町奉行の望月小平太、別名どら平太。彼独自のやり方でそこへ潜入し、根絶をはかるのだが、藩の腐敗は想像以上に根深いもので ……

刺客に狙われているどら平太が、彼等全員をみね打ちにした後でいう台詞。

『こっちもそろそろ、篭を早めねえといけねえようだ』

こんなものです。この程度なら比喩として許される範囲というか、普通の会話です。これが向こうだとおそらく、『糠味噌が、酸っぱくなっちまわねえようにしないとな』とか、考えているはずです。

幾つかそれらしい台詞もありましたが、今となっては(脚本は当初、30年前に書かれたもの)何処かで聞いたようなものばかりです。当時であれば、奉行のベらんめぇ調も新鮮だったのでしょうが、現在ではさして目新しくもありません。むしろ活劇としてのアクションシーンが、楽しめる作品でした。

                          (2000.8.18)INDEX


マイ・ハート,マイ・ラブ
MY HEART MY LOVE

監督:ウィラード・キャロル
出演:ショーン・コネリー、マデリーン・ストウ

『脳腫瘍だろうと、パーティーは開くよ』
『頭金を、払っちまっているからな』

重病の夫ショーン・コネリーが、妻のジーナ・ローランズにいう台詞です。そうです、これこれ。この後どれくらい生きていられるか分からないような状況でも、こんなことをいう。自分自身のことだから不謹慎だともいいませんが、やはり文化が違います。

そして酒を飲みながら、こんなことも漏らします。

『寿命があったら、アル中になれるかもな』

決して自虐的に暗くなったりすることもなく、ごくごく自然に言葉が出ます。台詞の陽気さの裏返しには、ユーモア無しではやってこられなかった民族の歴史を感じます。
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離婚した男が、外し忘れた指輪を別の女性に指摘されて、

『結婚指輪をしていると、男に迫られないもんでね』

中学生の頃「ピンクパンサーPART3」を観て、ゲイの存在を知りました。バイセクシャルがどういうものか、全く知らなかったので、とてもショックを受けた記憶があります。その頃に比べると、彼等への差別偏見も随分と少なくなってきたのではないでしょうか。

この後で、彼女の別れた夫が実はゲイで、他の男に寝取られたことが判ります。こんなことばかり考えていると、気の効いたことを云おうとして墓穴を掘ることも多かろうと思います。
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様々な関係の11人が、織り成す人間模様。愛情に対して、それぞれが格闘し、人生を模索します。演劇的で会話も多く、達者な役者が揃っていないと様にならなかったであろう、第一級の群集劇。必見です。

(2000.8.2)INDEX


プロポーズ
THE BACHELOR

監督:ゲイリー・シニョール
出演:クリス・オドネル、レニー・ゼルウィガー

独身生活を満喫し、結婚を人生の墓場だと思っているジミー・シャノン。ところが祖父の遺産を相続するため、30才の誕生日(なんと翌日!)までに何としても結婚しなくてはならなくなる。バスター・キートン主演の名作『セブン・チャンス』のリメイク。
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花嫁探しも万策尽き、公園でボートを漕いでいるジミー。なぜか一緒に乗っている司祭の一言。

『(かみさんは)君が老いた時に、青年時代のことを憶えていてくれるんだよ』

有り難いことです。さすが司祭のお言葉。男だろうが、女だろうが、一緒に過ごした時間というのは貴重です。記憶を共有することで、二人の間には連帯感がうまれます。この台詞で、ジミーは心から結婚することを決意します。
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結婚して他人と暮らす煩わしさより、一人暮らしの気楽さを選ぶ人の気持ちはよく分かります。今は便利ですから、生活する上で不自由することなど滅多にありませんし。

それに結婚すると、煩わしい関係も一緒に抱え込まなくてはなりません。気ままな独身時代と比べると、我慢したり、させたりといった不自由なことも多いもんです。

とはいえ、一緒に笑ったり泣いたりできる相手が傍にいるというのは、とても幸せなことです。一緒の冗談で大笑いをしたり、背中をマッサージしてもらっていると、生活の幸せを感じます。些細なことですが、こんな処が現実ですかね。
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徹夜の嫁探しに疲れ、待ち合わせの教会でひと眠りする主人公が司祭に向かって、

『ここでなら、死ぬまで寝ちまいそうだな』

なんの気なしの台詞ですが、こんなことをいつも考えているというわけです。
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お情けでしてもらうようなプロポーズを断固として拒絶する、けして美人ともいえないアン。人としてのプライドと、愛情ある結婚に対する真摯な態度に共感させられました。

(2000.8.2)INDEX


ザ・ビーチ
THE BEACH

監督:ダニー・ボイル
出演:レオナルド・ディカプリオ、ヴィルジニー・ルドワイヤン

天体写真を撮ることが大好きなフランス娘に対して、もてないディカプリオが空を見ながら口説く文句。

『何処かにある、別の同じような世界にいる君が、今の君のことを(写真に)写しているかも知れないね』

満天の星の下では、妙にロマンチックな気分になってしまい、こっ恥ずかしいことも言っちまうもんです。その娘も負けてはおらず、『アメリカ人の男が、フランス娘をたぶらかす常套文句ね』などとその場をいなします。ところがその後の展開をみると、どんな歯の浮くような台詞でも言ったもん勝ちといった処でしょうか。とにかく機会あらば、懐に潜り込んで打つべしということです。
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他人と違うことがしたくても、結局、同じようなことしかできない。ここではない何処か。理想郷を求めて伝説のビーチに向かう若者達の話。
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何処にもパラダイスなどは存在せず、各々の心に理想があるという、常識的な結末に失望。六年近くも暮らしている住人達が、文明社会にひどく依存したままでいるのももどかしい。ゲームボーイやタンポンが、楽園を生きていく上で本当に必要不可欠なモノなのか。そんな張りぼて共同体が、何事もなくそれまで存続してきたことが不思議だ。個人の欲望も、所詮その程度のレベルなので、主人公がそこで気を違えていく理由も理解できない。

その島に住む連中は、単に現実の生活から逃避して、生きてきたのだろう。だから結構安易に普通の社会にも接触を持ち、そこへ帰っていくことができるのだ。と考えると、そこは集団精神病棟だったのかも知れない。

主人公と他の数人を除いては、あまりキャラクター設定もなされていない。だから木偶の坊の集り、烏合の衆。こんな綺麗な場所であっても、この連中と面白可笑しく暮らしていく自信は俺にはない。
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迷い込んできた子供の鮫を倒したディカプリオの武勇談。
格闘の末、相手を倒し、眼と眼で自然の摂理を語り合った後、その鮫が彼に言った言葉。

『いい食事をくえよ』

食べるつもりが食べられて、といったジョークのつもりだろうが、これって面白いか。訳が良くなかっただけかも知れないが、感性が違うとしか言い様もない。脱力感。劇中でもあまり受けてはいなかったけどね。

(2000.7.19)INDEX

シックス・センス
THE SIXTH SENSE

監督:M.ナイト・シャマラン
出演:ブルース・ウィリス、ハーレイ・ジョエル・オスメント

主人公の妻が働く宝石店で、ある男が高価な宝石に見とれる女に向かって、

『君はサファイアのように美しい。だから家に二つはいらない』

もしかするとこの程度の台詞、銀座の和光あたりでは日本でも聞けるかもしれない。まだ許せるのは、これが男の心底から出たものというより、苦し紛れに飛び出した言葉だということ。シンプルな指輪を探す男に対し、私にはシンプルがお似合いって言うの!と無茶苦茶な駄々をこねる。だから女ってヤツは。

ストーリーは、死人が見えてしまうという不運な才能を持ってしまった少年の話。そのおかげで周囲に馴染めず、情緒不安定な彼を救う医師に、ブルース・ウィルス。「決してラストは、話さないで下さい」という前置きは、サスペリアが最初だったろうか。かなり吃驚させられました。満足の一本。ビデオ必見!

(2000.7.5)INDEX

ストレイト・ストーリー
THE STRAIGHT STORY

監督:デイヴィッド・リンチ
出演:リチャード・ファーンズワース、シシー・スペイセク

旅で出会った娘に「いつから旅をしているの?」と聞かれて、

『一生、ずっと旅しているようなものだなあ』

日本ならさしずめ、渥美寅さんか渡り鳥の小林旭だろうか。若造には到底吐けない台詞である。俺も長生きしてこんな気の利いたことを一度は言ってみたいものだ。到底似合わねえだろうし、言う前に自分で笑っちまうだろうが。こう考えると、年をくうというのも案外良いこともあるかもしれない。

『老いると細けえことが、気にならなくなる』という主人公に対し、「歳をとって嫌なことは?」という青年の質問に答えて、

『若い頃のことを、覚えているってことだな』

含蓄。老獪。長い老人の人生をも想像させるくらいのお言葉。その青年は絶句してしまう。老人になったら若いヤツ相手に、ぐうの音も出ないくらい身も蓋もないことを、早く言ってみてえなあ。

ストーリーは、500キロ離れた病床の兄のもとに、小さな耕耘機に乗って会いに行く74歳の老人の話。幾つかキャラクター設定にこだわりは見られるが、デビッド・リンチらしからぬ普通のヒューマンドラマ。大阪で働く二人の弟と、無性に話をしたくなってしまった。

(2000.7.5)INDEX


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