マルクス・アウレーリウス『自省録』(岩波文庫・青)
著者は古代ローマ帝国の五賢帝の一人で、「哲人皇帝」と呼ばれるほど(当時から呼ばれていたかはナゾ)常日頃から哲学的思索に没頭し、帝国の統治から日常生活に至るまであるべき人間像を追求し、実践しようと試みた。豊富な人生経験や周囲を取り巻く人々との関係、社会の動き等になされた鋭い分析は、現代の私達の直面する問題にも尽く応用できると思われる。就職、進学、その他人生の岐路に立つ私達に対し、内省することで自己のある姿、またあるべき姿を認識し肯定することの重要さを教えてくれる。強く生きるための指針としても、良き人間像を探究する手がかりとしても、はたまた単なる随筆としても読めるものだと思う。著者はこれを公表するつもりではなかったのだろう、一つ一つの文章は体系づけられていないが、それがまたちょっとした時間に軽くかじり読むのにいい具合である。約二千年も前の文章がいつの時代も変わりなく愛され、自省の友とされてきたのは、それだけこの文章の持つ価値が素晴らしいものとして人々に認識されてきたからではないだろうか。
(大迫さん)