「深遠なる和敬清寂の世界」
VISA 2001年11月号 特集記事「日本茶大全」より千 宗室
裏千家 利休居士第15代 鵬雲斎 家元「和敬清寂」
利休が大成された茶道の基本理念は「和敬清寂」という言葉に集約されている。
- 和
- 茶室における平等でバランスのとれた状態。いったん茶室に入れば身分の区分、差別は存在しない。
- 敬
- 人間としての思いやり、いたわり。
- 清
- 汚れた心を少しでも磨き、清潔にすること。
- 寂
- 泰然自若(たいぜんじじゃく:落ち着いていて物事に動じないさま)として多少のことで揺らがない不動の信念。
要約すれば
「お茶を通して、いかに自分を高め、他人に対するもてなしの心を表現できるか」
である。侘び 寂び
「侘びとはインパーフェクト・ビューティ、つまり不完全なる美≠ニいうことです。センシュアルなものではなく、精神的にすごく落ち着きがあって美しい状態であり、そこにものの哀れがあります。」
「寂びは枯高。枯れ果ててもまた次に芽生えてくるという、再生の力強さを表しております。」
利休七則
「茶道とは?」と弟子から問われたとき、利休はこう答えた。
茶は服のよきように点て、
炭は湯の沸くように置き、
花は野にあるように、
さて夏は涼しく冬暖かに、
刻限は早めに、
降らずとも傘の用意、
相客に心せよ
弟子「それならばよく存じております」
利休「それが本当にできれば、私はあなたの弟子になりましょう。」
◆
これは、侘びの不完全なる美につながる逸話である。茶道において完全なるものなどない。日々精進を重ね、奢らずに、いかにして完全と思える境地に近づくか重要なのだ。茶道が哲学的でることの証でもある。
茶道の要素
- 哲学的
- 道徳的
- 芸術的
- 修道的
- 社交的
- 宗教的
といった6つの要素を含み、全体として「道」という概念で形成されているのが茶道。
高邁な精神世界は洋の東西を問わず融合する
キリスト教と茶道に共通する思想
- 寛容
- 慈愛
- 忍耐
15代家元の理念は「一椀からピースフルネス」
茶道文化の浸透、発展と世界平和を図る。
◆
「日本人だろうと外国人だろうと、一生懸命お茶の精神を理解し修行する人はする。 それは個人差であって、国籍ではないのです。 茶道の深遠なる世界はそんな小さなことにとらわれるものではありません。」
自国の伝統文化を知ってこそ国際人
「現代の日本人は、語学の修得や他の国の文化を知ることばかり追求しているような気がします。 しかし本当の国際人になるためには、まず自分の国に残るすばらしい伝統文化を、もっともっと知る必要があると思うのです。 それが理解できなくて、外国でどのように日本という国を説明できるのでしょうか。 茶道だけでなく能や歌舞伎など、広く理解し身につけることによって、真の国際人としてふるまえるはずです。」
(おわり)