2.学会設立準備会

 

1) 第1回設立準備会

 第1回設立準備会はその年(1997年)の暮れ、12月6日に農業総合研究所で開かれ、保田教授が用意した「日本有機農業学会(準備会)設立趣意書(案)」及び「日本有機農業学会(準備会)の課題と活動方針(案)」を含め、研究報告・交流会の開催方法や日程などについて話し合うことにした。

呼びかけ対象の人選を一任された足立恭一郎(農水省・農業総合研究所)が暫定的に約30名の有機農業研究者を選び、当日、都合のついた15名が集まった。

事務局サイド(保田教授、足立)としては、呼びかけ対象を限定したことにより、「設立趣意書(案)」と「課題と活動方針(案)」に示された論旨の主幹部分については大きな異論は出ず、次回から試行予定の研究集会を稔りあるものにするための話し合い、すなわち学会(準備会)シンポジウム・テーマや報告者の選定など、具体的な事柄の検討に入れるだろと予想していた。 しかし、予想に反し、「課題と活動方針(案)」に示された「3)日本有機農業学会の課題、@有機農業思想の確認と共有=反公害、脱市場主義、新協同組合主義、自己批判」という「4つのキーワード」と、足立が作成した「参加呼びかけ文」中の「研究のための研究に終始しない人」という記述を巡って異論が出され、実質3時間では結論が出せないまま散会することになった。


異論や意見・感想の主なものを紹介すれば、以下のとおりである。

 

 

 

 

 

 以上のような異論・意見・感想は、最後のものを除き、事務局サイドとしては全く予想外の反応であった。なかんずく、上記2点の部分は説明不足もあって提案者の真意が正確に伝わらず、却って要らぬ「誤解」を招いたようであった。しかし、考えてみれば、そうした反応の多様性は当然のことである。呼びかけに応じて集まった人々はこれまで、それぞれの信念に基づき、独自に有機農業を研究してきた人々である。十人集まれば十通りの問題認識と研究スタイルがある。それを僅か1度、しかも僅か3時間程度の話し合いで足並みを揃えようとすること自体、拙速であり、無理があったと見るべきであった。――この反省に立ち、次回準備会は「誤解」解消と相互交流を図るための十分な時間を設けて、再度、東京で開催することになった。