2) 第2回設立準備会

 1998年4月4日と5日の両日、農業総合研究所において第2回設立準備会が開催され、16名の研究者(大学院生を除く)が集まった

 前回の反省に基づき、1日目は@自己紹介を兼ねて各人の有機農業研究への取り組みを紹介し、A「4つのキーワード」及び「研究のための研究に終始しない人」に対するコメントを出し合い、それを受けて、2日目にB事務局サイドが説明するという方法をとった。

以下は事務局サイドからの説明要旨である。

 a)周知のように、日本の有機農業運動は1971年10月の「日本有機農業研究会」の 設立を画期にして全国的な広がりを持つようになった。同研究会は、「産消提携」と いう日本独特の「生産者と消費者の顔と暮らしの見える有機的人間関係の基盤上で展 開する物流システムの新機軸」を提案し、今日まで、日本の有機農業運動を名実共に 唱導してきた。

 b)「4つのキーワード」は、そのような日本の有機農業思想を保田が研究者としての視 点から整理したものであり、決して研究者を選別するための「踏み絵」ではない。

 c)研究者には各人の主張があり、キーワードの妥当性等について異論があって当然だが、重要なのは、学会名に「有機」の二文字を冠する以上、有機農業の思想とは何であっ たのか、有機農業はどのように展開されてきたのかなど、基本知識を共有するところ からスタートしなければ、有機農業研究は形骸化する懸念がある。

 d)「研究のための研究に終始しない人」という呼びかけ基準に違和感を覚える人が多い  ようだが、これを外したら学会名に有機を冠する意味がなくなる。「実践と切り離さ   れた洞察は、結局は無効である」とフロムは言った。日本にも「農学栄えて、農業滅   ぶ」という言い方があるが、「唯研究主義」に陥った研究者(及び彼らが構成する学   会)は生産者や消費者を無意識裡に単なる研究対象(材料)と見做して現場の生活感   覚から乖離し、サロン的論議に埋没する陥穽に嵌りやすい。

 e)「学会はあくまでも冷静に科学的な基礎研究を積み重ね、議論する場。運動とは一線  を画すべし」というコメントも理解できなくはないが、「果たしてそれでよいか」と   湧き出す疑問には払拭しがたいものがある。――有機農業運動に関わってきた生産者   や消費者は学会設立に大きな期待を寄せているが、有機を冠する学会が既存の学会と   同じパラダイムを踏襲していたら、「論文の数を増やすだけの、研究のための研究は   無用」「そんな学会なら要らない」ということになるのではないか。

 

 残念ながら今回も、合意形成には至らなかったが、いつまでも「入り口」部分で議論を繰り返していても生産的ではない。したがって、この部分は今後も継続して議論することとし、次回は、取り敢えず「有機」の二文字を冠した学会(準備会)として、試行的に神戸大学でシンポジウムを開催することが合意された。