| 喪失感・・・ その瞬間は突然やってきました。 まだ肌寒い3月上旬、僕らは激しい衝撃の後、夕方のきつい西日を その車体全体に反射しながら、道の中央に留まらなければりませんでした。 信号を見間違った彼は、Z3のフロントを砕いた直後、 自らも部品をばら撒きながら命を落とさんばかりの横転を繰り返し、 僕らの遥か遠くにその残骸を横たえました。 何が起こったのか理解するのに少し時間が掛かりましたが、 僕らがひどくダメージを受けた事は容易に理解できました。 数日間は、言い様のない恐怖感に取り憑かれ、 代車のステアリングを握るのも嫌なくらいの状態に陥っていました。 しかし、それ以降は言い様のない喪失感が僕を支配しています。 何かに夢中になっている時はそれを忘れていても、そうでない時は 「何かが足りない・・・」 と、 心が空腹を訴え、それを呪文のように繰り返しています。 思えば・・・ 時間が経っても、遠くから見ているだけでドキドキする車体でした。 狭いシートに身体を滑り込ませ、重いクラッチに不満を漏らしながら エンジンに火を入れることが習慣になっていました。 背中にドライブシャフトと駆動輪のトルクを感じながら、レブリミッターまで アクセルを入れることもありました。 車体が重いな・・・と感じた時は、幌を外してやると 全く違う車のように軽快に疾走したものです。 すべての感覚は、僕の一部だったもの・・・そして今一番取り戻したいものです。 実は取り戻したいものが他にもあるのですが・・・ 春が遠くないことを信じて その時を、焦らず、じっくり待つしかないようです。 (;_;) |

