☆理科教育に関して☆
平成10年に示された新指導要領では,中学校理科から“進化”が高校へと送られましたが,一方では“示準化石”“示相化石”“化石の示す地層の年代や環境”については取り扱うことになっているままです.進化という概念なしに,化石の示す情報を理解することはできないはずですが,これが学習指導要領の実態です.ちなみに,現在のような高等学校での教科の選択制の実態では,全員が生物を選択するとは限らないため,実質的に“進化”は学んでも学ばなくてもいい概念となったことになってしまっています.21世紀を迎えようとするこの時代において,もっとも重要な科学的概念の一つである“進化”が,このような扱いになってしまうことに対して,私達はもっと神経質にならなければならないのではないでしょうか.

理科は,自然を扱う教科です.学校における理科の具体的な教育内容は,文部省の定める学習指導要領に基づいています.しかし,そこには理科教育の“目標”は示されているが“目的”そのものは明示されていません.したがって,たとえば教員各人が教材の精選を行うに当たって,単元のメリハリをどうつけるか,という時の根本的よりどころも示されていないのです.このことは,「なんのために(理科を)勉強するの?」というこどもの問いかけに対する答えを,教員個人がそれぞれに用意しなければならないということを示しています.学習指導要領が改訂されるたびに,学校現場が内容の増加・削減に一喜一憂するわけですが,理科教育の目的に照らした教育実践が行われるような道筋を考えることで,「本質的に重要なことを見失わない教育」を心がける必要があると思います.私達の研究室では,「理科で学ぶべきことは何なのか」を考えていきたいと思っています.

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