研究評ニュース NO.143
2002年2月18日発行
発行:試験研究評議会事務局
電話011−747−2211(内線774)


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ニュース項目
○独立行政法人化に関する学習会内容
○全道庁による知事に対する独立行政法人化に関する申し入れ
○自治労研究職全国集会のお知らせ
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「独立行政法人化」に関する学習会が開催されました

独立行政法人化に関する学習会が、平成14年2月4日、北農健保会館において開催されました。各研究機関の支部から多数の参加があり、その実態についての認識が深められたと思います。以下、学習会の内容をお知らせいたします。

各支部においても独立行政法人化に関する学習会を開催するなど、独自の活動を行うようお願いします。講師派遣については、研究評でできるかぎり対応していきたいと思いますので、ご連絡下さい

主催者あいさつ:全道庁本部副執行委員長 仲野晶織氏

一昨年から国の研究機関の独立行政法人化が進んでおり、地方でも導入に向けた検討がなされている。現在も国公立大学で進められようとしているが、現場では反対はごく一部で、仕方がないという認識が多くあるようだ。10月の全道庁定期大会でこの問題に関する質問が出されたが、本部としては基本的に反対の立場をとっている。国、道議会、知事への対応を今後どうするか考えていかなくてはならない。特に道議会に独立行政法人化の問題点を認識してもらうように働きかけていくことを考えている。道の研究機関も自ら制度について考えていくことが重要であり、希望している。

主催者あいさつ:試験研究評議会議長 沼辺明博

全国では、若手型の任期付研究員の採用が進められているが、道で若手型の採用はなく、昨年の学習会の効用があったと考えている。独立行政法人化の問題にしても、法律化の前から学習会を開くことに意義がある。国では57の機関が独立行政法人となっており、その中では、国家公務員としての身分が100%保障されているわけではないようである。大阪府では、率先して、独立行政法人化の法律化を国には働きかけており、総務庁もそうした動きに答える姿勢が伺われ、動向を注目していかなければならない。

公務員制度改革と独立行政法人化について:鈴木重幸氏

公務員制度改革について、1月11日の日経連大会において、ワークシェアリングや短期雇用といったような賃下げと雇用形態の変更が論議された。独立行政法人化については、公務員制度改革が出発点ではなく、本来、独立した目的のものであった。行政業務の減量、効率化が目的にあり、執行業務は独立行政法人化、その他は民間移譲することにより、平成22年まで、25%の職員のカットが見込まれている。2005年に法整備、2006年に国家と地方を同時に独法化を進める予定を立てている。昨年の12月25日には小泉内閣により、公務員制度改革大綱が出され、公務員制度の抜本改革を政治主導で行う考えが示された。その内容は○能力、実績重視○組織、人事管理は各大臣が権限を持つ○貢献度重視の退職金支給○人員の削減、といったもので、公務員個人と行政組織が政治にさからえないことを見通した制度改革と言えそうである。新公務員制度の問題として考えられるのは、月例賃金が能率給、課長以上の職責給、査定による業績賞与の関連から個人ごとに全く違う給与高となり、賃金の高低の差が大きくなることである。東京都では、ポイント制の退職金制度を設け、都政への貢献度で決定することも考えられており、こうした制度改革により、公務員の収入にかなりの差が出てくる事が見込まれている。

国立機関による独立行政法人化 全農林北海道本部書記 堀田祐司氏

農水省の機関では昨年4月から独立法人化されている。1997年に行政、公務員制度改革の5項目が提案され、その中に@行政機能の減量A公務員制度改革が含まれている。地方も国家と同じスケジュールで進められることが見込まれ、民営化、民間移譲も考慮されている。農水省の17試験研究機関、5検査機関が独法化、2大学が民間移譲対象となった。全農林では、98年に民間移譲、民営化に反対を確認し、99年の17機関独立行政法人化の最終決定に際して国家公務員身分付与を認めさせ、2001年の独立行政法人の設立に際して身分、雇用、労働条件の確保を認めさせた。全農林の立場として、農林水産省の研究機関には民営、独法化はなじまないとして反対を示しており、国による制度化の後には就業規則により、より良い協約協定を締結することを目指した。独立行政法人の運営は中期目標、中期計画によるものが基本で、運営費交付金の予算は借入金と財産譲与である。3〜5年で成果が上がる研究課題を中心に考えられていたが、全農林は3年では無理と主張し、一律5年の計画で認めさせた。今後、財務省からの予算確保が重要な課題であると考えている。業務の範囲は個別法で、その範囲を超えると罰則が与えられる。評価によっては機関の廃止も可能な制度となっている。本来、人事院勧告から外れていた昇任、昇格に対する業績評価が、今年4月から執行され、現段階で、評価を下す管理職の訓練を行っている。これに対しては、透明性と納得性を確保する必要があり、そのためには単純な点数付けではなく、質的な評価がなされる必要がある。任期付研究員については、職場の納得と活用のやり方を踏まえて対策をすべきで、決して反対ありきではない。いずれにしても独立行政法人化については、国、地方が連携し、団結した取り組みをすることによって効率的で有効な対策がとれるものと考えている。

(質問)予算の総額がジリ貧で不変である上に、研究評価によって研究予算が減少することが考えられる中で、研究費の減少を認めるのは危険であると思う。
(答え)独法の全体予算はドンブリ勘定で、研究費の増額により、人件費が削減される危険性もある。5年後に予定されている評価後の予算を踏まえて考えていかないといけないと考えている。

(質問)長期的に押し込まれた部分を押し返していくことを考えるのも必要ではないか。
(答え)国民のための研究、公務ということをどう理解させるかが問題であり、国民へのフィードバックを同時に考えていかないといけないと考えている。

国の独立行政法人化の実態:産業技術総合研究所 中川 充氏

産総研は旧通産省の工業技術関連の機関が一本化されて独立行政法人化した組織で、効率化を名目に官僚のポストを増やすことが裏の目的にあったことが伺われる。他の独法化した機関では職員の身分、待遇は変わっていないところが多いようだが、産総研は大きく変化したと思われる。45の部門・グループに細分化し、組合活動がバラバラになっている。予算、運営交付金がドンプリ勘定であり、ほとんどは外部から研究費を獲ってきている状態で、トップダウン型の予算運営である。研究評価により、部門間の競争が発生し、予算にも反映されている。特に、予算配分が、容易に結果の出る研究部門に偏向している。また、論文数といった点数化された個人評価がなされ、評価基準が曖昧である。給与は、行政職と研究職が一本化し、昇給、昇格時期も一本化された。一号棒が(昇給月に合わせて)4分割され、非常にたくさんの号棒数となった。このため、評価によって昇給の幅が差別されるのではないかと懸念している。寒冷地手当も条件を悪くする動きが認められる。自分がやりやすい組織を考えて対処していくことが重要と考えている。

全道庁の取り組み:全道庁本部賃金部長 井上昭弘氏

国においては、50万人の職員が独立行政法人に移行の予定である。2001年10月10日の総務省の研究会において、行革大綱の地方導入が盛り込まれ、2回目(12月21日)、3回目(1月24日)の研究会で地方においての導入のあり方が論議された。今夏に研究会の中間報告が出される予定である。地方では東京都と熊本県で、都立大学、県立大学の独法化が論議され、大阪府においては、大学と試験研究機関を独法化するため、国に法整備の要請を行っている。北海道では、平成7年に道議会で試験場、医大の独法化の可能性について質問が上がったのが最初であり、平成12年に知事により、独法化の実現に対し研究していきたいという答弁がなされた。医大関連では、2001年8月に法人化ワーキンググループが立ち上がっている。平成13年9月に出された「道財政の展望」の中で、行政のスリム化、地方独立行政法人化の導入についての検討が盛り込まれている。現在のところ、独法人化に関する研究会は立ち上がっていない。全道庁では、行政機能の減量化と効率化は研究機能の低下をもたらし、労働条件の改悪になると認識している。道に対する監視を強化し、道議会での連携をとることも重要と考えている。更に、地方における取り組みの強化、独立行政法人の問題の調査、独法化反対のための理論武装、国の情報収集を実施していきたい。職場段階での取り組みに期待している。

全体討論

(質門)国では、省によって具体的な独立法人の実態が違い、今回の報告からも農林水産省と通産省で形態が違うことが明らかとなった。地方の場合も、大阪の例で伺われるように通産省型で進められる可能性が高いと考えられると思うが。
(答え)旧通産省は、研究員に国家公務員身分を与えた事に対し、納得していないことが伺われる。国と研究員の間に制度制定に対して溝があり、形式だけは職員が要求した形にして、実際は役人が決定している。研究員には正当な評価なら受ける心構えがあることも理解してもらいたい。

(意見)公務職場への競争の導入は、労働組合潰しが根底にあるように思われる。研究職場に対して、知事や行政から研究成果への疑問や誤解があることも事実である。我々の研究・仕事の宣伝が必要である。独立行政法人化の問題は、当面導入が論議されている医大や他の組合との連携した運動が重要であると思う。

(意見)医大では、年頭の学長のあいさつで、独立行政法人化を認める発言があった。また、現業、看護士、技術職の民間移譲、削減案も出されている。そのような情勢ではあるが、医大に関する取り組みは、入院患者や学生に配慮した表現をお願いしたい。

(意見)独立行政法人化に対する反対は道民のためであるということを強調してもらいたい。

(意見)全道庁には、地方に対する独法化は問題ありという立場をとり、全国に運動を広めてもらいたい。

(全道庁)自治労連などの組合との連携は、職場の調査という目的では必要である。また、全国の機関との連携は必要と考えている。独法化は水面化で進められることが十分考えられるので、今のうちに釘をさしておくことも考えている。医大に対しては表現を工夫し、研究職場とは別の角度の対応も必要と考えている。

全道庁により知事に対して独立行政法人化に関する申し入れが行われました。

2001年2月8日に、全道庁本部から知事に対して独法化反対の申し入れをしたという報告がありました。相手先は職員監参事ということです。申し入れの内容は以下のとおりです。また、独法化に関する経過や情勢について、2月19日の本部拡大闘争委員会でも報告する予定であるようです。

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2002年2月8日
北海道知事 
 堀  達也 様

自治労全北海道庁労働組合
中央執行委員長 山 上  潔

独立行政法人制度に関する申し入れ

日頃から道民生活の福祉の向上と生活安定のためにご努力に敬意を表します。
さて、国の研究機関などが2001年度から独立行政法人に移行している状況から、知事は、道における独立行政法人制度00について「国における制度検討の動向なども見定めながら研究して参りたい」と議会で答えています。医大では、すでに法人化についての内部検討が進められています。また、昨年9月の「道財政の展望」のなかでも、「行政改革の一環としての行政のスリム化、行政運営の透明化、自己責任の明確化を図る観点から、地方独立行政法人制度に係わる国の検討状況を踏まえ、その導入について検討します」と述べています。
全道庁は、とりわけ、試験研究機関の独立行政法人化については、行政機能の「減量(アウトソーシング)、効率化」であり、企画部門と実施部門の分離を図り、行政サービスに市場原理を導入しようとするものであると、とらえております。
つきましては、以下のとおり、申し入れますので、誠意を持って対応してください。

1 試験研究機関等の地方独立行政法人制度は、公的な試験研究機能の低下と当該職員の賃金・労働条件の改悪につながることから反対であり、導入しないこと。
2 札幌医大は地域医療への貢献と充実を目的に設立され、教育・研究・診療を行っています。道は「地域における医療供給体制の整備」として重要な位置付けをして機能の充実を図っていますが、独立行政法人制度の導入は、道民にとって大きな損失となることから反対であり、導入しないこと。

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第7回自治労研究職全国集会、第8回総会開催

第7回自治労研究職全国集会および 第8回総会が以下の日程で開催されます。研究評から、田川雅一副議長が参加する予定です。内容は研究評ニュースで追ってお知らせします。
  (1)日時:5月24日(金)13:30〜    〔全国集会〕
        5月25日(土)午前11時から12時 〔総会〕
  (2)場所:鹿児島県・霧島
  (3)内容:@研究機関のエージェンシー化(独立行政法人化)について  
        A研究職任期付任用・労働条件緩和(兼職規定)等について
        B全国実態調査(研究職の賃金・労働条件)について
  (4)レポート要請:北海道、大阪「任期付任用の導入とこれをめぐる取り組み」
  (5)職種別分散会:@農林水産系、A工業商業系、B環境・保険・建設系
  (6)参加集約:4月末日