研究評ニュース NO.148
2003年1月10日発行
発行:試験研究評議会事務局
電話011−747−2734



記事内容
○年頭あいさつ
○全国研究職場の状況報告


2003年を迎えて            研究評議長  沼辺 明博

 明けましておめでとうございます。昨年の研究評総会以降、賃金削減、職員の適正化(?)計画による職員数の15 %(10年間)削減、独法化の検討など、新たな合理化案が次々に提案され、課題が山積みの年を迎えた感があります。 知事は年末の「仕事納め」や「仕事始め」の挨拶で、経済の低迷による財政難や、国の構造改革の影響などにふれ、全国一律ではなく「北海道スタンダード」の確立を強調し、積極的に取り組んできたと強調しています。しかし、実際に我々に提案されている事項を見る限り、道の独自性があまりみられず、国(総務省)主導による全国横並びの行政改革であり、行政需要とは無関係に「スリム化」競争を競い合っているとしかみえません。
 また、地方独法化問題では、総務省は平成15年度の通常国会で法案を成立させようとの動きがあり、新潟県は他の自治体に先駆けて平成16年度には試験研究機関を中心に独法化を導入する方向を示していると言われています。
 我々は、北海道において各試験研究機関が果たしている公的機関としての役割を明確にし、「道民の役に立つ」、「道民のため」の公的試験研究機関として発展させていきましょう。

全国の研究職場の状況について情報が得られました。

 定数削減、アウトソーシング、PFI手法の導入・独立行政法人化問題など、現在、公設研究機関の取り巻く状況は厳しくなっています。それに対抗するためには、国や他都府県の機関と連携し、幅広く情報を集め経験交流を薦めることも重要と思います。
 この間、全公試連・千葉集会、自治労県職共闘会議、自治労研究職連絡会議北海道・東北ブロック会議など開催され、情報の収集に努めて来ました。全国の研究機関では、どのような問題が上がっており、どのような取り組みを行おうとしているか、が得られましたのでお知らせします。

【国立研究機関(つくば)】つくば市にある国立研究施設は2001年度の「独立行政法人通則法」の施行をうけ、42機関に整理されました。そのうち、24の研究系労組や職組が横断的に集まった「筑波研究学園都市研究機関労働組合協議会(学研労協)」が6独法3国研の実態調査を行い、機関により条件が違うようですが、おおまかな実態がわかってきました。
 就労条件については、行政と研究の給料表の統合(行政が研究に合わせている)、業績手当、年棒制の導入を見通した裁量労働勤務(フレックスタイム制)などの制度が導入されています。また、時間単位の休暇が認められない、再任用は、独法ではフルタイムは定員内、短時間は定員外、国研では定員内のところが多く、定員外は非常勤職員としての採用とした機関があります。任期付研究員の割合は9〜12%と高く、任期が5年に延長されています。任期終了後のパーマネントの職員としての採用の可否は組合の力によって機関で異なるようです。評価は、全機関で個人評価が準備または実行がなされており、業績手当の査定として1年毎に行われている機関もみられます。また、部署間の流動化を図るため、研究ユニット評価(部署の評価)が行われ、これも業績手当の査定として導入されています。研究条件に関しては、研究予算を競争によって取り合う状況です。交付金については繰越しができるものの、全体額が縮少しています。また、スペース課金といって、実験室の広さによって研究予算を吸上げるシステムも導入されています。研究員にとって無条件に良いといえる変化は、託児所が整備されたことぐらいか、ということでした。

【大阪府】大阪府は独立行政法人化を最も熱心に勧めている自治体です。これまで、過去6年間で、1400人の定数削減を行ってきましたが、平成17年度導入を予定している独立法人化により、知事部局(試験研究機関・病院・大学など)の一般職員を600名など、今後10年間で3000人の削減を打ち出しています。独立行政法人化後の研究機関の体制については、身分や予算などの具体的な案が一再示されていなく、職員の不安が大きくなっているということでした。

各府立研究機関の状況
産業技術総合研究所:独立行政法人化の導入に対応するための(実際に法人化されたことを想定した)勉強会が所主導で開催される。
公衆衛生研究所:研究職約3割の削減、組織縮少、独立行政法人化導入が検討されている。
環境情報センター:関し・分析業務の大幅な民間委託、試験研究機能の撤廃の動きがある。
水産試験場:独立行政法人化を見通した計画がなされている。

【東京都】試験研究機関を対象とした包括外部監査が行われました。監査人は石原知事と個人的に親しい公認会計士で、研究機関の特性を無視し、「費用対効果」といいながら、「費用」と「収入」でしか判断せず、研究機関があげてきた「効果」はみていない問題のあるものでした。(全国市民オンブズマン連絡会議は全国の包括外部監査を評価し、具体的な問題点を指摘しています。詳しくはNPO法人情報公開市民センターホームページhttp://www.jkcc.gr.jp)。東京都の包括外部監査は、研究機関の縮小・廃止に利用される懸念があり、地方公設研究機関の特性を考慮した監査に改良させていく気運が高まっているようです。

【千葉県】昨年、血清研究所の業務が民間で代替可能として廃止表明されました。血清研究所は採算を度外視してワクチンを製造してきており、県民や国民の危機管理、予防衛生に貢献しています。その業務を、採算性を第一とする民間に任せることがふさわしくないことから、労働組合等では存続に向けて熱心な活動を続けてきましたが、今年の9月に廃止となってしまいました。この例は、現在進められている行政改革は、地方公設研究機関の役割を全く考慮しないまま、その利潤いかんで廃止してしまうということを明白にしています。

【新潟県】大阪に先駆けて、法律の平成15年度施行をみこし、平成16年に研究機関の独立行政法人化の導入を想定しているということです。

なお、独法水産研究総合センターも早ければ来年10月の日本栽培漁業協会(日裁協)と海洋水産資源開発センターの統合に合わせ、遅くとも平成17年の中期計画見なおし時に非公務員型へ移行することが規定路線として動いているようです。

地方独立行政法人化対策委員会が設置されました。

全道庁では、地方独立行政法人制度導入に反対するため、対策委員会を設置しました(委員長:木村美智留全道庁本部副執行委員長)。委員会は関係評議会、札幌総支部、全道庁本部で構成されています。研究評からは、副委員長として研究評議長の沼辺明博と研究評副議長の田川雅一、委員として研究評事務局長の高野敬志が加わっています。今後の取り組みについて、研究評ニュースでお伝えしていきます。

○年末に配布したアンケートの結果をとりまとめています。現在17機関から返答がありました。ご協力いただいた機関に感謝いたします。返答頂いていない機関は、早急に提出お願いします。

○同封している全国研究職連絡会ニュースも研究評ニュース同様に組合員が目を通すように各支部で配慮して下さい。

○研究評ニュースのインターネットでの閲覧はhttp://www.geocities.co.jp/NatureLand/9984/ です。

参考資料:自治労研究職連絡会議から県職共闘会議に出された意見書

県職共闘会議への要請

(1)総務省への意見要請について(12/18総務省の意見提出には間に合わないと思うが、今後の追求のために)

@「公務員型とすることを基本」とするなど、表現が一部修正された。これは研究職連絡会議や県職共闘からの働きかけで改善されたものと受けとめている。しかし、大きな問題としては「独法化の是非」すなわち総務省の狙いが何処にあるかについて言及していないことが残されている。
※この点は、自治労の取り組みの方向に係わる重要な点で、地方自治体当局の「リストラ」の狙いを日々実感している職場、県職共闘段階の危機感、訴えに是非耳を傾けるべきである。

A次に「通則法に対する評価」の問題がある。国は別として、地方自治体において企画部門を除く全ての業務の独法化を可能にする法律は、地方自治と行政サービスの関係に於いて戦後の地方自治体のあり方、組織、行政論を大きく変えるものであり、本当に正しいのか問いかけるべき重大問題である。
※国が導入すれば地方も導入するというのは、地方分権とは相容れないものであり、この間自治労が唱えてきた「地方分権」に一致するとはとうてい言えない問題と考える。従って、国と同様の通則法の適用には反対すべきである。

Bまた、地方独立行政法人制度が現行の地方自治の仕組みの中でどのように位置するのか考えると、まさに市町村合併・道州性(都道府県不要論)・大都市独立論につながるものであり、十分な検討を要する問題である。

C国の独立行政法人は五年後に機関評価を行った上で見直すこととされている。総務省が地方独立行政法人制度を検討する場合、国の独立行政法人制度の確かな評価の上に検討すべきであることは当然である。速拙な検討は問題であり、将来に大きな過誤を残すことになる。

D国は科学技術基本法、基本計画に基づき、研究所の活性化を目的としているが、総務省研究会は全くその事は触れられておらず、また、研究予算の増額や研究員の増員、労働条件の緩和なども検討もされていない。
 国の独立行政法人について、次第にその実態が明らかになりつつある。国においても予算は実質的に各省庁から独立しておらず、逆に3年目の中間見直し、5年後の見直しで予算削減、人員削減が有り得るとしている。また、第三者機関による評価次第では、廃止も有り得る事とされており、国の制度そのものに問題があるのではないか。
※要は、地方の厳しい財政事情を口実に、予算を削減し、人員を削減する新たな手法として地方独立行政法人化制度の導入を狙っていると考えられる。

E特に地方公営企業の「全適用」と「独法化」の問題では、議会の関与、住民監査等において大きな差異がでてくると考えられ、住民自治を標榜する総務省としておかしいのではないか。むしろ、地方公営企業法を改正し単年度決算から中・長期計画に基づく決算方法に改正すべきである。

F独法の長に大きな権限が集中されることは間違いない。実際国の独立行政法人においてはそのことが問題になっている。現行では、独立行政法人の長の任命は不透明である。

G地域の農業、林業、畜産、水産、商工業、環境、衛生、土木など地域住民と密着した研究領域は、利潤を追求する民間的手法に馴染まない。そもそも公的性格を持って存在する地方における各機関を”経営的観点”を第一とする独立行政法人に移行することは地方自治を放棄する問題である。企業主義的「独立行政法人」の導入ではなく、住民サービスを基本に、安心と安価なサービス提供を行う自治体組織を目指すことこそ本来でないか。

(2) 県職共闘会議への要望

@(1)の趣旨などから、自治労方針で不十分な「独法化そのもの」に対する基本見解と具体的な取り組み方針の確立が急務と考える。

A研究職連絡会議は、東北・北海道ブロック(12/17〜18)、北陸・近畿・東海ブロック(12/10〜11)、関東甲ブロック(03.1/10)、九州ブロック(03.1/15〜16)、中国・四国ブロック(03.1/17〜18)と、今回初めて全国全てのブロックで学習会を開催し、研究職場に働く組合員の意見集約を進めている。去る鹿児島での全国研究職連絡会議総会・集会、そして各ブロック会議では、地方研究機関に独法化は馴染まないこと、予算確保等の裏付けのない中での独法化は地方自治体当局からする組織の再編・人員削減を狙うものとなることは確実で、絶対に反対だという意見がほとんどであった。自治労本部はこうした各県職、職場の総意に基づく自治労運動を進めるべきである。また、こうした取り組みを組織強化につなげるためにも慎重に取り組みを進めることが必要である。

B総務省申し入れ内容に挙げた、「独法化そのものの是非」と共に「国の通則法の問題点」を理解され、政府の「公務員制度改革」が目指していると同じ”企画部門以外の独法化”の基本が誤りであることを是非認識していただきたい。

C総務省の地方独立行政法人化に向けた検討は、公務員制度改悪と軌を一にしたものと考えられ、その根幹は国が出来なかった対象機関の公務員を非公務員型すること、即ち独立行政法人の名を借りて大幅な人員削減を狙ったものと考えられる。まさに自治労組織の弱体化を狙った一大合理化攻撃ではないのか。

D特に、病院の問題については独法化に関し大きな問題点があると考える。地方自治体病院の経営問題に関しては、独法化より地方公営企業法の改正による「全適用」により柔軟な経営が出来るようにすべきであると考える。独法化は「非公務員型」にすることが基本となるので、民営化と変わらないことになるのではないか。従って、ここでも”経営優先”か安心な医療サービスを提供するのか、公的病院のあり方が問われるのあり、独法化は危険な選択である旨整理する主張をして欲しい。

E今後の各県、研究職場の取り組みの強化のために、自治労本部から署名活動、各種要請活動、決起集会等の実施を提起されるよう働きかけて欲しい。

F2003年1月以降の具体的取り組みを要請する。

2002.12.18 研究職連絡会議事務局