"United Devices Cancer Research Project"は、United Devices 社が提供する分散コンピューティングクライアントソフト " UD Agent " を使用し、
世界中のPCの余剰処理能力を利用してがん治療薬の研究・調査を行おうという公的なプロジェクトです。
米国がん学会(American Cancer Society)、米国がん研究基金(National Foundation for Cancer Research:NFCR)、英オックスフォード大学、米United Devices社が
このプロジェクトに参加しています。
※ 米Intel社は2002年8月15日に UD Agent を含めた分散コンピューティングプログラムの相互サポート提供を停止しました。
解析は、クライアントソフト " UD Agent " に、タスク解析モジュール " THINK " が導入される形で行われます。
" UD Agent " は United Devices が開発、メンテナンスを行い、インテルはデータの送受信に使用されるサーバ環境を United Devices に無償で提供しています。
また " THINK " はオクスフォード大学卒、化学部名誉研究員、Treweren Consultants 代表の Keith Davies が開発を行っています。
" UD Agent " はタスクの開始・終了時に、解析目標の薬剤分子データ(ワークユニット)、及び解析結果の送受信を自動で行います。
基本的に、常時接続・非常時接続環境のどちらでも UD Agent を導入することが出来ます。また現在、Windows 98 以上で動作するバージョンが配布されています。
ダウンロード・メンバー登録はもちろん無料で行われます。
解析プログラム " THINK " は、がん腫瘍の発生、転移等のメカニズムに関与している蛋白質と、あらかじめスクリーニングを施した薬剤成分の分子候補との間で発生する
結合能力を検証(バーチャルスクリーニング)し、解析結果として、結合能力のポテンシャルの高い分子のみを選りだします。
送られた解析結果は、オクスフォード大学で収集・検証された後、各々の蛋白質に対する薬理作用団( pharmacophore )としてデータベース化されます。
解析結果はオクスフォード大学と NFCR に還元され広く公開されます。またデータベースのライセンスは、研究所や製薬会社など誰もが自由に新薬開発に利用できるよう、
自由度の高いものになる予定です。
今回のスクリーニング作業を従来の手法で行おうとすると、NFCRの試算では、現状の計算機の能力で最低でも2400万時間に及ぶ計算時間が必要になる、
とアナウンスされています。しかし、分散コンピューティング手法を利用することで、充分な参加者が集まれば、
50TFLOPS ( 1秒間に50兆回の浮動小数点演算を行えるCPUパワー )を得ることが出来ます。
実際に今回のプロジェクトの結果が反映されて、治療薬が患者の手に渡るまでには、データの更なる検証・臨床試験・動物実験などの過程を経て、
少なくとも5〜10年ほどは掛かるとされています。それぞれの研究所・製薬会社が開発の過程で得る結果を特許として申請することは有り得ますが、
今回のプロジェクトは薬剤開発の初期段階の調査であり、このデータベースそのものが特許権によって独占的に守られることはありません。
※ 2001年11月1日に、賞品・賞金を賞与として与えるプロモはすべて中止されました。
※ 2002年6月27日から、UD Agent 上で実行される解析プログラムが、THINK から LigandFit に変更されました。