おすすめの本


ここでは、私が学校で生徒たちに紹介した、“おすすめの本”を紹介します。
みなさんも、興味があったらぜひ読んでみて下さい。



・『エルマーのぼうけん』 
         ルース・スタイスル・ガネット  福音館


 勇敢なる少年・エルマーは、ある日、年をとった野良ネコから動物島に捕らえられている、かわいそうな竜の話を聞き、その竜を助け出しに行きます。次々とエルマーの前に立ちふさがる動物たちを巧みにかわしながら、ついに彼は竜を救い出すことに成功し、共に動物島を脱出します。

 少年少女は誰でも、未知なる場所への"冒険"を夢見るのではないでしょうか。本を読んでいる時、ふと、エルマーに自分自身を重ね合わせて冒険をしていることに気が付きます。
 冒険心をくすぐることに加えて、エルマーが"家出"をすることに私は大きな魅力を感じました。映画『スタンド・バイ・ミー』や『トム・ソーヤの冒険』などもそうですが、家出は少年の冒険に欠かすことのできないものです。なぜなら、家出こそが冒険の第一歩なのですから。あっ、でも家出を奨励しているわけではないですよ。

 今読み返してみても、あの時のドキドキ・ワクワク感が蘇ってきます。エルマーがピンチの時には自分もまた手に汗を握り、竜を救い出し脱出した時には思わずホッとします。エルマーの、危険を顧みず竜を助けるために積極果敢に動く勇気と優しさ、捕われている竜のボリスとの間に芽生える友情は、読み手である私たちにも自然と勇気と感動を与えてくれます。いつ読んでも童心に戻ることができ、かつ何度でも読み返したくなる本です。

 ちなみに、この本には『エルマーとりゅう』『エルマーと16匹のりゅう』という続編があります。今回紹介した『エルマーのぼうけん』と合わせて、三冊通して読むことをおすすめします。



・『朝の少女』  マイケル・ドリス  新潮社

  朝の少女と星の少年を中心に、家族愛や兄弟愛がほのぼのと描かれています。どこにでもありふれた姉弟は、ケンカをしながらも日々成長してゆきます。彼らの家族はお互いを支え合いながら生活をしており、また自分を取り巻く他者が、自分にとってかけがえのない存在であることを理解しています。

 しかしながら、この作品は一筋縄では終わりません。最終場面で、カヌーに乗った異国人がやって来ます。朝の少女たちの家族および村の住人たちは、彼らに自分たちの最大限のもてなしをして、そこで話は終わるのですが、エピローグではとんでもない大どんでん返しが待ち受けています。ここでは、その異国人が自分の故郷へ宛てた手紙が記されていますが、私はこの部分で一気に奈落の底へ突き落とされた気がしました。衝撃的なエンディングが用意されており、最後の最後まで目が離せない作品です。



『ダーシェンカ』  カレル・チャペック  新潮社

 これは、読み物、というよりは、写真集のような感じです。かわいいイヌのダーシェンカの成長日記が写真つきで描かれています。無類のイヌ好きの私にとっては、何度見ても面白いものです。我が家のイヌにも、こんな一面があったなぁ、などと思い出しながら読んでいます。
 お気に入りの写真は、「自分を持ち上げる練習」というもの。籠に入ったダーシェンカが自分の入った籠ごとを持ち上げようとしています。写真にに一言つけられているコメントもまた面白いです。写真とその言葉とがマッチしており、余計に微笑ましくなってしまいます。イヌ好きの方、是非ご覧あれ!



『星の王子さま』  サン=テグジュペリ  岩波書店

 飛行機の故障でサハラ砂漠に不時着した飛行士・「ぼく」と、真実を知りたがる王子さまとの話です。忘れかけていた子どもの心や愛するということについて深く考えさせられる本です。

 王子さまは、自分の住んでいた星を後にし、7つの星を旅します。王様に、うぬぼれ男、呑み助、実業屋、点燈夫、地理学者、星を転々としながら、最後に地球へ向かい飛行士の「ぼく」と出会います。地球ではキツネやヘビとも出会い、目には見えない大切な物を見つけ出します。やがて大切な物を見つけた王子さまは静かに倒れます。

 私は、この本でとても好きな部分があります。それは、王子さまと最初に友達になった、キツネとの会話です。「仲良くなる」とはどういうことか?と王子さまが尋ねたとき、きつねはこう答えます。

「うん、そうだとも。おれの目から見ると、あんたは、まだ、いまじゃ、ほかの十万もの男の子と、べつに変わりない男の子なのさ。だから、おれは、あんたがいなくたっていいんだ。あんたもやっぱり、おれがいなくたっていいんだ。あんたの目から見ると、おれは、十万ものキツネとおんなじなんだ。だけど、あんたが、おれを飼いならすと、おれたちは、もう、おたがいに、はなれちゃいられなくなるよ。あんたは、おれにとって、この世でたったひとりのひとになるし、おれは、あんたにとって、かけがいのないものになるんだよ・・・・・・」

友達になるってこういうことなんだな、と素直に受け止められました。



『わすれられないおくりもの』 
               スーザン・バーレイ  評論社


 アナグマは物知りで、親切で、誰からも好かれています。歳をとったアナグマは自分の死が近いことを感じています。ある朝、その日は訪れました。残されたアナグマの友達たちは彼の死をひどく悲しみます。しかし、やがて彼らは、アナグマとの思い出を考えながら、それぞれ死の悲しみを乗り越えてゆきます。

 できることならば、もう少し早くこの本に触れることができればなと思いました。死というものをいかに乗り越えてゆくのか、それがよく描かれていると思います。大人が読んでも子どもが読んでも楽しめる作品です。
 考えたくもないことですが、もし、今自分が死んでしまったとしたら、私は周りの人々に何かを残せていけるのだろうか、と考えてしまいました。何も残すことなく、ただ一人の人間がいなくなるだけ?考えると怖くなります。

 ちなみに、『わすれられないおくりもの』に登場するアナグマ、このキャラクターは東○電力のCMで出てきているので、見たことのある人が多いかもしれません。



『100万回生きたねこ』  佐野洋子 作・絵 講談社


 百万回も生き、百万回も死んだねこがいました。ねこは立派なねこでした。ねこはたくさんの人々に飼われます。一国の王様、船乗り、サーカスの猛獣使い、泥棒、おばあさん、女の子……皆はねこをかわいがりますが、ねこは彼らを好きではありません。ねこが死んだ時、彼らは大変悲しみます。
 やがて、ねこは野良ネコとして生まれます。誰に飼われるでもなく、自分自身で生きるねこになりました。ねこは自分が大好きになりました。
 やがて、ねこは1匹の白いねこに出会います。そこでねこの心に変化が生まれます。

 本屋の絵本コーナーに行くと、必ずと言って良いほど置いてある本です。随分前から気になっていたのですが、実際に手にして読んだのは最近のことです。立ち読みをした時にはそれほどでもなかったのですが、家に帰ってから声に出して読み返してみると、鳥肌が立ってきました(私は感動すると鳥肌が立つ)。
 私の友人で教師をしている人も読み聞かせをしたということなので、私も実際にやりました。私の下手な読みに対して、生徒達は誰一人話すことなく、真剣になって聞いてくれました。感動するシーンでは、思わず私が泣きそうになってしまいました。
 何度か読み聞かせをしたのですが、もう一度読んでほしいという、リクエストが最も多かった本です。是非声に出して読んで下さい。感動が倍になりますよ。



『金子みすヾ童謡集』  金子みすヾ  ハルキ文庫

 26歳という若さで自らの命を絶った天才詩人・金子みすヾの詩集です。どことなく切なく、それでいて温かみのある彼女の詩に私は惹かれいます。
 ここで一つ、金子みすヾの詩を紹介したいと思います。私が一番好きな、「私と小鳥と鈴と」という詩です。これは、“Say to myself”の表紙にもなっているものです。

「私と小鳥と鈴と」

  私が両手をひろげても、
  お空はちっとも飛べないが、
  飛べる小鳥は私のように、
  地面を速くは走れない。

  私がからだをゆすっても、
  きれいな音は出ないけど、
  あのなる鈴は私のように
  たくさんな唄は知らないよ。

  鈴と、小鳥と、それから私、
  みんなちがって、みんないい。



 金子みすヾの生涯については、ビデオ、DVDが出ています。松たか子が主演で、2001年の夏にドラマ化されたものです。見てみたい人は探してみてください。
 26歳と言えば、私もその年齢に近づきつつあります・・・やっぱり金子みすヾはすごいなぁ



『そこに僕はいた』  辻 仁成  新潮社

 作者の小学校〜大人になる間で起こった友達とのエピソードを書き綴ったエッセイです。笑いあり、涙ありの一冊です。読書初心者はこの本から入ると良いかもしれません。
 これを読むと、自分はたくさんの友達に囲まれながら生きていたんだなぁ、としみじみと思ってしまいます。私にも似たような思い出があるなぁ〜なんて思ったりして。恥ずかしながらやんちゃ坊主だったので、かぶるところが多いです。
 私の場合、小学校・中学校時代の友達が多く、今でも彼らに支えられながら生きています。共に時間を過ごした日々があったからこそ、今の自分があるんだろうと。
 因みに、私は「Xからの手紙」というのが好きです。差出人の名前が分からずに、作者の元へ一通の手紙が来るのですが・・・後は読んでのお楽しみです。



『「できる人」はどこが違うのか』 齋藤孝 ちくま新書

 私が特に強い影響を受けている齋藤先生の本です。この本では、人が上達するための「三つの力」を取り上げ、分かりやすく説明しています。三つの力とは、<盗む・まねる力><コメント力><段取り力>です。
 また、お互いを高め合う関係=“クリエイティブな関係性”についても述べています。ライバルという言葉がありますが、この関係性はライバル似たものであると考えられます。

 この本で述べられていることは誰もがわかっていることなのですが、意識的に行っていないことが多いことばかりです。おそらく、意識して行ったことのあることは<盗む・まねる力>くらいではないでしょうか?「三つの力」及び「クリエイティブな関係性」を意識して行えば、より上達するスピードは速くなることでしょう。同じく齋藤先生の『子どもに伝えたい三つの力』と併せて読めば、さらに理解することが出来ると思います。
 読書初心者でも分かりやすく読めるような書き方をしているので、誰にでも簡単に読めます。それまで読書をしていなかった生徒からも「分かりやすかった」「面白かった」という感想をもらいました。教育に携わる人にでも、そうでない人にでもおすすめの一冊です。