Science News  特別号3


 節分・立春を過ぎ, 春が少しずつ近づいているようですが, いかがお過ごしでしょうか。
 学年末が近づき, 子どもたちは最後のまとめをがんばっていることと思います。修了式や卒業式に向けて, 充実した日々を送って欲しいと思います。
 私の研修も残すところ約1ヶ月となりました。時のたつのは本当にはやいですね。でも, はやいからこそ一日一日を大切にしなければと, 自分を叱咤激励しながら毎日を過ごしています。
 
子どもたちの遊びと「科学する心」「学ぶ意欲」
  中高校生の「理科離れ」が深刻化し, よく問題にされています。中には科学技術立国日本の危機とまで呼ぶ人もいるようですね。では, 「科学する心」をなくした子どもたちが増えたのでしょうか。
 私はそうではないと思います。少なくとも私の接してきた小学生は, いろいろな「好奇心」をもっていましたし, 「ものを作ること」にも熱中していました。理科の授業でも, 目を輝かせて実験や観察に取り組んでいました。一般に言う「理科離れ」は, 教科としての理科が受験のための道具としてとらえられているために表面化しているのだろうと思います。しかし, 子どもたちが日常的に「科学する心」を発揮しているかといえば, そうではないかもしれないと思います。進んで何かを調べよう・何かやってみようとする気持ちを失ってきているように感じることもありました。「科学する心」を発揮する機会が減ってきているのではないでしょうか。
 その原因の一つは, 子どもたちを取り巻く環境, 中でも「遊び」にあるのではないかと考えました。
 テレビゲームや電子的なおもちゃ(最近は電子ペットも流行していますね)の普及で, 子どもたちの遊びが以前とがらっと変わってしまったのは事実でしょう。それによって, 「科学する心」を発揮する場が少なくなっているとは言えないでしょうか。(もちろん, 屋外での遊びが減ったことも原因の一つだと思います。) 
 大人が作ったゲームでは, プレイヤーである子どもが, ある程度自由に動き回れるように設定してあります。しかし,その範囲はあくまでも設計者の考えた枠の中です。そこにある自由は, すでに用意された自由でしかありません。そこでは, けがをする心配も無ければ, 失敗もすぐに取り戻せます。電子的なおもちゃでも同様のことが言えます。
 私たちが子どもの頃とは様子がかなり違います。小学校高学年の頃にテレビゲームが世に出てきましたが, まだまわりに「おもしろいこと」「作りたいもの」が豊富にあったように思います。自分たちで考えた遊び, 手を使って作るおもちゃがありました。一つの例を挙げると, プラモデル。好きな自動車や飛行機のプラモデルを買ってきて創り上げる喜び(時には失敗してしまうこともあり)。さらに色を着けたり改造したりする自由な発想を生かす場。完成したプラモデルが実際に動くかのように物語を想像する楽しさ・・・。大人が設計したものとはいえ, 購入後は子どもの自由が保障されていました。(今, おもちゃ屋さんにはプラモデルは数えるほどしかないですね・・。)
 ある本に, 子どもは遊びの道具を完全に掌握していることが大切であると書いてありました。トランプや機械仕掛けでない人形, 絵の具, 組み立ておもちゃなどは, 完全に子どもの支配下に置くことができますね。それに対して, テレビゲーム等を統制(その性質や動きを把握)することは大人にも無理でしょう。その本によると,自分でコントロールできるおもちゃで遊ぶことによって, 「学習と問題解決を行う子どもが力をもてるだけでなく, 世界がどのように動いているのかという大きな原理を知らず知らずのうちに身につけることができる」とのことです。また, 次のようにも書かれています。「幼少期の子どもは, 心を乱されたりほかから統制されることなく, 自分で自分の心をしっかり管理する経験をつむ必要がある。」このような経験が学ぶ意欲にもつながるのだろうと思います。
 今, 子どもたちを取り巻くものが, 子どもたちをコントロールしすぎていないでしょうか。特に遊びや遊び道具について, 考えていく必要がありそうです。何よりも心配なのは, 子ども時代にテレビゲームやコンピュータに熱中した子どもが大人になったときの影響について, はっきりした結論が出ていないことです。(今の子どもたちが大人になったときにその結果が出るのかもしれません。)
 またこの本には, コンピュータと子どものかかわりについて, 教育者・心理学者の立場から分かりやすく書いてあります。具体的な方法まで書いてあり, 親としてたいへん参考になります。最後に, 同じ本から次の文を引用して終わりたいと思います。興味のある方は本を探して読んでみてください。
 「子どもが一日にホーム・コンピュータを使う時間, テレビを見る時間, テレビゲームをする時間を全部合計して, それが就学前の子どもで1時間, 小学生で2時間を超えるようなら, 時間を減らしたほうがよいだろう。ここでは親がどういう手本を示すかが重要な鍵を握る。親本人が夢中になっているのに, 子どもには分別をもてというのは無理な話である。」
(引用:「コンピュータが子どもの心を変える」ジェーン・ハーリー著  大修館書店)


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