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食指導

                            

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1年生の給食指導

1・2年生の偏食指導 A君の場合

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札教研平成14年度秋の研究集会
給食研究部秋の集会模擬授業
「豆の栄養」

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食教育と学級経営
(メルマガ「居場所」4回連載)

2003年4月号〜7月号

第1回「給食を組織する」
第2回「偏食指導は長い目で」
第3回「ピンポイント指導を」
第4回「食事調査から見えるもの」

「成績を上げるにはきちんとした食生活を」
〜空とぶてんとう虫〜
(北海道食の自給ネットワーク)



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1年生のワンポイント給食指導

@ 常に励まし続ける
 1年生にとって初めての給食は,期待も大きい。その反面,食べず嫌いで食域も狭い。無理に食べさせると「学校嫌い」になってしまう。
 「一口でいいからね。」教師はその約束を守る。そして,一口でも食べられたことを大いにほめる。それを続けることが大切だ。いつの間にか,子どもは食べられるようになる。

A エプロン・ナプキンなどをきっちり用意させる
 初めが肝心だ。清潔で楽しい給食時間にするためにも用意はしっかりさせたい。ルールは一度崩れれば,もとにもどすにはたいへんである。

B ほんの5分間だけ黙って食べよう
 1年生は遅い。ゆっくりのマイペース。食べるのも同じ。給食時間も友達としゃべって時間内にほとんど食べられない子もいる。だから,最初の5分だけは黙って食べさせる。これで,結構食べられるものだ。

C 少なめに盛って調整する
 食べる量には個人差がある。これはどの学年でも同じ。だから,少なめに盛って余った分は,おかわりにする。

D おかわりは教師が判断する
 おかわりは,教師預かりとする。好きな食べ物をおかわりするは,子どもにとって真剣だ。だからけんかもおこる。これは無用なトラブルだ。おかわりは教師が権限を持ち,量によって希望者全員に配るか,ジャンケンなどの方法をとるかする。

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        1・2年生の偏食指導  A君の場合

1 母親からの手紙

  入学間もない4月,A君のお母さんからの連絡帳に次のように書かれていた。

世話になっております。来週から給食が始まるのですが,うちのAは偏食が多いのです。先生は,どのように偏食を指導されるのでしょうか。先生のお考えをお知らせ下さい。

  偏食指導については,大雑把に言って,私は以下のようにしている。

1 無理に食べさせない。(まずは現状を受け入れる)

2 少しずつ嫌いなものに挑戦させる。(少しずつ改善していく。)

3 嫌いなものへと挑戦しようとする学級風土を作る。(友達の支えを作る)

4 家庭との連携をはかる。(子どもの進歩をこまめに連絡する)

 お母さんには次のように返信した。

給食については,いろいろな考え方があるのですが,私は無理に食べさせません。ご安心下さい。少しずつ時間をかけて挑戦させていこうと思います。

  翌日,お母さんからまたまた連絡帳が来た。

先生のお考えを聞いて安心しました。私の躾が悪かったのでしょうが,どうも野菜類を食べてくれません。給食が嫌で学校が嫌になることが心配でした。どうか先生,よろしくお願いします。

 私の話になる。自分が小学校1年生のとき土曜日が好きだった。給食がないからである。
 給食は大の苦手であった。野菜が苦手だった。匂いを嗅いだだけで吐きそうになった。4時間目が憂鬱だった。
 
 ところが,2年生になったある日,突然である。突然,給食が美味しくなった。それから食べた。おかわりもした。給食が待ち遠しくなった。「好きなものは?」と聞かれたら「給食」と答える子になった。
 
 自分はどうしてそうなったか。今は,教師として一つの答えを持っている。
 

食域が広がったこと

である。
 1年生の担任の先生が私に何と言ってくれたか,全て忘れてしまったが,一口一口と我慢して食べていくうちに,食べず嫌いの野菜類が口に慣れてきたのである。そして,知らず知らずのうちに食べず嫌いを克服したのである。 
 私がそうなるまでに実に1年の月日が流れた。偏食指導は,実に長い時間をかけなければならない。だから,性急に結果を出そうとしてはいけない。焦って結果を求めたら,不登校と言う最悪の結果が生まれる可能性もあるからだ。
 私は,自分の実体験をもとにA男の偏食指導をそう考えた。
 一方,A君親子の悩みは痛いほどわかる。母親は偏食の激しいわが子が,給食で泣く姿が目に浮かぶのであろう。
 

教師である私は,偏食をそのままにしておいてはいけないと思う。少しでもいいから治してあげたい。母親も同じ気持ちであろう。しかし,母親はどうかかわっても我が子の偏食は一向に良くなってくれない。そこで,思い悩んでの手紙であろうと思った。

2 いよいよ給食の開始

さて,いよいよ1年生の給食が始まった。全員に言った。

よいよ皆さんが楽しみにしている給食です。自分の分は,全部食べられない子は残してもかまいません。ただし,嫌いなものでも一口は食べてみましょう。挑戦する 子は,立派な1年生です。

 こうして1年生の給食が始まった。
 偏食指導については,ずっと頭にあった。しかし,1学期は,偏食指導についてはあまりうるさく言わなかった。
 ただ,全部食べられた子をほめたりした程度である。

 食器をきちんと片付けたり,スプーンやフォークをきちんともとに返したりした子やきれいに食べ終わった子をほめたりなど,偏食指導のほかにも給食が初めての1年生にとっては,様々なことを指導しなくてはいけないからである。  子どもたちは,興味を持って食べ始めたものの,嫌いなものは手をつけない子が多かった。だから,今まで担任した学級の中でもすごく残量が多かった。
 そんな中,ある子が言った。「ぼく,嫌いだけどがんばって食べた。」

「ぼく,嫌いだけどがんばって食べた。」

 私はすかさずほめた。
 「すごい! とってもえらいなあ。嫌いなものを食べられる子ってえらいなあ。」
 こうして,「嫌いなものを食べると先生にほめられる。」ということがわかると,子どもたちは次々と挑戦する。 「先生,今日のおかず,嫌いだけど食べた。」「一口だけ食べた。」子どもたちは,次々と報告にきた。
 少しでも嫌いなものに挑戦しようとする学級風土は育ってきた。
 一方,A男は,以前として,残し続けていた。嫌いなものにはまるで見向きもしなかった。 

 3 2学期に変化が

 2学期のある日,給食時間の終わり頃,A男が私のところにやってきた。
「先生,野菜,一口食べたよ。あとは残していい?」「一口食べたんだって?えらいなあ。」
私は,とにかく一口食べたことをほめた。

 この日まで野菜を全て拒否してきた子である。それが,たった一口といえども受け入れたのである。これはかすかな変化であるが,大きな進歩である。ただし,無理はいけない。だから,「残していいよ。がんばったものね。」と言った。A男は,ほっとした様子で野菜を食缶にあけた。2学期いっぱいこんな姿であった。それでも,お母さんに会うと「給食少しずつ食べられるようになってきていますよ。」「嫌いなものを食べようとする子はがんばる子です。」とA男の進歩を認めた。
 しかし,3学期になると大きな進歩が見られた。皿に盛られた野菜のおひたしを全て食べた。
「先生,全部食べたよ。」「本当? がんばったなあ。先生うれしいなあ。」「ぼく,おかわりしたい。」
 あれほど嫌がった野菜をもっとほしい,おかわりしたいと言い始めた。
 何と9ヶ月以上もかかって,A男の食域は,野菜を受け入れるようになったのである。
 その日,私は言った。
「お母さんに,今日,野菜食べたっていいなさい。きっとほめてもらえるから。」
 翌日,A男は,報告に来た。「先生,お母さんがとってもえらいって言ってた。」と満足そうであった 

4 2年生になって

 2年生になった。
 子どもたちも担任もともに,持ち上がった。
 1年生のときと比べて給食の残量もぐんと減った。
 子どもたちの中にも,嫌いなものにも少しでも挑戦しようという意識が浸透した。
 そんなある日,ついにA男が全ての給食を食べた。
 私は,このことを子どもたち全員に知らせた。

A男君は,1年生のときからずっと給食が食べられなかったのです。皆さんも知っているでしょう。でも,嫌いな野菜を我慢して食べているうちに,今日,初めて食べることができたのです。ずっとがんばってきたからです。とてもえらいね。

子どもたちは,このことを聞き,「自分もがんばろう」とする意識を持ったようである。この日は,特に残量が少なかった。
 さて,2年生の2学期。現在である。
 A男は,今でも給食を食べたり,残したりを続けている。
 私は,それでよいと思っている。学年が進むうちに,自然と食域が広がり,今まで食べられないものきっと食べられると考えるからである。
 嫌いいなものを自らの力で克服したという事実がA男にあるからである。


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平成13年度札教研学校給食研究部秋の研究部集会
模擬授業「豆の栄養」

指示1 豆と言う字を書きなさい。

発問1 豆と言う漢字にはどんな漢字が隠れていますか。

「一」「口」など

指示2 豆のつく漢字をできるだけたくさん書きなさい。

「頭」「喜」「豊」「登」など

発問2 豆にはどんな栄養素があるでしょう。

資料   栄養図を提示

「たんぱく質」

発問3  たんぱく質はどんなはたらきがあるでしょう。

「体を作るはたらき」

発問4 豆を使った料理をたくさん書きなさい。

「煮豆」「納豆」「ピーナッツ」など

黒板・・・・硬いものと柔らかいものを類分けして書く。

発問5  黒板には豆の料理を2つに分けて書きました。どういう理由で分けましたか。

「硬いもの」「柔らかいもの」

発問6  硬いものを食べると何かが鍛えられます。何だと思いますか。

「口」

説明1  そうです。口です。硬いものを食べると噛む回数が増えるのです。口や顎の周りの
     筋肉を使うことは,脳の働きをよくすると言われています。



説明2  また,豆の栄養は,頭がよくなる,体が喜ぶ,心が豊かになり,山を登る体力を
     つける食べ物とも言われま
す。
    板書・・・体を図でかく                山を図でかく
          その中に 「頭」 「喜」「豊」をかく      その中に「登」をかく




食教育と学級経営 
札幌市学級経営研究会メールマガジン「居場所」より 
              
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 ◆○◆ <連載> 食教育と学級経営 ◆○◆

  第1回 給食を組織する               札学経会員 はたさん

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  4月。新しい学級。新しい出会い。どんな学級にしようか,胸が膨らむ。こんな子
 供たちに育てたいという希望に満ち溢れ,1時間目から5時間目まで何をしようか計
 画を立てる。学級担任なら,出会いの4月の授業がいかに大切かはよくわかっている
 はずである。
  しかし,一つ盲点がある。「給食指導をどうしようか」ということである。授業に
 は真剣に取り組んだが,給食時間は,おなかも減ってちょっと息切れのする時間だ。
 だから,ついつい手抜きをしたくなる。
  給食時間が始まると,子供たちは新しい担任にいろいろと言う。
 「先生,誰が盛りつけるのですか。」「給食を食べ終わったら遊んでいいですか。」
 「おかわりしてもいいですか。」聞きに来るだけまだよい。何も考えず,前の学級の
 ルールのまま,行動しようとする子もたくさんいる。
  新しく解体された学級なら,当然,いくつかの複数のルールが存在する。それをそ
 のままにしておくと,ルールが機能しなくなり,確実に学級は崩れる。気付けば,担
 任の権威は地の底に落ちている。
  だから,新しい学級を持ったときに,給食当番のこと,身支度のこと,おかわりの
 こと,片付けのことなど新しい学級の給食ルールを作り,その一つ一つを徹底させな
 ければならない。
  私は,子供たちに前の学級の様子を聞く。その中で一番いいものを取り上げること
 が多い。しかし,どれもよくないと判断したときは,「先生は,こんな方法でやりた
 いけどいいかな。」と私がルールを提示する。
  学級を持ったばかりのときの子供たちは実に素直だ。大抵は「いいよ。」と言う。
  これを子供たちに話し合わせる先生もいるらしいが私はしない。時間のロスだから
 だ。高学年でも担任が決めればよいことは,担任が決める。担任は,学級の親分であ
 り頭領である。4月当初は特に頭領の威厳を示さなければならない。
  学級の様子は,給食時間に端的に表れるという話を新卒時代に聞いた。騒がしく立
 ち歩きの見られる学級は,授業中も騒然となることが多い。反対に,しいんと静まり
 かえった学級は,子供たちに生き生きとした表情が見られない。
  楽しさの中に規律を持った給食時間になるように,私自身,心しておきたいもので
 ある。


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 ◆○◆ <連載> 食教育と学級経営 ◆○◆

  第2回 『偏食指導は長い目で』          札学経会員 はたさん

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  新しい学級を受け持って1ヶ月。そろそろ子供たちも緊張が緩む頃だ。いわゆるそ
 の子らしさが出てくる頃である。
  今まで何でもがんばってきた子が少しずつ自己主張をし始める。
  4月当初から「何でも食べるのだよ。」と言われ続け,何とか嫌いなもの食べよう
 とがんばってきた子が,緊張の緩みとともに「これ残してもいい?」などと好き嫌い
 を主張し始める。急に給食の残量も多くなることがある。
  しかし,ここからが本当の勝負である。偏食傾向のある子は,今までの人生の中で
 偏食を作ってきたのである。一朝一夕では改善はされない。
  毎日,毎日の積み重ねが大切である。
  嫌いなものを一口も食べない子がいる。一口だけ食べさせたい。
  だから,「一口食べたら残していいよ。」と言う。そして,本当に一口食べたらあ
 とは本人に任せる。決して,「よし,もう一口。」などと要求しないことだ。
  無理すれば,次からは一口さえも食べなくなる。
  子供の偏食は食べず嫌いが原因のことが多い。特に最近の家庭は和食を食べること
 が少ない。食べ慣れていないから,おいしく食べられないのである。嫌いな子供でも
 一口を多く経験することによって,次第に口に慣れてくるものだ。
 一口食べたら「よくがんばったね。」「昨日は食べられなかったのに,今日は食べら
 れてすごいなあ。」「嫌いなものも食べられる子は何でもがんばる子だよ。」などと,
 教師の励ましが大切である。できればいくつもの励ましがあったほうが良い。
  子供のわずかな進歩を認め,学級全体に返していくことも大切だ。
  効果は少なくとも半年後である。偏食傾向のある子に粘り強く教師がかかわり,ま
 た,いろいろなことにがんばる雰囲気を学級に醸成したい。


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 ◆○◆ <連載> 食教育と学級経営 ◆○◆

  第3回 『ピンポイント指導を』          札学経会員 はたさん

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    偏食指導は,教師の粘り強い指導が大切である。今までの食生活を改善するのであ
  る。
    子供の心という抵抗勢力と闘わなければならない。
    しかし,教師が強い意志を持ったとしても,給食時間は教師自身も食べて,給食当
  番の指導もして,更に学級全体の様子も見てなど目の回るような忙しさだ。しかも午
  前を終えて気も抜ける時間である。
   全体に「好き嫌いしないように。」と呼びかけてもほとんど効果はない。好き嫌い
  する本人は「自分のことではない。」「自分は関係ない。」と思っている。また別の
  子は「いつものお説教が始まった。」と嵐の過ぎ去るのをじっと待っている。
   ここで,ピンポイント指導をお薦めする。
   好き嫌いの克服をしたい子を一人決めることだ。たった一人,忙しいときでも,と
  にかく,この子の毎日の様子を見る。そして,変容を見取り,励まし,ほめる。これ
  を毎日繰り返す。
   学級の全ての子供について,同じことをしたいが,私の力量ではとてもできない。
   しかし,たった一人の子供ならできる。時間にしてほんの1分あるかないかだ。
   この1分でこの子は確実に変わっていく。教師が直接子供に発する一言は重い。
    少しずつ少しずつ変わっていく。
    そして,学級全体にもこの子の変容は波及されるのである。
   私の学級にも野菜が全く食べられない子がいる。その子がある日,私のところに来
  た。
  「味噌汁の大根,食べました。」
  「すごい!がんばったね。」
    わざと大きな声で全員に聞こえるように言った。
    このとき,この子のがんばりや変容を学級全体に知らせた。
    この子ががんばった事実は,好き嫌いが多い他の子の心にずしんと響いたようだ。
   味噌汁のおかわりがいつもになく増え,また残す子が減った。もちろん,学級の他
  の子にもその場その場で指導はしていく。がんばったときには,ほめるし,食べられ
  ないときは励ます。ただし,頑固にしつこく見ていく子は一人である。


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 ◆○◆ <連載> 食教育と学級経営 ◆○◆

  第4回 食事調査から見えるもの           札学経会員 はたさん

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  1年間に1度程度食事調査をしている。朝食と夕食,だれとどんなものを食べたか
 である。この食事調査によって,家庭の環境が見えてくる。
  以前担任した子供たちの話をいくつか。
  ある子は,1週間の食事調査で,夕食が「菓子パンだけ」という日が3日間もあっ
 た。しかも,一人であるいは兄弟だけである。親の姿は見えなかった。いわゆる「個
 食」である。
  家庭訪問や個人懇談だけでは,わからない情報である。
  お会いしたときのお母さんからは,子育てもしっかりとがんばっているという印象
 を受けた。人は見かけによらないと痛切に感じた。
  この子に詳しく聞くと,保護者が夜,外出することがしばしばあり,こういう夕食
 になってしまうこともあるということらしい。
  「何の用事で」とは詳しく聞かなかったが,こういう情報を頭に入れて置くだけで
 も児童の理解につながる。
  この子が眠そうなときは,きっと母親の帰宅が遅れたのだな,遅くまで起きていた
 のかな,と思って接した。睡眠不足が原因で具合が悪いことが多い子だった。1時間
 くらい保健室で睡眠をとってくると,後は元気に遊んだり,勉強したりしていた。
  
  秋から冬にかけて食事調査をすると,日曜日は,「お鍋」という家が多い。家族み
 んなで楽しく鍋を囲む風景を想像し,この子たちは幸せだなあなどと思ったりする。
  
  1年生の担任になった場合は,しばしば,「朝,何を食べてきたの?」と聞く。
 「うんとね,ごはんと味噌汁と納豆。」などという答えが返ってくる。食べて来た子
 は良い。まずまずの家庭環境だからだ。一方,「食べてこなかった。」と言う子もい
 る。こういう子には「しっかり食べないと元気に勉強できないよ。」と教えてあげた。
 また,保護者にもやんわりと朝食の大切さを教えていった。
  どの学級の調査でも朝食は一人で,あるいは子供たちだけでという家が多かった。
 一方家族全員で朝食を食べる家庭もある。夕食は父親の帰宅が遅く,せめて朝食だけ
 はみんなで食べると考えている家庭である。
  家族全員で食べる習慣を持つ子は,私の狭い経験だけで言えば,どちらかと言えば
 家族の愛情をたっぷりと受けた素直な子が多いようである。
 
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「成績を上げるにはきちんとした食生活を  〜空とぶてんとう虫より・食の自給ネットワーク〜

1.「先生,お腹が痛い。」〜A子ちゃんの原因は〜

先生,お腹が痛い。」私のところに訴えてくる子がいた。A子ちゃんだ。季節の変わり目の
1学期,風邪気味で体調が崩れることもよくある。私は,「風邪を引いたんだね。教室で静か
にしていなさい。」
と言った。

 次の日。A子は「先生,頭痛い。」と言う。そして次の日も「先生,具合悪い。」と言う。
 毎日,毎日の訴えだ。
さすがにここまで来ると風邪ではないと思い始める。
  原因を探ってみる。まず,思いついたのは,子供の人間関係だ。友達にいじめられていたり,
仲間はずれにされていたら,体に変調をきたす子はいる。

 しかし,本人に聞いてみると違うと言う。休み時間など,静かに遊んではいるが一人ぼっち
ということはない。
 友達と絵を描いたり,おしゃべりをしたりしている。

 次に思い当たること,担任への不満だ。私と波長が合わないということも考えられる。
 しかし,本人に聞いたらそれも違うと言う。

 それでは,家庭が原因か,何か病気が潜んでいるのか,あれこれと考えた。
 その時,給食の時間の様子がパッとひらめいた。A子は小食だ。「朝ごはん,食べてるよ
ね。」「うん。」「どれくらい食べているの。」「うんと,一口くらい・・・・。」

原因がはっきりしてきた。
 授業で目いっぱい頭を使ったのに,大脳へのエネルギー源であるブドウ糖が少ないのだ。
 A子と約束した。

「毎朝,きちんとごはんを食べてくるんだよ。ご飯は脳のガソリンです。今まではガソリン
なしで運転していたようなものだよ。だから,具合悪くなるんだ。」

 A子は素直に返事をした。
 翌日,元気いっぱいだ。休み時間になるとグランドに遊びに行き,「おにごっこをしてき
た。」と汗をいっぱいかいて教室に帰って来た。たった一膳の朝ごはんが子供の元気の源で
ある。

 食の崩壊ということが言われている。登校時,欠食してくる子供はどの学校にもいる。
 巷には,食べ物があり余っているというのに。

 食には関心を持たないけれど,成績には関心が高い。それが21世紀の日本の現状だ。


2.総合的な学習「食と健康」で

 6月になり,授業で総合的な学習を本格的に始めた。
 私の勤務校の総合的な学習は,各学年ごとにテーマが設定してある。
 4年生のテーマの一つが「食と健康」。以前から総合でやりたいと温めていたテーマだ。
 さて,毎日の給食調べから学習をスタートした。

 子供たちは,一週間の給食の献立を表に書き,どの程度食べているかを自分自身で調べ
始めた。
毎日,給食の最後に感想もまとめさせた。「今日は全部食べられてうれしかった。」
「嫌いなトマトを一口食べた。」などとである。

 1週間調べてみて,予想通り,食べている子は毎日食べている,反面,残す子は毎日残して
いるという結果が出た。

 しかし,少しだが変化が出た。
「残そうかと思ったけどがんばった。」「給食調べに全部食べたって書きたいからがん
ばって食べた。」「野菜は今まであまり食べられなかったけど,少しでも食べるようにした。」
 自分の食生活を振り返ることで,意外と給食を残している自分に改めて気付き,少しでも
残量を減らそうとどの子もがんばろうとしているのだ。
 
 子供とは,何といじらしく,そして前向きなのかと思った。

 かの残していたA子も,友達に影響されて,がんばって食べていた。
 しかし,私は,この調査を予定通り1週間で打ち切った。この調査で自分の給食の様子を
しっかりと把握することができたことが一番の理由だ。

 読者の方の中には,調査をもっと続ければ,更に残量は減ると思われる方もいるだろう。
 しかしだ。
 ほどほどということでやめることも大切だ。無理をすれば必ず弊害が出てくる。必要以上に
がんばり,その反動からかえって給食嫌い,野菜嫌いが出てくる可能性がある。

 嫌いなものを食べるということは,すなわちおいしいものを食べたいという人間の欲求を
否定するものであり,それはある意味食事から楽しさを奪うものである。

 給食と言えども,食事はおいしくそして楽しくを基本としたいのだ。毎日,毎日,嫌いな物
との闘いは,子供にとって給食時間を恐怖の時間へと駆り立てることでもある。

 給食が一段落し,次に調べたことは,自分の朝食や夕食のことである。
 かなりの子供たちは「サラダを食べた。」「嫌いなものも食べた。」と家でもがんばっている
様子だった。

 また,朝食を欠食してくる子供は,この調査をしてからいなくなった。
 食事の大切さが徐々に子供たちに伝わってきたようである。

3.保護者との懇談会で
 
 
1学期末の懇談である。参加した保護者から,最近の子供たちの様子を語ってもらった。
「最近,とてもよく食べるようになったんです。家でも好き嫌いが少なくなりました。朝ごはんも
きちんと食べていきます。」

 そう語ってくれたのは,A子ちゃんのお母さんだった。
 わが子が,変化したことがとてもうれしそうだった。
「朝ご飯のスイッチを入れ忘れ,ごはんの用意をしていなかったんです。初めてご飯のことで泣かれ
 ました。 学校で食の勉強をしていたんですね。」

 違う子のお母さん。
「野菜をよく食べるようになったんです。今までは何度言っても食べなかったのに。」
 これも別のお母さん。
「今の保護者は子育てに無関心だ。」「今の保護者は子どもに甘い。」などとよく言われる。
 しかし,今の保護者も子育てに関してはかなり苦労しているのだ。
 「好き嫌いしないで食べましょう。」とは,子供が小さい時からずっと言ってきたことだ。
 親の心,子知らず。
 子供たちは,親の気持ちなど更々考えず,嫌いなものには目を向けない。
 毎日,毎日,言っても,すかしてもダメだった。
 それが,かすかではあるが親から見てもわが子が変わってきたという事実。
 嫌いなものも食べるようになったという事実。
 その事実から,保護者は子供の成長を感じたようだ。
 と同時に保護者も少しずつ食事作りに関心を高めているという話を子供たちから聞くようにも
なった。

「うちのお母さん,美味しく作れるように本を読んでいたよ。」
「野菜を食べやすいように小さくしてくれているんだ。」

 子供の変化は,保護者をも動かしつつある。食にとっていいサイクルが芽生え始めたのだ。
「10歳までが勝負なのです。脳も10歳までにあらかた作られます。味覚も10歳までに作られ
 ます。リミットは1年間。しかし,1年間あるのです。少しでも子供たちがよくなるように私も
 がんばります。」

 保護者は,真剣な表情だった。 

4.成績を上げたいならきちんとした食生活を

 
保護者と話をするときには次のようにも言う。
「きちんとした食生活で,子供に生活のリズムが生まれます。このリズムが子供の成長に
 とって大切です。成績もきちんとしたリズムがあるかないかが大きいのです。成績を上げたい
 なら,まずはきちんとした食生活を。」

 頷いてくれる方も多い。
 まだまだ,私の実践は拙い部分がある。変わってきたこともほんのわずかだ。辛うじて突破口
を開いたに過ぎない。
 
 
しかし,食育は子供たちにとっては一生の大きなテーマだ。子供たちの「生涯,健康な
生活を送ること」に一石を投じることが出来たならば教師として幸いである。

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