不登校を考えるお家

 

 
 近年、不登校や高校中退、ひきこもりといった問題が大きく取り上げられています。
 実際、不登校については全国で小中学生で約13万人、高校中退者も約10万人と多くの若者たちが、さまざまな理由でつまずいています。ひきこもりについては、その実数をつかむことは非常に難しいのですが、その数は数十万人にのぼるとも見られています。静岡県内では不登校児童生徒、高校中退者ともに3.000人をこえています。数字に表れてこないケースも含めると、倍近い数字になるのではないでしょうか。

 大阪府立大学の不登校の追跡調査によると、中学校で不登校を経験した若者たちは、約40%が後悔しているが、約80%は将来に夢や希望があると答えています。しかしながら、高校進学は65%にとどまり、そのうち40%が中退しているという現状があります。夢や希望を持ちながらも、自分のかかえる問題をうまく解決できずにいる姿が浮かび上がってきます。
 近年、高校入学の枠が広がり、長期にわたり欠席している子どもたちにも全日制の高校へ進学することができるようになってきました。これは良いことなのですが、不登校に至った問題や自分自身の課題を十分に解決しておくことが必要であると思います。この点をクリアしておかないと、また同じ問題でつまずいてしまうとも限りません。

 高校中退者についても、その60%近くが1年生に集中していることはあまり知られていません。せっかく進学しながら1年足らずで退学してしまう背景にはどんな問題があるのでしょうか。また、静岡県内では公立高校で不登校になった生徒の90%が退学に至るというショッキングな報告もあります。

 ひきこもりについては、もはや青年期特有の問題ではなく、非常に長期化しているケースが多いことが分かっています。国立精神・神経センターの調査によると、ひきこもりの相談者の約30%が19〜24歳に集中、25〜30歳が約20%、31歳以上でも約15%に登っています。
 ひきこもりは医学的な診断ではなく状態を示すもので、その背景には精神的な疾患から、自我の未熟さ、挫折体験など多くの問題が混在しているようです。また、不登校や高校中退といった問題が背景にあるケースも見られ、不登校、高校中退、ひきこもりといった問題を個別に考えるのではなく、大きな視野でとらえていくことが必要であると考えています。

 このように、青年期につまずく人たちの支援について何が必要なのでしょうか。
 まず、「どこに相談に行ったらよいかわからない」といった声がよく聞かれます。特にひきこもりや高校中退者のケースでは、具体的な相談機関がわからずに、悩んでいる家族の方が非常に多いようです。また、精神的な疾患や心理的な問題など、専門家による治療と支援が必要なケースも多く見られます。このような状況の中で、単一の組織や団体での支援は非常に難しくなっていると考えています。教育だけでなく、各分野の専門家によるネットワークづくりが必要なのではないでしょうか。
 また、つまずいた若者たちの多くが将来の夢を持っているということからも、彼らがもう一度学ぶことができる場所も必要です。そこでは、学習だけでなくさまざまな活動を行い、豊かな人間関係や信頼感、将来の展望などを作り上げることができる場所であることが望ましいと考えています。


つまずく若者たちのタイプ

 とある所で発表されている類型化です。この類型化は、さまざまな理由でつまずく若者たちを理解する上でも大切ですし、専門家の手によるサポートが必要かどうかを見極める上でも重要であると思われます。

類型化

本人及び家族の訴え

第1群
予備軍
 登校はしているが、さまざまな身体症状(腹痛 下痢 食欲不振
頭痛 微熱 頻尿 胸の圧迫感 過呼吸)
を訴え、欠席や遅刻をくり返したり、保健室を頻繁に訪れるタイプ。中には視力が低下するケースも見られる。病気の前兆である場合もあり、注意が必要。

第2群
身体症状群
 腹痛・下痢・食欲不振・頭痛・微熱・頻尿・胸の圧迫感・過呼吸などの身体症状を訴え、登校できなくなってしまうタイプ。中には激しい疲労感を訴えるケースも。
 
◎ 登校時に身体症状が出る。
 ◎ 病院を転々としたり、仮病と疑われることが多い。

第3群
精神症状群
 無気力・不安感・抑うつ感・孤独感・視線恐怖や対人恐怖などの精神症状を訴え、登校できなくなってしまうタイプ。
 
◎ 家族以外と顔を会わせない、人目を避ける、無口になるなど
   引きこもるケースも見られる。
 ◎ 時には母親に甘えたり(依存)、暴力(攻撃)をふるうなど
   感情の両価性が見られる。

第4群
非行傾向群
 学習意欲がなく、行動的で反社会的な傾向を持ち登校しないタイプ。仲間との共有意識は強いが、大人に対して激しい不信感と抵抗を示し、道徳的な価値観やアドバイスを否定してしまう。

第5群
神経症群
 他人の触ったものに触れられない、何度も手を洗う、電機のスイッチの確認をするなどの強迫症状、手足が動かなくなったり、健忘を示すヒステリー症状、他人の視線が気になるなどの不安や苦悩を主訴とする神経症、憂うつで疲労感が強い抑うつ症状のために登校できないタイプ。
 近年は
過食や拒食などの摂食障害や自己臭を訴えるケースも多くなっている

第6群
精神疾患群
 妄想・幻覚・幻聴などの心因反応や激しい緊張感や不安感を示す精神分裂病、気力の減退や焦燥感を示すうつ病、他者の感情への無関心や罪悪感の欠如、他罰性を示す人格障害など精神疾患のために登校できないタイプ。カウンセリングや説得は危険で、精神科医などの専門家による治療が必要となる

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