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「Birthdayの2月の雪」
主演:福田悠太
 
 
誕生日はどんな人にも1年に1度は訪れるもの。
私の場合は、2月9日で14歳の誕生日を迎える。
だからって何か一つでも変わるなんて、思っていないけれど――――
 
プレゼントなんていらないの。
ただ・・・・・
 
 
あなたに会いたい。
その細い腕の中に、私を包みこんでほしい。
あの純粋な笑顔を向けてほしい。
声が聞きたい。
 
普段、口には出したことがない言葉。
私が胸の奥に秘めている想い。
 
 
「明日、一緒に過ごすのは無理かもしれない。」
受話器の向こう側で、思いもしなかった彼の言葉に
「そっか・・・・。」
私も思わず言葉を詰まらせる。
あまりにも私が黙りこくってしまうから
「ごめんね・・・せっかくの誕生日なのに・・・・。
仕事が入っちゃって・・・・。」
本当に申し訳なさそうな彼の声が聞こえた。
 
彼の名は―福田悠太―
私と同学年ながらも、彼は手に「「ジャニーズJr」」という職を持っている。
本当にすごいと思う。
彼を想う気持ちと共に尊敬もしてる。
 
ただずっと遠くて見つめるだけしかない相手だと思ってた。
でも今のこの世の中は、なにがあるのか分からない。
私がこうして、彼の隣に居座れるのだから・・・・・
 
きっと優しいあなたのことだから、私の気持ちも考えてくれたんだろうね。
悩まなくてもいいはずなのに、わざわざ悩んでくれて
最終的に出した結論が
「「仕事」」
 
もし私が「いかないで。」と引き止めれば
あなたは私の傍にいてくれることぐらい分かってる。
でもそうなら、自分自身が許せないから。
彼の夢が叶うことを願いつつも、少なからずも独占欲を持っているという事実を
認めたくはないから。
 
「ゆり?」
耳の奥まで、あなたの不安げな声が届く。
「あっ、うん・・・平気だよ・・・・。
お仕事・・・・頑張ってね?」
それだけ言い終えると、電話を切って枕に顔を埋めた。
少しだけ、視界が滲んでいる気がする。
 
もう随分彼とは会っていない。
それは彼が夢に近づいていることの証明でもあり
彼が私から、また一段と遠くへ離れていってしまったということの確信でもある。
 
「「彼女」」と「「聞き分けのいい子」」は別だ。
結局私は、どっちにもなれはしない。
中途半端でなりきれない。
 
―だから余計に不安なんだよ?―
 
あなたは何も言わないから。
だから時々、無理して合わせていてくれるんじゃないのかな?って。
そう思ってしまう。
 
「本当は・・・・楽しみにしてたのに。」
あなたに食べてもらいたくて
ついさっきまでキッチンで苦戦して、ようやく作り上げたケーキに目を向ける。
少し形は歪だけれど、苺とクリームのたくさんのっている手作りケーキ。
けど・・・・・
「食べる必要も、なくなっちゃったみたいだね。」
ケーキを自分の元まで持ってくると、誰に言う訳でもないけれど
そう呟いてみた。
 
 
朝の日差しが強くて、ゆっくりと目を開ける。
朝の光は今の私の目には合わないようで、再び瞳を伏せさせた。
外は思っていた以上に晴天で、余計に私の心を憂鬱にさせる。
まるで太陽が私の心の中を見透かしているようで・・・・・
太陽になんか負けたくなくて
ベットから起きあがり、カーテンを開けた。
手を上空に翳してみる。
この青い空は彼と私を繋いでいる。
じゃあ、私の気持ちは?
私の心は彼と繋がっているのだろうか?
 
 
「ゆり、涼子ちゃんから電話。」
部屋をノックする音と、お母さんの声がした。
受話器を手渡すと、お母さんは足早にキッチンへと戻ってしまった。
「もしもし?」
「あれ、今まで寝てた?」
涼子は私と悠太の関係を知る、数少ない友人の一人。
「まあね。でもどうしたの?
こんな朝から電話なんて珍しいね?
いつもは涼子の方がネボスケなのに(笑)」
ついからかいたくなって、そんなことを言ってしまう。
「えぇ〜そんなに鋭くツッコまないでよ(笑)」
涼子は苦笑しながらも、私に同意してる。
「実はね、電話したのはね・・・・。」
どうやら早く話題を切り替えたいようだ。
そこまで言い終えたのはいいけれど
なかなか涼子からの返事が返ってこない。
「りょっ・・・・」
「ゆりちゃん、Happy Birthday☆
誕生日おめでとう!」
突然想像もしなかった言葉が聞き取れた。
あまりにも唐突すぎで、驚いてしまった。
「びっくりした〜。」
「あはは。ゴメンゴメン。」
涼子が手をあわせながら謝っている姿が頭に浮かぶ。
涼子らしいというか・・・なんというか・・・・
「でもこれだけは言いたくてね♪」
「なら明日、言えばいいじゃん。
明日は学校あるし・・・・・。」
「明日じゃ意味ないでしょ?
ゆりちゃんの誕生日は今日だよ?
まあ、プレゼントは明日になっちゃうけど(笑)」
 
―明日じゃ意味ないでしょ?―
 
涼子の言葉が胸を締めつける。
私の誕生日は今日なんだよ。
14歳の誕生日は今日しかないんだよ・・・・
今の私は、ここにいるんだよ――――
 
「・・・・っ・・・。」
涙が溢れてくる。
「ちょっ・・・もしかして、ゆりちゃん泣いてる?」
受話器の向こう側で、涼子がおろおろしているのがわかる。
けれど返事すら返せない。
「なん・・・どうしたの?
ええい!今から、ゆりちゃん家行くから!」
涼子はそれだけ伝えると、電話を切ってしまった。
 
涼子の思い立ったら即行動といった性格には
「短所」であると指摘する人もいるけれど、私はそうとは思わない。
逆に羨ましいと思う。
自分の気持ちを素直に言葉に出来て、尚且つ相手を思いやれる。
そんな彼女の「優しさ」が、今の私には暖かかった。
 
「どうかしたの?」
涼子は宣言通り、私の家に5分もしないうちにやってきた。
本人いわく、全速力で走ってきたらしい。
そして私に対して言葉を選びながら、丁重に尋ねてくる。
「私・・・今すっごい、いやな子だと思うの。」
「え?」
涼子は話しの意図が解らない様子で、「?」を浮かべたような顔をした。
「私、悠太のこと応援してるんだよ?
すっごくすっごく応援してるんだよ?
でも・・・でもね・・・・私やっぱりダメみたい。
悠太が傍にいてくれないと、不安なの。」
ようやく止まったはずの涙も、また流れる。
こんな自分が一番嫌い。
「それほど、悠太くんが好きってことじゃないのかな?」
涼子の優しい声に、伏せていた顔を上げる。
「相手を想う気持ちがあるから、不安にもなるんだよ。
ゆりちゃんの場合、きっと自分の気持ちを押さえすぎだね。
いいんだよ?たまには自分の気持ちに正直でも。
きっと悠太くんは分かってくれるはずだから。
だって、ゆりちゃんの自慢の彼氏でしょ?」
涼子はイタズラっぽく笑った。
 
―自分の気持ちに正直になる―
 
「でも・・・もし悠太に迷惑がかかったら・・・・。」
その言葉が私の中では、いつも重荷になっていた。
彼のお荷物になってしまうのは、絶対にごめんだった。
 
「悠太くんが迷惑だっていたの?」
涼子の問いに、私は首を横に振る。
「なら、迷惑だなんて確証出来ないじゃない。」
「でも・・・・悠太は優しいから
思ってることなんて口には出さないよ。」
「じゃあ結局ゆりちゃんは、ただの聞き分けのいい子にしかすぎないんだ?」
さっきまでとはうってかわって、涼子の冷たい言葉に
一瞬ビクッとなる。
それは彼女が述べたことは事実だから。
「私、そんなゆりちゃんは嫌いよ?
他人に迷惑をかけよがなんだろうが、ゆりちゃんはゆりちゃんでしょ?
悠太くんは、今の「ゆり」が好きなんだよ。
それが今の事実なんだから。
じゃないとそのうち、悠太くんまで信じられなくなっちゃうよ?」
 
―悠太くんまで信じられなくなっちゃうよ?―
 
そんなことはいやだから。
彼を信じられなくなるなんて、絶対にいやだから。
だから・・・・
だからもっと素直になりたい。
自分自身に正直にでありたい。
「聞き分けのいい子」には、なりたくなんかないから・・・・・
 
「あ〜もう、また泣く〜。」
涼子の困った声がする。
けれど私を見ていてくれた瞳は、また普段の穏やかな瞳で
すごく嬉しかった。
「私って、いつからゆりちゃんの慰め役になったの?(笑)」
涼子は笑いながら、私に言う。
「慰め役?全然癒されてなんかないよ!(笑)」
こうやって冗談にして笑い合えるからいいね。
「まあ、ケーキが余ったらいつでも呼んでよ。
私が食べてあげるから♪
もとから味には期待してないから安心しててね(笑)」
「なにそれ〜。ご心配なく。
涼子には絶対あげないから(笑)」
こんな関係がずっと続いていけたらいいなって、本気でそう思えた。
「ありがとね・・・涼子。」
なんだか恥ずかしくて、小さな声で呟く。
「え〜?なになに?
聞こえないんだけどな〜?」
巧み笑いを浮かべながら、涼子は私を上目使いで見上げた。
私は恥ずかしさを必死に堪えながら、もう一度
「ありがとう。」
そう言った。
涼子は微笑みながら
「だって友達でしょ?」って、返事を返してくれた。
今も言葉にしてしまったけれど、それだけじゃまだ足りない気がして
何度も彼女に向けて
「ありがとう」
心の中で囁いていた。
 
 
「ゆり、どこ行くのよ?
もう11時過ぎてるわよ?」
お母さんの呼びかけに
「今から涼子の家に行ってくる。」
そう返事を返して家を出た。
これから涼子の家に行くだなんて全くの嘘。
でもきっとそうでも言わなければ、こんな夜中の外出を許可などしてくれないだろう。
暦の上では春だとしても、素肌に突き刺さる風は
当り前のように冷たい。
やっぱり待っても彼からの連絡はこない。
だからさすがに受話器と睨めっこするのもいい加減疲れて
よけいに自分が惨めなように思えたから家を飛び出した。
行く宛もないままただ歩いていると、一つの柱時計の前で足を止めた。
ここ・・・・私と悠太が初めて会った場所。
 
あの日私は友人と外出する約束をしていて
彼もまた私と同じように誰かを待っていた。
結局は私も彼も目的の人が来なくて、お互い待ちぼうけをくらってて・・・・・
お互い似たような立場だったから、自然に話すようになって
その後は息投合して、二人で遊びに行ったんだっけ?
その相手がまさか彼―福田悠太―だとは
思わなかったけれど。
二人でいろんな所をまわった。
映画館に行ったり、買い物をしたり・・・・
それからお互い、度々会うようになたんだ。
「告白」だなんて、そんな形はとっていなかったけれど
お互い同じ気持ちであると、そう思っていた。
 
「なんか前のほうが、普通の恋人同士みたい・・・・。」
苦笑しながら呟くけれど、ふと頬が濡れていることに気づいた。
視界も徐々にぼやけてゆく。
 
―どうしてあなたは、ここにいないのですか?―
 
あの時のように、深めの帽子をかぶりながら
何度も時計に目を向けていた彼の姿がここにはない。
『君も待ちぼうけくらっちゃったの?
実は俺もなんだよね。』
って、彼が笑っていた声が頭をかすめるだけ。
 
「なんで今日くらい・・・・一緒にいてくれないのよ・・・・
14の誕生日は今日だけなんだよ?
少しでもいいから傍にいたいのに・・・・。」
ずっと胸のうちに隠しつづけていた言葉が、自然と口からもれる。
どうして本人に伝えられないの?
言葉に出来ないの?
どうしてあなたは、私とこんなにも離れているの・・・・・?
 
「ゆり!」
私の名を呼ぶ声が、背後から聞こえた。
―まさか・・・・
振りかえると、頭上にはたくさんの色とりどりの花びらが
まるで雪のように降ってきた。
そしてそこには、ベンチの上に立ち微笑んでいる彼の姿があった。
「悠太・・・・?」
彼は私の小さな呟いたような声に「ん?」って首を傾けた後
「ゆり、14歳の誕生日おめでとう☆」
あの純粋な笑顔で、私に言葉を投げかけてくれた。
「なん・・・仕事は・・・・?
それにこの花・・・・・。」
頭の中が混乱して、上手く会話がつなげない。
彼は照れくさそうに笑った後
「だって今日はゆりの誕生日だよ?
だからどうしても、一緒に過ごしたかったんだよ。
こんな時間になっちゃったけど。
なのに、電話したらゆりはいないって言われるし
涼子ちゃん家に行っても来てないし。」
ちょっとムッとした表情を見せた。
「だからここかなって思ってきてみたら
いたんだよね〜。これが。」
あっ、あと・・・・・・」
ちょっと得意げに笑ってから、思い出したように
彼は自分の手に抱えられていた、ありったけの花束を
私に差し出した。
「ゆり、雪が見たいって言ってたでしょう?」
それは確か、もう随分前。
たまたま雪の話しになった時に
『雪、見れたらいいな。
特に自分の誕生日の日だったら・・・・。』
時期はずれだけれど、「雪が見たい」と彼には言っていた気がする。
「本当は、本物の雪を見せたかったんだけど
やっぱり季節はずれだったみたいで・・・。
だから、花びらで雪をつくろうと思ったんだ。」
彼の奇想天外な発想に、思わず笑いが込み上げてきた。
「ちょっ、なんでゆりが笑うんだよ?」
彼は私の笑いの理由が解らない様子で、驚いた顔をしてる。
「だって悠太・・・花びらで雪だなんて
少女趣味だよ・・・・(笑)」
「失礼な(笑)これでも俺、すっげー悩んで・・・ゆり?」
私の瞳から、さらに増しても涙が流れ出した。
彼は慌てて私の顔を除きこんだ。
「だって・・・悠太が・・・悠太が・・・・」
―ここにいるから―
そして次の瞬間、私の身体は彼の腕によって包まれてしまった。
「えっ?」
彼の体温と柔らかいにおい。
「いつも不安にさせてごめんね?
でも、辛かったらいつでも話してよ。
何も出来ないけど、抱き締めることぐらいは出来るから。
俺は、ここにいるから。」
「うん・・・・。」
涙でクシャクシャになってしまった顔を、彼の胸に埋めた。
 
―あなたはここにいる―
 
「ゆり?」
彼は私と身体を離した後
「改めて、誕生日おめでとう。」
と、笑って言った。
「うん。ありがとう。」
私も涙を拭いながら顔を上げると
唇に、なにか暖かいものが触れた。
それが感触だへと変わって、彼の唇だと知る。
「ちょっ・・・悠太・・・今・・・・。」
顔が真っ赤に火照ってゆく。
彼はクスクス笑いながら
「雪と一緒のプレゼント♪」
なんてそんな言葉を口にした。
 
 
**************
 
まだ肌寒い2月の風を感じながら
君の元へと足を進ませる。
今日だけは君と二人っきりで過ごせると思っていたのに
現実は困難なことばっかりで
逃げ出そうともしたけれど
きっと君はそんな俺を自分のせいだと思い悩むはずだから。
彼女はそんな人だから。
だから頑張るんだよ。
頑張れるんだよ。
俺が君を想うから、君は俺を想ってくれるから。
 
途中までただ足を進ませていたんだけれど
彼女へのプレゼントを何も持っていなかったことに気づく。
慌てて近くにあった、花屋に駆け込んで
ありったけの花束を手にする。
君に花びらの雪を見せるタメに。
 
君は案の定、想像通りに笑うから
だからそんな彼女が愛しくて
俺のために涙を見せる彼女が大切だから
この腕につつみこんだ。
俺の傍から離れて行ってしまわないように。
 
これからも、もっと不安にさせてしまうかもしれないけれど
泣かせてしまうかもしれないけれど
その時は、我慢なんかしないでなんでも言ってね?
 
俺にも
 
君に会いたい。
この腕の中に君を包み込みたい。
君の笑顔が見たい。
声が聞きたい。
 
そんな日があるから。
 
―俺はいつもここにいるから―
 
 
*end*
 
 
 
***あとがき***
はい。あとがきでございます。
まずは初めに、またこんな話し書いてゴメンネ〜><
しかも何気に涼子が友情出演してるし(笑)
つーか、何様よ涼子(爆)
そして長いっすね。
内容はたいしたことないのに(汗)
雪は・・・降ってるよね?
季節はずれじゃないし(爆死)
涼子の中では、ゆりちゃんってこんなイメージです☆
涼子が書いてきた中で、キスシーンを書いたのは
きっとこれが2回目です(フフフ)
こんな小説いらねぇーよって感じだね(汗)
本当にごめんなさいでしたm(__)m
 
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 ゆりから♪♪
Ryoko〜〜><有り難う!!最高の誕生日祝いです☆☆
キスシーンはやっぱドッキリコ(謎)ですね!!
私自身、女子校のため未体験だし(笑)フッフフッフ〜〜(怪)
福田となんて・・想像しちゃうよ(笑)
それにしても・・感動っすね、またまた!!
よし、次の誕生日は絶対福田氏に祝わせてやる(激無理)!!!
私的にRyokoとの共演も超嬉しい!!
とにかく、Ryoko有り難う〜〜!!
&これからも末永く仲良くしてねvv友達でいてね〜〜!!!