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(あらすじ)
今週、ついにストーンゴーレムを克服した『ディアス単身赴任兵氏』
ですが、今週のチャンピオンは「ふりふりエプロン」を送りつけたミティ氏です。
着ろと?
それとディアス単身赴任兵にあまり役に立つもの、多額の現金は似合わないです。
いつまでも悲哀が漂い、恵まれないあなたでいてください。
「今週の登場人物」
ディアス単身赴任兵 都市同盟の愛を一身に集めるディアスのスパイ。
アイシャ=ブラッドフォード 彼を慕う美しい後輩。実は殺し屋。
とっても不倫志願。押しが強い。
第1話 飛べ、ディアス単身赴任兵
珍しい客人を迎えた。
まあ、ディアスから都市同盟に単身赴任しているのだから、客人自体珍しいのだが。
「おや、アイシャか。何のようだい」
アイシャ=ブラッドフォード。
俺と同じディアスの側に属する人斬り。長身の何とも言えぬ独特の色香のある美女で、
一人暮らしの続く俺には少しまぶしくさえ見えて、逆に苦手だ。
「ん、ディアスからの辞令をもってきたんだけどね、ちょっと入るよー」
「おいおい」
止めようと声を飛ばすが聞きやしない。
にっこり。一瞬立ちすくんでしまうほど綺麗な笑顔を俺に向けた後、脇を擦りぬけて躊躇いもせず屋内へ。
キルスレーンの女は押しが強い。まあ、どうせディアスからの辞令を玄関で
話すわけにも行かないしな。
もしかして、帰還命令…ということもありうる。
しかし、こう若い女性が既婚者とは言え男一人の家に気楽に入ってくるのは
おじさん、ちょっとどうかなと思うが。
俺は部屋の掃除だけはきちんとしている。
というより動きやすいようにむしろ殺風景だ。
その部屋を占拠するソファに、アイシャがすでに座っていた。
「んー」
アイシャはなぜか不満げに部屋を見渡す。
どうした?
「なによ、片付いているじゃない」
片付いてて悪いのかよ。
「散らかっていたら、ちょっと奥さんの代わりに世話焼いてみようかなーと思ったんだけどね」
奥さんの代わり…
綺麗な割りに表情の豊かなアイシャの横顔。頬はほんのりと艶やかな朱色で…だめだ、俺、何を考えているんだよ。
「で、ディアスからの辞令ってなんだよ」
アイシャから少し目を外して、急かすように問う。
「ああ、あなたの戦い方について、ね」
「えっ」
戦い方だと?
予想だにしないことに少したじろぐ俺がいた。
「あなたの戦い方にダイナミックさが欲しいから、その戦闘設定を指定するスタイルに変更するようにと、上から命令が出ているわ」
「そうなのか…」
確かに、やや投げやりに悲哀を隠そうともせずやっていたのが、上からすれば気に障ったのかもしれない。
まあ、仕方ない。それに上から注目されているってことだ。言う事にしたがってそれなりの
戦果を上げれば、ディアスに戻れる日も近くなるかもしれないしな。
「そしてこれがあなたの新しい戦闘設定よ」
アイシャから辞令書を受け取り、読んでみる。
「……」
うおおおおおお。
ひでぇ、あまりにも、ひでぇ。
なんでだっ。なんで俺ばかり、こんな目に…っ!
気がつけば、アイシャが悲しげな眼差しで俺を見下ろしていた。
その桜色の唇が開いて、致命的な言葉を吐き出す。
「あなたが…あなたがっ、リン=ハザート皇帝にお歳暮で毛生え薬なんて送るからっ」
あれかーっ!
「よっ、よかれと思ったんだよぉ…」
もう、俺は泣き崩れるしかない。
ごめんよ、妻よ、子供よ。父ちゃんがバカだったよ。
その俺の肩に感じた柔らかな感触と体温。
「アイシャ…?」
俺の肩に手をのせ、いたわりをたたえたすいこまれるような微笑で俺を見つめている。
「辛いだろうけど、あたしは…あたしだけはあなたのすぐ側にいて、味方になるからね…」
その笑顔があまりにも心に迫って、俺は少しだけ考えることをやめたくなる自分を自覚した。
早くディアスに帰れないと、もしかして俺は…
(第二話「えっ、ハナゲソルジャーが二人!?」に続かない)
もう、彼なら何でもありだ。
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