常念岳・大天井岳・燕岳 

  日 時  平成8年4月26・27・28・29日
  場 所  北アルプス(常念・大天井・燕)
  参加者  先発 Yさん・Mさん・木村正人    後発 Eさん・Sさん
  タイム  先発 26日
       伊東〜梓川P
       20:00  23:40
            27日
       梓川P〜 一ノ沢−−常念小屋−−常念山頂−−常念小屋
       6:40    7:30    12:20-13:30  14:30-55   15:30
           28日
       常念小屋−−大天井荘−−大天井岳−−燕山荘−−燕山頂−−燕山荘
       7:00      9:20-10:00   10:10     13:10-30  14:00-20  14:55
           29日
       燕山荘−−中房温泉〜 伊東
       7:00     9:20
                                                       報告  木村正人

 春山とはいえ2700〜800mの、稜線を歩く3泊4日の縦走コ−ス。装備や服装等は冬山と同じだ。
今回は小屋泊りで、多少は荷物が少なくて済んだが、飲み助けの私は、酒とビ−ル合わせて5sを余分に持つ。

 2,3日前から初夏の様に暖かい日が続き、天気予報も毎日雪崩に注意と出ているが、リ−ダ−がベテランのYさんなので安心だ。
 
    27日
 一ノ沢から2時間位歩いた所で、今迄聞こえていた沢水の音がぴたりと止んだ横を見ると凄い光景。沢幅いっぱい20〜30m、深さ10m以上もある雪崩の跡が谷を埋め尽くしていた。大木が無数なぎ倒され、雪の壁がせり上がり又深くえぐり取られていて、背筋が寒くなる光景だ。雪崩の爪跡は緩やかな斜面を40分歩いた所迄、延々と続いていたのには驚いた。(雪崩とは急斜面で起こりその下で止まると思っていたが、間違いだった、どうして此の様にゆるい傾斜で止まらないのだろう、それも何キロも???解らない)

 夏道とは違い沢の上を歩くル−トなので、それからはYさんが、「休憩しょう」と言っても、私は早く此の沢を離れたくてしょうがなかった。いま雪崩が襲ってきたら、ザックを捨てて走りあの岩陰に隠れよう、少し歩くと今度はあの岩だな、等と考えながら歩いた。常念乗越下の急登に差し掛った時、今にも崩れそうに見え不安はピ−クに達した。

 Mさんが「ゆっくり行くから先に行って」といったのでこれ幸、どんどん登る。何だか悪い様な気もするが、仕方がない。自分には家庭内離婚をしていない妻と、私に似て(八幡野のキムタク)ハンサムな息子がいる。ここで生き埋めになる訳には行かない、こうなったら自分一人でも助かろう、ハァハァハァ苦しい、でも登り続ける。休もうと思っても雪の亀裂が目に入り、今にも崩れそうに思え休めない、登っても登っても亀裂がある。
 苦しさがだんだん快感に変わって来た頃、常念乗越に着いた。助かったあああ。
 荒々しい穂高の山々、鋭く天を刺す槍ガ岳、裏銀座に山々、素晴らしい大パノラマに言葉も出ない。ウォルタ−ウェストンが日本のアルプスと言ったのもうなずける。

 しばらくすると2人の姿が見えた。私は気まずさから2人を迎えに下りザックを持って上がる。無事雪崩にも会わず良かった良かった。へへへェー。小屋に入り雪で冷やしておいたビ−ルで乾杯。

 一休み後、常念岳目指し登りはじめる。山頂下200m位で雪質が変わる。雪屁に気おつけ、硬い斜面をピッケルでカッティングしながら、トラバ−スし登りきる。
 山頂は360度の展望。Yさんと握手し、景色を写真と心に残して下山。

 小屋は6畳間の個室で定員14人と書いてあったが、小屋開けの日なので空いていて、3人で1部屋貸し切り。
布団は暖かいし食事は美味い、食堂からの眺望も抜群。天気も良いし本当にきて良かった。連れてきてもらったYさんに感謝、感謝。
 
    28日
 大天井岳を過ぎると、雪遊び中の雷鳥に出合う。初めて見る私にはコジュッケの様に見える。Mさんがカメラを構え写真に夢中になり、切裂を越えて雪屁に近づき過ぎ、リ−ダ−に注意を受ける。此の傾斜をピッケルも持たずに転げ落ちたら助からないだろう、良くて大怪我。Mさんも最近水気が無くなったとはいえ、荷物もあるし50sは超えるだろう。2人で運ぶのは大変だ、その時は雷鳥にも手伝ってもらおう。

 コ−ス最大の難所、大天井岳の下りを降りきった所に、切通し岩という鎖場が出て来た。そこで女性がクサリにしがみつき、連れの男が指示しているが、下から2m位の所で大股を開き「降りれない」と言っている。Yさんが近づき見上げている。Yさんも男、良いアングルから見上げているなぁと思っていると、Mさんも歩いて行き、足場を決めて見上げた。あれれれ???そうか、女性の大股開を見に行ったのではなく、その人が万一落ちても、谷底に落ちる前に受けとめるつもりで、ピッケルを深く刺し、足場を決め見守っていたのだった。自分も2人に習って万一に備えたが、その人は何とか1人で降りれた。
 私の考えとはほんのチョット?違っていたが、さすが山学会、お願いされなくてもサポ−トするところは、本当に良き会だと、あらためて思った。

 それからは小さなアップダウンの続く爽快な、パノラマコ−スが続く、北アルプスの表銀座とは良く付けたものだ。ある所で「ここはこまくさの群生地よ」とMさんに教わった 今日の宿泊地燕山荘にて、後発のEさんとSさんに落ち合い、5人で燕岳に向かう。

 片道30分の山頂は花崗岩の石砂が美しく、風雪が刻んだ奇岩も不思議な光景だ。

 頂上で休んでいると「すみません、ヤマケイジョイですが、皆さんの写真を撮らせてください」といわれる。一も二もなく承知し、Eさんと木村が目立つ1番前に座る(此のしっかりもの)、はいポ−ズ。来年の春号に乗ると言う。
モデルが私を含め年配者が多いのでボツになりはしないかと思うが、来年の3月が楽しみだ。

                    

 小屋に戻り、いつもの様に岩魚酒で、北アルプスの山々を摘みに楽しい宴会になった。
 日没を見る。太陽が山に沈んで稜線が赤く色付き、時の流れを止めてしまうような静寂に包まれる。ロマンチックな気分になったが、横にはMさんがいた!!!
 
    29日
 5時、荘厳な御来光を見る。朝食を食べ小屋を出てすぐ、カモシカが現われた。遠う過ぎてカメラに納める事が出来なかったが、見れて良かった。
 今日は下りのみである。早朝は雪の表面が適当に凍っていて、足跡のない所を歩け気持ちがいい。Iさんの転びのテクニックを見ながら、全員無事中房温泉に着く。
 穂高町のしゃくなげの湯に浸かり帰路に着く。

 今回の山行は、積雪は例年より多かったが、4日とも天候に恵まれ、雷鳥・カモシカ・野猿等に逢え、大雪崩の跡・穂高の山々・槍ガ岳を見、緊張した雪の急斜面、快適な表銀座の尾根歩き、どれをとっても心に残る楽しい山行だった。