北アルプス幕営縦走 後半−裏銀座方面・笠ヶ岳
烏帽子岳・三ツ岳・野口五郎岳・真砂岳・水晶岳・祖父岳・鷲羽岳・三俣蓮華岳・双六岳・抜戸岳・笠ケ岳
日 時 平成10年8月8日 〜12日
場 所 北アルプス南部
参加者 木村正人・木村貴子
コ-スタイム 8日 伊豆高原〜 安曇野村役場==信濃大町
12:45 17:30-50 20:10
9日 信濃大町駅〜高瀬ダム登山口−烏帽子小屋−烏帽子岳−小屋−−野口五郎小屋
5:50 6:40-50 10:40-11:00 11:40-50 12:30-40 15:30
10日 テント場−水晶小屋−水晶岳−小屋−−祖父岳−−分岐−−−−鷲羽岳−ー三俣山荘
5:00 7:30-45 8:15-45 9:15-30 10:40-55 11:40-12:20
14:05-15:05 15:50
11日 テント場−蓮華岳−双六小屋−弓折岳−-笠新道分岐 −笠ヶ岳− 笠ヶ岳山荘−テント場
5:20 6:10 8:00-40 9:40-10:20 12:50-13:10 14:15-30
14:40-15:40 15:45
12日 テント場−笠新道分岐−杓子平−林道入口−新穂高温泉〜安曇野〜伊豆高原
6:00 6:40 7:20-30 9:40-55 10:40-12:30
14:00 20:20
報告 木村正人
北アルプス縦走の後半は,烏帽子岳から鷲羽岳、三俣蓮華岳を越へ笠ケ岳迄の5日間だ。今回も山小屋に水はあるか、バスの時間、車の置く所などを調べておいた。
8日
仕事の関係上、昼過ぎに家を出る。車はYさんに教えていただいた安曇野村役場に置かせてもらい、ザックを担ぎ、電車で信濃大町へ。駅から歩いて15分位の市役所の裏にテントを張る。
この日は大町のやまびこ祭りで花火があがり、パレ−ドや踊りで9時迄賑やかだった。偶然入った食堂で、注文しないトマトとキュウリがどっさりと出された。女将さんが「山から下りてきた人に、サ−ビスで出しているんですよ」と言う。なかなか出来ない事だ。下山ではないが、ありがたくいただく。食堂の名は(やまや)
9日
駅から高瀬ダム迄、タクシ−代が高いので、相乗りにしようと思い、早めに駅で待っていたら、七倉のゲ−トは6時半にならないと開かないので、5時50分に4人づつの相乗りで出すと言う。下調べが不十分だった。
タクシ−は白い穂を出したすすきの山道を七倉ダムへ。更に満々と水をたたえたロックフィル式の高瀬ダムの堰堤に着く。奥にトンネルが見える。そこが登山道入口だ。
2つの吊橋を渡り、白竜の滝が見送ってくれる。水を汲み、いよいよ三大急登の一つブナ立尾根で裏銀座のスタ−ト地点だ。尾根には12分割された道標が、歩行や休憩の目安となって歩きやすい。
高度を上げると、高瀬と七倉の鴬色のダム湖を見ながらの上りになる。ナナカマドの実が赤く色ずき、秋の気配がした。予想した程の急登ではなく、2時間余りコ−スタイムを縮め小屋に着く。
目の前に赤い山肌でなだらかな赤牛岳が迫る。ザックをデポし烏帽子岳へ。快適な尾根上は燕岳と似ていて、白砂の花崗岩と風化した岩がそっくりだ。夏の名残のコマクサも挨拶を送ってくれた。2つのダム湖と野口五郎岳見ながら前烏帽子へ。ここから眺める烏帽子は、岩がオベリスクの様だ。

左の山は烏帽子岳
クサリに捕まり山頂へ。山頂は岩の間で、1人がやっと立てる所で、標識も少し下にある。眼下には船窪からの縦走路と小さな池が、ミニチュアの公園のように見え、とても綺麗だ。
小屋に戻り、野口五朗岳を目指す。暑くも寒くもなく、本当に良い天気だ。右に水晶と赤牛、左に槍を見る。後ろには先々週行った後立山の山々もはっきり見える。
大きな五朗岳が近ずき、二重山稜の窪地に隠れるかのように小屋が現れた。テント場は小屋のすぐ下で小さい。設営後、体の手入れをし、ビ−ルを飲み、夕食を済ます。疲れの為か、まだ明るい6時半には寝てしまった。
10日
小屋から山頂迄は一登り。なだらかでのっぺりした頂上だ。黒い姿の水晶岳(黒岳)が目に飛び込む。真砂岳を巻き、東沢乗越を越え、水晶小屋迄の上りとなる。小屋の下は焼け焦げたような岩肌が、地獄谷のように見える。
赤岳の肩に建つ小屋は、プレハブで小さい。調べておいたとうり、水は分けてもらえなかった。手ぶらで30分、岩だらけの水晶岳に着く。北アルプスの真ん中と言われるだけあって凄い。雲ノ平、薬師岳、その奥に白山。黒部五朗、その奥に笠ケ岳、焼岳。もちろん、表銀座の山々や、後立山も360度見える。
いつ迄も見ていたいが先を急ぐ。ワリモの分岐にザックを置き、岩苔乗越を越え、祖父岳へ。山頂には多くのケルンが積まれていた。雲ノ平は目の前。でも、鷲羽岳を目指す為、来た道を戻る。
途中、湿地帯で、亀の甲羅のような苔があった。ワリモ山頂を巻き、200m上り返し、鷲羽岳へ。花崗岩特有の明るい山だ。ここからの写真のアングルがまた良い。足元に鷲の水飲み場といわれる、コバルトブル−の池。前には赤褐色のゴツゴツした岩肌の硫黄尾根。その奥は、北鎌と西鎌が手を広げたように見える槍ガ岳。360度の展望と山頂の至福に酔い、写真を撮りまくった。貴子が写真をとってという。フイルムがもったいないが、仕方なくいやいや撮った。あまりの遠望の良さに、1時間も休んだ。

宿泊地の三俣山荘は、眼下に見えていたが、370mの下りはきつかった。テントを設営後、山荘の展望レストランでビ−ルを飲みながら、ここでも1時間余り、恋人を見るように槍・穂高を眺めていた。妻の顔なら飽きるのに、山の眺めが飽きないのはなぜだろう???
テント場横に、水場があり、冷たい水が豊富に流れていた。ただなので飲み放題飲み、頭まで洗った。水のありがたさが解る。
11日
昨日とうって変わって、ガスと風の中、雨具を着ての出発。いきなりの急登で三県境の三俣蓮華岳へ。ガスで展望はなし。起伏の少ない稜線コ−スを双六岳へ。写真だけ撮って通過。
双六小屋はウッデイ−で新しく、立派な小屋だ。水も豊富に流れている。これから先、笠の小屋迄水場が無いので、2人で4,5L持ち、広いテント場を通り、笠ヶ岳を目指す。天気は回復してきたが、ガスは取れない。
弓折岳の広場で昼食を取り、大ノマ乗越を越え、秩父平へ。ここは木曽駒ケ岳の千畳敷きと似ている。カ−ルには盛りを過ぎていたが、色々な花が咲いていた。(花の名前はコマクサ以外知らない)雪渓もなく、やはり水は無かった。カ−ルの急斜面を一気に登る。
抜戸岳は巻き、笠新道分岐へ。 抜戸岩を通り、さほど起伏のない尾根を歩き、岩の多いテント場に着く。大きな岩に(ガンバレ)とか(小屋は後少し)等とペンキで書いてある。
小屋は下山の時立ち寄る事にし、笠ケ岳へ。岩でガラガラの道を登って、ケルンが林立する山頂へ。 絶景のはずが何も見えず残念。昨日迄が良すぎたので、仕方ないかと諦め、明日朝晴れていたら、再び登る事にし下った。
笠ケ岳山荘は6月に出来たばかりの真新しい小屋で、どこも彼処も綺麗だ。畳の上でストレッチをし、ビ−ルを飲んでくつろいだ迄は良かったが、飲料水が無いという。仕方なくペットボトルの水2L1200円で買った。
12日
今日は時間に余裕があるので、いつもより出発を1時間遅らせたが、外は雨と風だ。
シュラフをス−パ−の袋で包み、濡れたテントを苦労しながら、撤収する。でも、ザックは最終日なので軽い。風雨のなか、足元に注意しながら、黙々と下る。笠新道分岐を過ぎると、雨は益々激しくなる。
杓子平を通過し、樹林帯に入ると、突然〈ピカ−〉閃光が走った。(1・2・3・4・5)〈ゴロ・ゴロ・ゴロ・ドス−ン〉5秒後に雷鳴が響く。稜線や尾根上でなく良かったと思っていると、いつのまにか、草地の尾根上を歩いていた。早く樹林帯に潜り込みたいが、雨で滑る為、走るわけにもいかない。頭の中で、雷対策をフル回転させていた。〈ピカ−〉〈ゴロ・ゴロ・ゴロ・ドス−ン〉今度は6秒後。その次は8秒になった。一安心する。
途中から道標に標高が書かれ、下りの目安になる。登山道は岩から土と木の根に変わり、長い下りで膝が弱ってきたのと、靴の中まで濡れたので、二人とも何度も滑って転ぶ。ようやく林道に出て、ホット一息。
痛い足をかばいながら、新穂高温泉に着く。
後はゆっくり風呂に入り、予約しておいた直通バスに乗り、安曇野役場で車に乗換え、帰路に着く。
今回の縦走は、危険な所もなく、2日・3日は素晴らしい天気に恵まれ、本当の稜線漫歩を楽しんだが、4日目はガスの中、5日目は私が経験した山行で、一番の雨になった。山での雷も初めて体験する。色々な事があったが、温かい人情にも触れ、想 出深い山行になった。