南八ガ岳縦走(硫黄岳〜赤岳〜阿弥陀岳)
日 時 平成14年2月9日〜11日
場 所 南八ガ岳
参加者 木村正人・木村貴子
コースタイム 9日 美濃戸口〜美濃戸〜赤岳鉱泉
15:40 16:40 18:30
10日 赤岳鉱泉〜硫黄岳〜 横岳 〜 赤岳展望荘〜 赤岳 〜阿弥陀岳〜赤岳鉱泉
7:10 8:45-50 9:55-00 11:25-40 12:25-30
14:00-05 15:25
11日 赤岳鉱泉〜美濃戸〜美濃戸口―伊豆高原
7:40 8:40 9:40-50
報告 木村貴子
9日―曇り
鹿島槍を断念したので、スキーでもして帰ろうかと思ったが、三連休を無駄にするのももったいないので、二人であれこれ考える。その結果八ガ岳なら日本海側と違い天気も良さそうなので、赤岳はどうかと提案する。夫もそれならば縦走しようと言い、意見が一致した。
15時40分、美濃戸口を出発。赤岳鉱泉に少しでも早く着きたいので、せっせと歩く。美濃戸山荘での休憩もそこそこに、すぐに歩き出した。堰堤を通過する頃には、暗くなってきたのでライトを出す。冷え込んできたが、風もなく雪も降っていないので助かる。
日没を1時間も過ぎ、赤岳鉱泉の灯りが見えた時にはホッとした。鉱泉はテントの花盛りで、やはり人気の八ガ岳だと感心する。雪慣らしをし、テントを設営。落ち着いて、夕食を取る頃には8時を過ぎていた。
10日―曇り
曇りがちだけどまずまずの天気。硫黄を目指して出発。登りにかかると大同心、横岳、赤岳、阿弥陀と雄雄しい姿が素晴らしい。しっかりトレースがあり、歩きやすく高度が稼げる。赤岩の頭に着くと、北八ツ方面、これから進む赤岳の稜線が目に飛び込んできた。この辺りは風もなく静かだったが、山頂に向かうと強風になり、やっぱりとうなずく。
硫黄岳までの登山者が多く、縦走の人は少なめだ。硫黄からの下りでは、石が出ているので、アイゼン歩行に注意するよう夫に言われる。強風が両側から吹き上げてくる。
右手に阿弥陀様のような大同心を見ながら、最初の難所である岩場に着く。先行者の通過が遅いなと思ったが、いざ自分になるとうなづけるものがあった。岩場をトラバース気味に進む時、クサリもなく最後の一歩が遠く雪が軟らかいのでズルズルとして嫌な感じがしたからだ。次にハシゴが出てきたが、スム―ズに登れ横岳山頂に着く。天気が悪くなり、ガスって景色は全く望めない。寒いので先を急ぐ。
先行者が5〜6人いた。三叉峰、石尊峰と佐久側をトラバースし、鉾岳で諏訪側に移るとクサリ場に出合う。雪壁になっているので、滑ったら谷底だと思い、慎重に足を進めた。雪混じりの風は、ますます強く、手や足の先が冷たい。目出帽の口元はガチガチに凍っている。稜線に出ると寒いと聞いていたので、衣類を充分に着ていて良かったと思う。
地蔵尾根の下り口で、ツアーの人達が休んでいたので、夫が阿弥陀の事を聞くと、トレースがないし、ナダレの危険もあるので考えた方が良いと言われる。夫は天候と時間を考慮し、行動するつもりのようだ。私は阿弥陀岳は傾斜が強い登りなので、体が疲れていると危険なこともあり、少し不安があった。
赤岳展望荘で休憩しようと、風を遮る所を探すがなく、風に吹かれながら、立ったまま凍った固いパンをかじる。このようなパンを食べたのも初めてで、熱いお湯がとても美味しかった。強風の吹き荒れている中、山頂に向かう。足が疲れ2人とも休みがちになり、時間がかかり頂上に着く。
10人位の登山者が、丁度下山するところで、皆ザイルで繋がれ、コンティニアス方式を取っていた。『1人滑ったら、止めるどころか、他の人も巻き添えになり落ちるのでは・・・』と思う。

夫が必要ならばザイルを出すと言ったが断った。岩場の急下降なので注意して下りる。危険な箇所はクサリがあったので頼りにした。
文三朗尾根と中岳の分岐で、阿弥陀方面からの登山者に会う。数人のパーティーが阿弥陀を越えて来たと言う。風も静かになり、時間も充分あるので、私達も阿弥陀を目指すことにした。
中岳で一休みし、これから登る阿弥陀を正面に見る。『私に登れるかな?ザイルが必要かな?』と不安に思う。
中岳と阿弥陀のコルに着き、いよいよ登るんだと見上げると、『人が滑り落ちてきた。滑落だ。どうなるの・・・』仲間が「止まれ―止まれ―
」と大声で叫んでいる。岩場を通って20m位滑って、運良く止まった。結局その人はかすり傷一つなく、仲間と下山して来た。『奇跡だ』
目撃した人の中には恐くなり下りる人もいたが、私達は気を引き締め挑戦。最初から傾斜がきつく、大雪壁になっている。岩場の所が難所だ。雪壁は長いが階段状になっているので、急斜面だけど登りやすかった。途中、トラバースがあり、後半は難しい所もなく頂上に着く。可愛らしいお地蔵様が出迎えてくれた。景色はガスで何も見えない。

下りで一番大変なのは、やはり上りの時の雪壁で、横向きで一歩、一歩下りる。危ない所は後ろ向きになり、ピッケルを 両手でしっかり刺し下りた。急下降なので緊張し足に力が入る。先程の事故が思い出され、滑らないようゆっくり下りる。 難所を過ぎコルに到着。『終わったー』。コルからの谷間はナダレの発生しやすい場所らしが、雪の状態が良いので心配なく一気に下る。
行者小屋もテントの花盛りで小屋も営業しており、大勢の人で賑わっていた。赤岳鉱泉に着き、今日は早目にテントでくつろいだり、小屋の談話室に潜り込んだりした。
私は赤岳往復でも良いと思っていたので、硫黄から赤岳、更に阿弥陀まで縦走でき大満足の山行になった。
11日―曇り
テントを撤収し、鉱泉を後にする。美濃戸口近くの沢で、アイスクライミングの見学をする。右側の氷壁はトップロープの支点の掛け方に問題があり、それをクリアすれば初心者でも登れるらしい。左側のツララの様な垂直壁は難しそうだ。夫はいろいろ情報を仕入れていた。
美濃戸口に着く頃には天気も回復し、青空になっていた。
原村の《樅の湯》で温まり帰路に着く。