韓国に「ヨット操縦免許」なるものが誕生!
すでに施行されている!
1: 「ヨット操縦免許」とは?
「水上レジャー安全法(法律第5910号)」という法律が1999年2月8日に成立しました。同法の目的は「水上レジャー活動の安全と秩序を確保し、水上レジャー事業の健全な発展を図る」(第1条)こととなっています。この法律の第4条において「・・・動力水上レジャー機具を操縦しようとするものは・・・海洋警察庁長の動力水上レジャー機具操縦免許を受けなければならない。」とし、免許の種類として次の2つを定めています;
1.一般操縦免許: 第1級操縦免許、第2級操縦免許
2.ヨット操縦免許
(第1級操縦免許は試験代行機関の試験官の資格免許です-施行令第4条-1)
これら免許の基準・手続き・方法などは、「同法施行規則」(2000年2月8日施行)、「同法施行令」(2000年2月8日施行)に詳しく定めています。同法・施行規則・施行令は海洋警察庁のホームページで見ることが出来ます。アドレスは次のとおりです;
http://www.nmpa.go.kr
これらの操縦免許の対象となるのは「・・・推進機関の最大出力が5馬力以上のもの・・・」(施行令第3条)としながら、「一般操縦免許」は「ヨットを除くすべての水上レジャー機具」(施行令第4条-1)が対象で、わざわざご丁寧にヨットを狙い撃ちにして「ヨット操縦免許」を設けて帆走技術を試験内容に含めている(規則別表1-2、施行令別表1-2)のは、まことに異様な感じです。
ともあれ、無免許運転には、「1年以下の懲役、または300万ウオン(約30万円)以下の罰金」が科される(同法39条)厳然とした前代未聞のヨット免許が韓国にあるのです。
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2: どのようにしてできたのか?
ヨット操縦免許制度を含む「水上レジャー安全法」、「同施行規則」、「同施行令」の各案を作成した海洋警察庁の担当官の話や、ヨット協会関係者の話を総合すると、次のような経過をたどってヨット操縦免許が出来上がったことが確認されました;
「水上レジャー安全法」の法案作りを進めるにあたって、海洋警察庁の担当者達は、関係しそうな各団体を直接訪問しながら意見収集を行ったということです。当然、大韓ヨット協会の事務局にもヨットの取り扱いに関して、意見を聞きに訪れたそうです。そのときの事務局の対応が―信じられないことに―「自分達の協会は、エンジンのないディンギーヨットしか管轄してないので、まったく関係有りません」というものだったというのです。
止む無く、他にヨット関係の団体はと探したところ、(社)韓国外洋帆走協会(KORA)に行き当たり、訪ねてみると、「ヨットを操縦するのに免許が必要になるような法律を作りましょう」という話が出てきて積極的に資料や素案を提供してくれたという驚くべき話なのです。
KORAは現在名称を(社)韓国外洋帆走連盟と変更しているそうですが、試験代行機関としての利権を得て、ヨット操縦免許試験代行事業に精を出しています。
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3: 国内での波紋は?
このヨット操縦免許制度なるものが出来ていることを一般のヨットマン達が知るようになったのは、1999年の秋ごろのようです。このころ海洋警察庁の担当官たちは同法の施行規則と施行令の具体案の策定を進めていたということです。
大韓ヨット協会の事務局と一部の理事たちはこのような動きをある程度知っていたにもかかわらず、「自分達にはディンギーのことしか関係ない」という対応をして以来、事の重大さをまったく認識していなかったようです。まったく情けない次第です。
たちまち良識あるヨットマンの多くから海洋警察庁に対して猛烈な抗議活動が始まりました。その多くは同庁のホームページ上の投稿欄を舞台にするものでした。「海洋警察庁長の無謀を告発する」といったタイトルで理論的に「ヨット操縦免許」なるものの不条理とその試験問題内容のお粗末さを詳細に指摘しながら批判しているものもあります。同庁の対応を見ると明らかに狼狽に近い状態のように見えます。それもそのはず、同庁の担当官たち自身はヨットのことをほとんど知らないでKORAの人間の言われるままに作ったにすぎないわけですから。
同時に大韓ヨット協会事務局の初期の対応に関しても責任を追及する声があちこちからあがっており、事務局への不信感も募ってきています。(それでも、常勤副会長、事務局長はじめ当時の役職員は再任されているという事実は理解に苦しみますが・・・)
さらに、ことの次第が明らかになるにつれ、全ヨットマンへの明白な背信行為を行ったKORAに対する大多数のヨットマン達との関係は、当然のことながら、ほとんど敵対関係と言えるほど悪化してしまいました。
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4: 韓日親善にも深刻な影響
この「ヨット操縦免許」のことがまだ表面化する以前に、KORAは大韓ヨット協会に対し外洋ヨットを担当する団体として加盟申請を提出していました。(そのウラでヨット免許制度を画策していたとは・・・)
ヨット協会では諮問委員会まで設けて検討した結果、理由はいくつかあったようですが、最終的にこれを承認しませんでした。代わりに、今後は外洋ヨットに関しても直接対応し、責任を果たしていくべきだとして、1999年8月13日の理事会でヨット協会内に専門委員会を設けることを決議し、外洋セーリング委員会(OSC)が発足しました。
このことは早速日本セーリング連盟(JSAF)にも公式に伝達され、同時にアリランレースに関しても今後はヨット協会を韓国側窓口とするよう外洋玄海支部への指導を要請したということです。
その後、KORAのヨットマンにたいする背信行為としか言えない、ヨット免許の画策の事実が明らかになりました。
大韓ヨット協会では、直接JSAF外洋玄海支部にも書面でアリランレースに関しての協議を申し入れたりしたとのことですが、結局日本側からは何の回答も対応を得られなかったため、あくまでもKORAを共催団体として行う「第15回NTTDoCoMo九州カップ日韓親善ヨットレース(アリランヨットレース)」に関してはヨット協会としては何ら関与することが出来ないことになってしまいました。
韓国と日本の間での伝統ある親善ヨットイベントであるアリランレースが、実働メンバー2〜3名の(KYAホームページの自由掲示板など)、ヨット協会のメンバーでもなく、ヨット免許制度を画策したKORAが韓国側窓口となっているために、参加することを楽しみにしていた多くの韓国ヨットマン達に涙を飲んで断念することを強いることになってしまいました。
「日韓親善」ヨットレースのはずが―もちろん一部ではそうであったでしょうが―韓国ヨット界の混迷を助長することに貢献することになってしまったのは残念でしょうがありません。
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5: 大韓ヨット協会が公聴会開催
去る4月1日、大韓ヨット協会では、ヨット操縦免許制度に対する公聴会を開催しました。この公聴会の目的は、海洋警察庁との協議・討論の過程で、海洋警察庁長から「ヨット界の意見を集約してもらいたい。いろんな人からいろんな意見を言われたのでは対応の仕様がない。」というもっともな意見が出されていたことから、ヨット協会として、韓国ヨット界の総意をまとめて、このヨット操縦免許制度への対応の仕方を決定することでした。
4月1日、14:20、釜山市ヨット競技場本館3階の国際会議室にはヨット関係者43名が参席しました。参加はすべての関心のある人に出席を認めており一切の制限は有りませんでした。
経過報告の後行われた主な発言内容と結論は次のようなものでした;
〇水上レジャー安全法の色々な矛盾条項(例えば、注意報・警報発令中のセーリングの制限条項-Fun
Boardの場合、風が12m以上になって最高のセーリングが可能なのに、同法ではセーリングが禁止されている。)を指摘しながら、水上レジャー安全法からヨット免許自体を削除しなければならない。
〇ヨットは入出港時、速度が速くないので、エンジンの馬力がやや大きいとしても危険性としてはモーターボートやジェットスキーに比べるとはるかに微弱である。
〇多少危険性があったとしても、レジャーやスポーツ行為に国家資格制度を導入することは当該スポーツの自立性のために適切ではない。(例えば、スキーはヨットよりもはるかに危険である。だからといって国家においてスキー免許や資格を与えはしない。)クル−ザーに対しては、ヨット協会においてアカデミーを運営し、安全教育をさせるのが適当。
〇ヨット操縦免許はヨット人の自立性を阻害する悪法であり、悪法は悪法でしかない。
〇一般操縦免許でヨット操縦免許を代替するとか、協会自体で資格を付与する等、他の悪法誕生の不幸を招く可能性があるので、単刀直入にヨット操縦免許廃止に主眼点を置かなければならない。
●結論として、ヨット操縦免許廃止を満場一致で決議