
皆が山 根回り雪 |
蒜山に登る前に、そのとなりの山皆が山(みながせん)に立ち寄る。
しかし、途中から雪がふってきて、視界はまったくなし。あったかくて、ぽかぽか陽気の瀬戸内からは想像もできなかった。ここは、もう山陰に近い。やはり、瀬戸内と山陰はまったく違う。
でも、初めて「根回り雪」に出会うことができた。春が近づくと、木のまわりだけ雪が丸くとける。それが根回り雪だ。この辺の雪の深さは、50cmくらいもあった。まだ、根雪も残っている。
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皆が山 山頂 |
山頂に着くと、雪が高く積もっているためか、頂上の表示を下に見下ろすかっこうになった。
しばしやんでいた雪がまた降り始めた。今度は、直径8mmくらいのヒョウがバラバラッとふってきた。見る見るうちに登ってきた足跡が消されていく。足跡が完全に消えないうちに下山しよう。人っ子1人いない山道は不安なものだ。あわてて、皆が山の山頂を後にした。
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登ってきた皆が山を見る |
下におりると、雪はやみ、青空も顔を出した。双耳峰の皆が山がよく見える。 |

うっすら雪化粧の
蒜山高原 |
蒜山高原は、牛の放牧もされている美しい草原だ。うっすら雪化粧して、外国の風景のようにも見える。
青空が顔をのぞかせたのもつかの間、また雪がふってきた。あたりは再び何も見えなくなってしまった。次の予定地、下蒜山の登山口を目指すが、雪は横なぐりになってきた。これでは、せっかく登っても何も見えないだろう・・・ 今日の午後の山はあきらめ、温泉へと車を走らせていた。
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しかし、その途中に急に雲が晴れ、また青々とした空が顔を出した。これなら行ける! Uターンして、下蒜山登山口へ。
それからはいい天気に恵まれた。下蒜山の登山道は快適そのものだった。ゆるやかな草原の中をピラミダルな山頂を目指して進む。周りの山や、下界の風景がよく見えた。下蒜山も、なかなかの名山だ。
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下蒜山山頂へ向かう
ゆるやかな道 |
山頂が近くなると、登ってきた乙女平(おとめだいら)がよく見える。ゆるやかな草原を見下ろし、休憩する。
あのまま温泉に行ってなくてよかった。山が私をよんでくれたのかもしれない、そう思った。
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 乙女平 |
下蒜山山頂に着くと、中蒜山・上蒜山の山頂が向こう側に見えた。
と思ったら、またまた雪だ。たちまち、上・中蒜山は姿を消した。私が登ってくるのを待っていてくれたのかのようだった。
無理をせず、ここから来た道を下山する。明日は、上蒜山を目指そう。
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下蒜山山頂から
上・中蒜山を見る |

湯原温泉
開放的な露天風呂
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今度こそ温泉を目指す。蒜山から一番近い湯原(ゆばら)温泉を目的にした。何の下調べもなしにいったのだが、そこは全国の露天風呂「西の横綱」に指定されているところであった。なるほど、川のすぐ横には3つの露天風呂があり、そこへは誰でも無料で入れるというのだ。実に開放的な露天風呂だ。
しかし、道から丸見え。こんなに明るいときに行っても、誰も入っていないだろうと思いきや、20くらいの人がすでに入っていた。これに意を強くして、私も恥ずかしさを乗り越え、入浴。
入ってみると、外国の方や、女性の方も入っていた。最初は恥ずかしかったけれど、体調を崩し、恥ずかしいなんて言ってはおれないと温泉治療を始められたらしい。今では、恥ずかしさはあまりないとのこと。もちろん、タオル地のワンピースを着ての入浴である。ここは、他にも女性が意外に入っておられる。でも、あまり違和感がないのが、また西の横綱たるところなのだろう。
すぐ近くにある山や川を眺めながら温泉につかるのはなかなかいい。ダムも近くにあり、まったくの外だ〜という感じである。ホテルの灯りがぼんやり見えるのもいい。
ただ一つ落ち着かなかったのは、荷物の問題である。入浴料無料なのでロッカーもなく、荷物は自分で管理しなくてはならない。湯船の近くに貴重品を入れた荷物をおくが、盗難もけっこう多いらしい。絶えず荷物に気を配っていなくてはならない。小心者の私は、1.2分ごとに荷物の安全を確かめるのだった。おかげで、ゆっくりと温泉気分を満喫するわけにはいかず、最後までゆったりできなかった。それが唯一、残念なところだった。
夜は、車の中に泊まる。朝4時、目を覚ますと、しとしとと雨が降るような音がする。しかし、なぜか外の景色がまったく見えない。窓を少し開けて外をのぞくと、まわりは一面の雪景色だった。車の窓にもたっぷり雪が積もり、フロントガラスは全面雪でおおわれていた。そのために外が見えなかったのだ。大雪だ! まずい・・・ この雪で、無事家へ帰れるのか?! チェーンもない・・・ こんな雪は予想していなかった。
しかし、外へ出てみると5cmくらいの雪だった。これなら大丈夫か。
でも、今度は寒くて眠れない。かなり冷え込んでいるようだ。セーターを込み、一番上にヤッケをかけて、やっと眠りにつくことができた。
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これから登る
上蒜山を見上げる |
2日目は、やはり雪だった。大山なんて、影も形も見えない。見えるのは、雪に閉ざされた世界だけだ。
昨日の午後あんなに晴れていたから、今日はいい天気かと思っていたが・・・
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上蒜山 登山道 |
しかし、2合目あたりで晴れ間が見え始めた。下界も見え始めた。これから登っている山も見えた。
やはり、天気が晴れると、心も晴れる。足取りも軽くなる。右側には、昨日登った皆が山が、雪におおわれて立っているのが見える。だいぶ視界が開けてきた。
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雪に埋もれた
上蒜山 山頂 |
だが、ものの20分もすると、また空がかき曇り、はらはらと雪が落ちてきた。再び、雪に閉ざされた世界に逆戻りだ。
雪は、どんどん深くなる。でも、前を行くパーティがつけてくれた足跡が心強い。
そのパーティに追いつき、ともに上蒜山の山頂に立った。
「ここで、立ったままお昼にしましょう。」パーティの方々は、立ったままのお昼御飯に入った。
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上蒜山の樹氷 |
山頂は、樹氷がきれいだった。ゆっくり樹氷を眺めていると、「あっ、真っ青な青空!」と、1人の方が言った。本当だ。空に見る見る青空が広がっていく。
私は、飛ぶようにして山を駆け下りた。山頂は、視界がきかない。しかし、途中には眺めのいい場所がある!また20分くらいすると、雪が降り始めるに違いない。その20分の間に眺めのいいところ行きたい。
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ガスが晴れて
中蒜山が顔を出す |
7.8分下っただろうか。眺めのいい場所に着く。今のぼってきた上蒜山山頂もよく見える。その右側には、中蒜山まで顔を出した。さらに、その向こうには昨日登った下蒜山まで!
ガスがとれ、まわりの山々が実によく見えた。空も青い。山々の名画劇場だ。山に見とれ、写真をとった。
しかし、やはり20分くらいたつと、雪がはらはらと落ちてきた。中蒜山が見えなくなった。青空がどんどん少なくなっていく。そして、ついにはもとの雪の世界に戻っていった。わずか20分のショーであった。
でも、充分満喫できた。
思い残すことなく、山を下りることができた。
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蒜山高原から
蒜山三山を見る |
再び蒜山高原に下りる。下りると、今日、3度目の青空が広がった。山の天気は実に変わりやすいというのを実感した。
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蒜山高原の
白樺林 |
蒜山高原を散策する。白樺の林が美しい。ここは観光地で、日曜日とあって観光客も多い。
朝ふった雪が早くも溶け、帰りを心配することもなくなった。
ここで、家族へのみやげを買い、さて帰ろうと思ったとき、山が最後のプレゼントをくれた。
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最後に大山の
勇壮な姿を拝めた |
ある男の人がキャンバスに向かってなにやら絵をかいている。何の絵をかいているのだろうと、その方を見ると・・・ なんと、完全にあきらめていた、雪をかぶった大山の姿がそこにはあった。白く、立派な姿であった。なるほど絵になる風景だ。
今回は、天気に導かれるように山に登り、天気に思わぬ風景のブレゼントをいただいた山旅だった。 |