
ここから出発
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大星山の出発地点は、海のすぐ横だ。きれいな砂浜の横に車を置き、ここから歩き始める。だから、海抜0mからの出発だ。 |
山のふもとには、田舎の風景が広がる。川の水はきれいで、川底には砂がたまっている。そこには数珠玉をつけた草が生えている。昔、この数珠玉をとって女の子たちが首飾りを作っていた。今は、もうめっきり見ることがなくなったが、ここにはその昔なつかしい草が生えている。
川土手には、早くもペンペン草やオオイヌノフグリの花が咲いている。まだ2月の中旬というのに早くもタンポポも咲いていた。ここは、もう春なのだ。こうしたなつかしさを感じる田舎の風景を見ながらゆっくり歩くのは、山登りならではのぜいたくである。
やがて段々畑の間の道に入る。田んぼには、牛のフンがまかれたり、枯れ草が焼かれたりして、米づくりの準備がされている。
途中の段々畑には、牛が2頭いた。まわりを鉄線で囲まれ、その中で草を食べている。
こんなところまで、昔のままだ。半世紀前の日本の風景がいたる所に残っている。
やがて段々畑に別れを告げて、山の中に入っていく。すると、林道を整備しているようで、山のいろいろなところが削られ、セメントで固められていた。車で上れるようになってはいるが、まだ地面の舗装まではしていない。せめて舗装はしてくれるなと、願いながら登った。
海から1時間歩くと、大きな車道に出た。
車道に出て右に曲がると、大星山はすぐ近くだ。
また右に折れて、やがて山頂に着く。
山頂からの眺めは抜群だ。
まずは、東の方を眺める。大島方面の眺めがいい。丸太のベンチが設置してあって、ここでお弁当を食べるのもいい。
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大星山から東側を見る |
反対側に出ると、さらにすばらしい眺めを見ることができた。太陽の光がキラキラと海に反射してまぶしい。その中に島々が浮かび上がる。180度の大展望だ。瀬戸の島々がたっぷりと堪能できる。草の上に座り、ここでお弁当にする。
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西側の海はきらきら光ってまぶしい
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おむすびをほおばっていると、突然すぐ後ろで大きな叫び声が聞こえた。びっくりして振り返ると、車で上がってきたカップルの女の人の方が、とてつもなく大な声で「おおーーーい」と叫んだのだった。
ここまでは車でも上がれる。この人たちは、車でやってきたのだった。びっくりして振り返った私と目が合った。その人は、「失礼します」といって、またしても、とてつもなく大きな声で「おおーーーい」と叫んだ。高いところに上がってきたので、思わず大きな声を出したくなったようだ。「すっごい、きれいね!」と、感動しているようだった。それにしても、人目をはばからぬ所行に驚く。どうも、男性よりも女性の方が思い切って自分のしたいことができるようだ。
しかし1分後、振り返ってみると、その2人はもうそこにはいなかった。やはり、車で上がってこの風景を眺めるのと、下から自分の足で上がってきてこの風景を眺めるのでは、感動の大きさが違うのだと思った。車で上がると、いくらすばらしい風景でも、1分で「もういいや」となってしまうのかもしれない。
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西側の島々を眺める |
誰もいなくなった草の上で、私はお弁当の続きをゆっくりと食べた。
食べていると、太陽が雲に隠れた。そして、風が強くなった。これは寒い。あわててのこりのおかずを口にほりこむと、リュックを背負ってあたりを歩いた。まだ2月だ。やはり、冬なのだ。
三角点付近には、展望台があって、360度の眺めを楽しむことができる。しかし、ここはさらに寒い。強い風がびゅんびゅん吹き付けてくる。これはたまらんと、早々に下りる。
大星山のとなりに、神武天皇が立ち寄られたという箕山(みやま)という山があるという。展望台から北へまっすぐ箕山へむかう遊歩道が延びている。10分ほどで箕山に着く。ちょっとした公園になっている。山頂には、小さなほこらがあった。昔は神舞や出店もあり、にぎわったそうだが、今は来る人もなくひっそりとしていた。 |