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そもそも福井県は日本の偏狭で、この県の山べたは一部を除いて、なるほど、と思う寂しい場所。でも、この山は、そこまでのプロセスも含めて、「ここは現代の福井県なのか」と思うほど、感覚に正常値を失わせる場所でした。時間が止まっているような、遠い未来に発見された20世紀の遺物(空間)のような…。
それにしても、平家の落人はすごい場所を見つけるものだ、と感心します。この山は、人里はもちろん、近く(車でも遠い山奥)まで来ても、一定(1000メートル?)以上の山に登らなければ目にすることが出来ないのです。秘境という秘境が観光地化された現代において、貴重な場所だと、知る者は思うでしょう。
登山道を進んでいくと、途中からいくつかの鉄塔が見え、これらの巡視路に合流します。この巡視路が物寂しい。異様に。
平家岳自体は、このような雰囲気に包まれて、不思議に満たされるものがあります。…「ここまで逃れてきた」と、思わずにいられない、何かの(とり憑かれたような)思いに満たされます。…この不思議な感覚は、他のどんな名山でも得られない一級のものです。
