内容証明ってな〜に?

内容証明って何ですか?

それは、ずばり字のごとく内容の証明です。

例えば、「結婚してください」という内容を書いたラブレターを恋人に送ったとしましょう。ところが恋人が、「そんな手紙はもらってない」とか、「手紙はもらったけど、『結婚してください』なんて書いてなかった」と言い出したらどうしますか?

がっかりですよね。「手紙を送った!」「いや、もらってない!」、「結婚してくださいって書いた!」「いや、そんなこと書いてない!」の押し問答になります。

これが恋人どうしの痴話喧嘩なら、意外とじゃれあってるだけかもしれません。

しかし、「金を貸した」「いや、借りてない」、「金を払った」「いや、もらってない」となったら痴話喧嘩じゃ済みませんよね。

こういう場合、どうしますか?

普通は、そうならないように証拠を残しますよね。借用書とか領収書といった契約書を作るはずです。口約束ほど怖いものはありませんからね。

それじゃあ、手紙だったらどうやって証拠を残しますか?

手紙も口約束じゃなくてちゃんとした書面ですよね。でも、さっきの恋人の喧嘩じゃあないですけど、「そんな手紙はもらってない」とか、「その手紙には、そんなことは書いてなかった」と言われたらおしまいですよね。

そこで、「そんな手紙はもらってない」とか、「その手紙には、そんなことは書いてなかった」なんて言わせないために、手紙に証拠力をつける方法があるんです。手紙の内容を証明してくれるもの、そう、手紙で証拠を残す方法、それが、内容証明(内容証明郵便)なんです。

それじゃあ、誰が証明してくれるの? どうやって証明するの?

それは、郵便局が証明してくれるんです。つまり、郵便局が手紙の証人になってくれるんです。

郵便法63条によれば、「内容証明の取扱においては、郵政事業庁において、当該郵便物の内容たる文書の内容を証明する。」となっています。これは、法律によってちゃんと規定されているのです。

発送しようとする手紙とそのコピー2部を持って郵便局へ行き、内容証明の依頼をすれば、手紙のコピーの一部に、「この郵便物は○年○月○日第××号書留内容証明郵便物として差し出したことを証明します。○×郵便局長」という印鑑を押して返してくれます。そして、コピーのもう一部が郵便局に保管されるのです。

内容証明(内容証明郵便)とは、郵便局が手紙の内容を公的に証明してくれるものなのです。

これでもう、「『結婚してください』なんて書いてなかった」という恋人をぎゃふんと言わせることができますね。(なんのこっちゃ?(笑))

 

なるほどね〜、内容証明ってすごいんですね。「100万円返せ」って手紙を郵便局に持って行けば証明してくれるんですね? 郵便局長が100万円の証人になってくれるのか〜。こりゃあ、すごいや!

ちがう、ちがう!!(汗) 郵便局は、100万円の貸金の証人になんかなってくれませんよ。郵便局は、「手紙に『100万円返せ』と書いてありました」ということを証明してくれるだけなんです。内容証明郵便における内容の証明とは、手紙にどんなことが書いてあったのかということを証明してくれるという意味です。

な〜んだ、そうだったのか。ところで、「そんな手紙はもらってない」って言われたらどうするの? 内容証明って、手紙の中身を証明してくれるだけなんでしょう?

これについては、

配達証明ってやつがあるんです。

 

配達証明ってな〜に?

配達証明って何ですか?

それは、ずばり字のごとく配達の証明です。

内容証明ってな〜に?で、郵便局が手紙の内容を証明してくれることを説明しました。しかし、手紙をもらった相手が、「そんな手紙はもらってない」と言ったらどうしますか? 

確かに、内容証明郵便を出せば、「○年○月○日、こういう内容の手紙を出した」ということを郵便局が証明してくれます。しかし、相手が、「そんな手紙はもらってない」と言ったらおしまいなんです。「そんな手紙はもらってない」と言われたら内容証明郵便でも証明できないんです。

そこで、相手が手紙をもらったことを証明する方法として、配達証明(配達証明郵便)というものがあるんです。

郵便法62条によれば、「配達証明の取扱においては、郵政事業庁において、当該郵便物を配達し、又は交付した事実を証明する。」となっています。

ちょっと待って! 内容証明郵便って書留でしょう? 書留なら相手が手紙を受け取る時に印鑑を押すから、手紙を受け取った証拠になるじゃん?

確かにそのとおりです。郵便法58条においても、「書留の取扱においては、郵政事業庁において、当該郵便物の引受から配達に至るまでの記録をし、云々」となっています。内容証明郵便は、必ず書留ですので記録は残ります。でも、あなたが手紙を出した場合に、いつ相手のところに配達されたのか、あなたにわかりますか? わからないんです。あなたの手元には、配達されたことを証明する証拠(証明書)がないんです。

特に、相手に手紙が配達された日付というのが重要となる場合があります。例えば、○月10日必着となっている場合に、「そんな手紙はもらってない」とか、「確かに手紙はもらいました。しかし、○月11日に配達されたので無効です」なんて言われたら困ってしまいます。

民法でも「意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力を生じる」という到達主義を原則(発信主義の例外もあり)としています。それぐらい手紙が配達されたことの証明は重要なのです。

配達証明は、相手に何月何日に配達したのかを、手紙の差出人に証明してくれるものなのです。

配達証明の手続きは、郵便局に行って、「配達証明にしてください」と言えばそれでOKです。

(参考)配達証明は、一般書留の場合にのみ付けることができます。手紙の発送時に配達証明の依頼をすれば、必ず一般書留になります。(なお、内容証明郵便も必ず一般書留となりますので、内容証明郵便に配達証明を付ける場合も、特に問題はありません。)また、配達証明は、手紙の発送時に依頼しなくても、手紙を差出した後でも依頼することができます。ただし、その場合は、一般書留として出した手紙でなければ配達証明書を発行してもらうことはできません。(簡易書留・配達記録郵便は不可)

手紙の発送時に依頼する場合……配達証明料 300円 +書留料

手紙の発送後に依頼する場合……配達証明料 420円,ただし、この場合の配達証明の請求は、一般書留(書留料必要)として出した手紙であり、その発送の際にもらった書留郵便物受領証を提示すること。また、手紙の発送後1年以内でなければならない。

 

内容証明と配達証明のまとめ

内容証明郵便

が証明してくれるもの

・手紙を出したこと

・手紙を出した日付

・手紙の内容


配達証明郵便

が証明してくれるもの

・相手が手紙を受け取ったこと

・手紙を受け取った日付


内容証明と配達証明は、いずれも証拠を残すということが目的ですが、それぞれ役割が違うんですね。ですから、内容証明をしないで、配達証明だけを利用するという場合もあります。内容証明には、

内容証明郵便の作り方で説明しているように、同文の手紙を3通作成するなどの、一定の決まりがあります。ですから、はがきや小包、写真などは、内容証明郵便として受け付けてもらえません。この場合には、配達証明だけにするということもあり得ます。しかし、証拠力としては完璧ではありません。文書の場合には、証拠力を完璧なものにするために、やはり、内容証明を利用すべきです。内容証明と配達証明の両方を利用することが望ましいと言えます。

ところで、配達証明は、一般書留(内容証明郵便を含む)なら手紙の差出し後でも依頼できると説明しましたが(

配達証明ってな〜に?を参照)、差出しのときに依頼するのが普通です。差出しのときに依頼した方が、料金が安いし、忘れることもなく確実です。また、内容証明の効果 2で説明している心理的圧迫という効果を狙うのなら、配達証明を示すスタンプが、封筒やはがきの表面に押されるという点で、差出しのときに依頼した方が良いでしょう。

 

(注意)内容証明郵便を発送する時は、内容証明郵便だけで満足してはいけません。必ず、配達証明を付けてください。郵便局で内容証明郵便の発送を依頼しただけでは配達証明は付きません。配達証明は自ら申し出てください。(なお、配達証明の依頼をせずに発送した場合でも、1年以内なら配達証明をしてもらうことができます。(この場合は、書留郵便物受領証の保管が必要))

 

内容証明・配達証明のことがわかりましたか?

ところで、ラブレターを内容証明郵便で送る人はいないと思いますが、クーリングオフや貸金の請求、慰謝料の請求などを内容証明郵便でするのをよく耳にします。内容証明郵便を送れば何か法的な効果が発生するのでしょうか?

 

内容証明の効果

内容証明ってな〜に?で、郵便局が手紙の内容を証明してくれることを説明しました。内容証明郵便が、「@手紙を出したこと A手紙を出した日付 B手紙の内容」を証明してくれることは、わかっていただけたと思います。

しかし、皆さんの中には、まだ何か釈然としない思いをしている人もいるかもしれません。巷では、内容証明と言えば、クーリングオフをする時に使ったり、貸し金の請求や損害賠償の請求などに使われている話を良く聞きます。

そこで、内容証明を送れば、強制力のような何か法的な効果が生じるのではないかと思われるかもしれません。

貸した金をなかなか返してくれない人に内容証明を送って、法的な力で相手を拘束し、金を返さないと逮捕されるとか、裁判所に呼び出されるとか、財産に強制執行がかけられるとかすれば魅力的かもしれません。

しかし、そんな効果はないんです。

逆に考えてみてください。あなたが手紙を書いて郵便局に持って行っただけで、そのような効果が与えられるとしたら、それこそ怖いことです。

内容証明とは、郵便局が手紙の内容を証明してくれるだけなんです。言いかえれば、手紙を受け取った相手が「そんな手紙はもらってない」などという言い逃れができなくなるということだけが、その効果なのです。内容証明は、手紙を送った証拠を残したい場合に利用されるのです。

 

え、そうだったの?それじゃあ、内容証明なんて送ったってしょうがないじゃん。

「いえいえ、しょうがなら八百屋にあります」なんて、おやじギャグ言ってる場合じゃないんですが、そんな早合点しないでください。内容証明を送る価値は十分にあるんです。だからこそ、クーリングオフにも貸し金の請求にも使われるんです。

 

内容証明の効果 2

内容証明の効果は、郵便局が手紙の証明をしてくれるだけだと言いましたが、様々な場面で内容証明郵便が使われています。それは、本来の効果はもちろん副次的な効果もあるからです。それでは、どうして内容証明郵便が使われるのか、その理由である色々な効果を見てみましょう。

 

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証拠力を得るという効果(郵便局が手紙の証明をしてくれるという本来の効果)

※ 契約の解除・取消し、クーリングオフ、債権の放棄、時効の中断 などの場合

例えば、法律上当然に契約を解除できる場合というのがあります。契約を解除するには、相手方に解除の意思表示をすればよいのですが、口頭や普通郵便で契約解除の通知をしても証拠が残りません。こちらは解除したつもりでも、相手が「そんな通知は受け取っていない。契約は解除されていない。料金を支払え」と言ってきたら困ります。そこで、

証拠を残すために、内容証明郵便が使われるのです。

内容証明には、「そんな手紙(通知)は受け取っていない」などという言い逃れができなくなるという効果があります。