八ヶ岳(赤岳)

『日本百名山』深田久弥著より

八ヶ岳最高峰は赤岳、盟主にふさわしく毅然とした見事な円錐峰である。ある年の11月の初めの夕方、赤岩(赤岳の北西、2680mの岩峰)の上から、針葉樹に埋もれた柳川の谷を距てて、この主峰を眺めたことがあるが、降ったばかりの新雪が斜陽に赤く、まるで燃えているように染まって、その厳かな美しさといったらなかった。

八ヶ岳連峰(奥右が赤岳)


選考理由

八ヶ岳はアプローチが割合便利で、三度登りました。
ある年の大晦日から元旦にかけての山行の時でした。冬だから朝はそれほど早くはありません。7時少し前であったろうか、山小屋から起き出て、ほんの1〜2分も歩けば赤岳の山頂です。年の初めのご来光を拝もうと、寒風を避けながら岩陰で身を潜めていた、日の出20〜30分前のことです。その光景は誠に筆舌に尽くしがたいものでした。薄紫、濃紫の淡いヴェールをかぶった白銀の世界が眼下に広がっていたのです。それは黎明の中に浮かぶ八ヶ岳の峰々や南アルプスの山々、そして富士山だったのです。

富士遥か

広大な裾野を持つ八ヶ岳

先頭ページへ     拡大図