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『日本百名山』深田久弥著より。 わが国第二の高峰でありながら、あまり人に知られないのは、ひとつにはこの山が謙虚だからである。どうだ俺は、といったような抜きん出て人の目を惹こうとするとことがない。奇矯な形態でその存在を誇ろうともしない。それでいて高い気品を備えている。いつも前山の後ろにつつましく、しかし凛とした気概を持って立っている。富士山の大通俗に対して、こちらは哲人的でさへある。 |
| お花畑と北岳バットレス | |
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初めて間近に北岳を目にしたのは、甲斐駒ヶ岳への登頂の時であった。これも突然であった。息を切らせて甲斐駒の肩まで登ってくると不意に目の前が開けたのである。天に向かってグイッと反りかえったような頂きを目にした時、それが誰なのか、一瞬わからなかったのである。そして少し間をおいて、ようやく北岳だと理解できたのである。彼とはそんな出会いであったのだが、その山頂に立つようになったのは、それから何年か後になるのであった。 |
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| 雪の北岳〜左に甲斐駒を従えて | |
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