戻りヤマメについて理解を深めるために、ここではヤマメと通常のサクラマスについて復習します。はじめに、参考にした本とサイトを紹介します。また、
参考にした資料です。
中央水産研究所のホームページによると、ヤマメの正式な名称はヤマメ系サクラマスで、次の3つに分類されます。
つまり、普段私たちがヤマメと呼んでいる魚は、正式には「ヤマメ系サクラマス、河川残留型」、サクラマスは「ヤマメ系サクラマス、降海型」です。また「湖沼型」は、湖やダム湖に分布するサクラマスです。
そのほかに、ヤマメ系ではないサクラマスには、アマゴ系サクラマス、ビワマス、タイワンマス(台湾にしかいない)の3種類がいます。アマゴ系サクラマスの降海型はサツキマスのことです。
これら4種類は極めて近い種類です。なお、このホームページでは従来どおり、川にいるものをヤマメ、海に降ったものをサクラマスと呼ぶことにします。湖沼型はこのホームページの話題と直接関係無いですので触れないことにします。
下に私の釣った魚の写真を示します。ヤマメ(オス27cm、写真1)はミノーイングの釣果です。サクラマス(メス57cm、写真2)はルアーフィッシングの釣果です。アマゴは昭和60年頃、香川県在住時、徳島県吉野川水系穴吹川弓道沢で釣ったものです。写真をクリックして拡大するとわかりますが、体側に朱色の点が散りばめられており、それが特徴です。朱点を損なわないため拡大写真は重いです。
![]() 写真1 ヤマメ |
![]() 写真2 サクラマス |
![]() 写真3 アマゴ |
サクラマスは、北海道、東北地方、本州日本海側に分布します。現在は九州にはいないようです。
本州北部日本海側では、川で釣れるヤマメはほとんどすべてがオスです。メスの全部とオスの一部が降海してサクラマスになります。したがって、ダムや堰堤で川が遮断されると、その上流のヤマメはオスばかりになり全滅します。まれに、メスのいる時期に流れが遮断されれば定着しますが、本当にまれです。あちこち、ダムや堰堤の上流で釣れるヤマメはいわゆる放流物です。
関東のような温暖な地方では、オスもメスも一生川で過ごし、サクラマスにはなりません。逆に、北の地方では、降海するオスの割合が増加します。
秋に、渓流でオスのヤマメとメスのサクラマスがペアとなって産卵します。受精卵は、冬の間に孵化して当歳魚となり1年間川で過ごします。2歳魚となったヤマメのうち、メスとオスの一部は銀毛化し、翌年の春降海します。銀毛化とは、からだが銀白色となり、パーマークが不明瞭になることです。ウロコは剥がれやすくなり、背鰭は黒くなります。海水生活の準備段階で、サイズは10数pです。銀毛ヤマメは春先の水温が低いうちから淵でさかんに摂餌します。
銀毛ヤマメは3〜4月に降海します。降海後、オホーツク海方面を回遊しながら動物性のエサを取り、急速に成長します。3歳魚となった翌年の3月から6月頃、川を上ります。サイズは50〜60pです。川に入ったサクラマスは、秋までエサを取らずに過ごします。そして、秋の産卵期を迎えます。
サケやカラフトマスと異なりサクラマスは原始的といわれています。そのため生態に多様性があります。極端な話ですが、サケやカラフトマスにはサクラマスのような河川残留型も湖沼型もいません。
その生態の多様性の延長上に、戻りヤマメ、小さなサクラマスで紹介したように短期降海型サクラマスがいます。通常のサクラマスは50〜60cmの大きさになりますが、短期降海型のサクラマスは30〜40cmの大きさです。これが戻りヤマメに相当するのでしょう。本当にサクラマスは興味深い魚です。