あいのコラム
ヨーロッパ
沈没宿
「沈没する」 というのは旅行者用語で「一箇所に2週間や1ヶ月、それ以上留まってしまうこと。そして宿からほとんど出ない生活をすること」である。長期旅行者にはどこかで沈没してしまったことのある人がたくさんいる。いや、ほとんどの人は沈没したことがある、といえるかもしれない。それはその場所が好きだったということもあるけど、宿がほとんどの要因を占める。旅行をしていると実にいごこちのいい宿に巡りあうのだ。
その条件は、まず「安いこと」、「食事がおいしいこと、あるいはキッチンがあって自炊できること」、「日本語の本がふんだんにあること。マンガがあるとなお良い」といったところだろうか。こういう宿の宿泊者は、ほとんど日本人だけだから言葉も日本語オンリーで楽なのだ。外国にいるのに、宿に一歩入ればそこは日本と同じ。
それから忘れてはならないのが「情報ノートが充実していること」。情報ノートとは、日本人が集まる宿にあることが多い。旅行者が自分の持っている有益と思える情報をノートに書き残していくのだ。旅行者は生の情報に飢えている。ガイドブックに載ってなかったり情報が古くて使い物にならないことは結構多い。そういうときは、情報ノートに頼ることになる。それは例えば、ビザの取り方(ビザの状況は刻々と変わるので最新情報はありがたい)や、国境の越えかた(バス・タクシーの料金など)、各地の安宿情報、強盗に遭った話といったものから、安くておいしいレストラン、アイスクリームのおいしい店、キッコーマン醤油を売っている店といったものまで。情報は玉石混合なのだが、私たちも何度この情報ノートに助けられたことか。インドあたりの情報ノートは感想ノートといった感じで情報があまりなかったが、その他の地域は結構充実していた。西洋人も時には書いているが、圧倒的に日本人が多く、最近は韓国人の書き込みも目立つ。
沈没宿は南米では日本人によって経営されている日本人宿。アジアではフンザにある3軒、イスタンブールにある2軒。他にもあると思うが。たいがいの宿では自炊ができて、だんだん生活が夕食を中心に回りだす。シェア飯といって数人で夕食をシェアすることをよくする。これをしだすと沈没の第一歩かもしれない。メニューを考えて、買出しをして、みんなで夕食を作り、夜遅くまでお酒を飲みながら話をしたり麻雀をしたり。そうすると翌日は朝寝坊し、本でも読んでいたらあっという間に夕方になっていて、また夕食の準備・・・・こういう日々を過ごしていると1週間なんてほんとにあっという間。気付いたら2週間、1ヶ月なんてことはざらである。
今回私たちはイスタンブールのコンヤペンションで沈没しかかった。かろうじて1週間で出る決意をして(仲良くなった人たちもこの頃にばたばたと出発していったのもある)アテネに出発した。竜宮城に行った浦島太郎の気持ちがすごくよくわかった。楽しい日々はあっという間に過ぎる。でも後から考えてみると怠惰な日々だったかも。旅を再開すると、やっぱり旅して移動して毎日違う街を訪れるのは楽しいことを思い出す。充実感があるよな、と思う。もっといろんな国へ行って、いろんな人に会いたいなと思う。
でもそういうのをずっと続けていると、また沈没したいなあ・・・と思うのだ。旅はその繰り返しなのだ。
(2002/11/27)
続・自炊生活
まず小さな鍋を買った。そしてカートリッジタイプの携帯コンロ、ついにはテフロンのフライパンを買ってしまった。
ヨーロッパに来て西に行くに従い、どんどん高くなる物価にたまりかね、自炊を始めることにしたのだ。始めるには決意がいる。鍋、コンロなどが荷物として増える上に、油・醤油・調味料などの食料品も持ち歩かなければならないからだ。普通の人はキッチンつきの宿に泊まったときだけ自炊をするから、鍋ましてやコンロなんて持ち歩く必要はない。
でも、私たちはキッチンのある無しにかかわらず、自炊できる態勢を整えた。キッチンがある場合はそれを使わせてもらい、無い場合は部屋でこっそり自炊をするのだ。コンロは安全なものだから大丈夫だが、問題は料理をしたときのにおい。窓を開けて換気に気をつけなくちゃ。
ギリシャからは、毎日自炊していた。自炊すると、市場やスーパーマーケットに行って食材を買うので、その国の物価や台所感覚がよくわかるので楽しい。旧ユーゴスラビア諸国では食料品が高くて驚いた。まるで日本並みかそれより高いものもある。現地の人の給料に対して食料品は高すぎるとのこと。みんなどうやってやりくりしているのだろうか。1つ国境を越えて西に行に従って物価が高くなっていく。これが、イタリア・フランスを頂点にしてスペインは少し安くなった。スペインではちょっと気が緩んでBARに通い詰めてしまった。ビールを1杯とタパスという小皿料理を頼む。これがまたおいしい。
ま、それはおいといて、コンロ1個だと、たいしたものは作れないと以前の私は思っていたが、今回の自炊でちょっと考えが変わった。とは言ってもご飯と一品料理になってしまうけど。まず鍋でご飯を炊く。蒸らしている間に、フライパンで親子丼や野菜炒め、スープなどをつくる。海に近ければ魚のムニエルなんかつくってみたりして。自分の好みの味付けができるからおいしいし、たいしたもんじゃないけど料理の腕もキープできるし、安上がりだし、一石三鳥だ。炊飯器でしかご飯を炊いたこと無かったけど、鍋でご飯を炊くのも完璧になった。ダンナにしてみれば嫌いなにんじんを食べなくていいというのも、それに、食事作りは全部私に任せて、自分はその間に日記を書ける、というのもいいのかもね。
![]() 自炊道具一式。ガスカートリッジがかさばる。 |
<今持ってる自炊道具>
・ガスストーブ(カートリッジは穴あけ式。ヨーロッパならどこでも売ってる)
・アルミ鍋(ご飯2合炊ける大きさ)
・テフロンフライパン
・電熱コイル
・プラスチックのお皿(俎板にもなる)
・コップ2個
・スプーン・フォーク・箸(2セットずつ)
・アーミーナイフ
・ガスカートリッジ予備6個
(2002/12/23)