あいのコラム
南部・東アフリカ
アイアイの島(マダガスカル)
楽しい古着市
ジャパニーズ・カラテ
アイアイの島
全国の愛ちゃんにとって「アイアイ」の歌はいやな思い出なんじゃないだろうか。
私にとっても嫌いな歌だった。だって「おさーるさんだよ」なんてひどい。そしてクラスに必ずいるいたずら好きの男の子にからかわれたりするのだ。小学校1年か2年の音楽の教科書にこの歌を見つけたときは、毎時間「この歌をやりませんように」と祈っていたものだった。幸い授業でこの歌を習う事はなかったけど。
何かの折に聞いた話だが、この歌の作詞者は「アイアイ」がどんな猿かを知らないまま、名前だけのイメージで作ったそうだ。そりゃそうだ、この猿の姿を見たらあんなのんきな歌は作れないだろうと思う。ほんとにかわいくないのだ。どっちかというと恐いとか不気味とかいう表現がぴったり。
それでも、幼い頃の雪辱戦としてどうしてもアイアイを見てみたかった。
そんな訳で、マダガスカル行きのチケットは高かったのだが思い切って行くことにした。そうしたらなんと嬉しいことに友人の柳田夫妻と3週間も日程が重なって一緒に旅をすることになった。彼らは一週間先にマダガスカル入りしていて、もうどこかに行ったと思っていたらなんと首都のアンタナナリボ(通称タナ)にずっといたのだそうだ。最初はなんで?と思ったがすぐに納得。だって、ご飯、その辺の屋台で売ってるスナック、何でもかんでも安くて旨いのだ。しっかりと沈没の条件の整った場所だったのだ。なにしろ、朝は屋台のスープ・シノワ(中国のスープという意味。そう、ラーメンです)。だしは鶏がらで生姜風味、ゆで卵とキクラゲと錦糸玉子と刻みネギが乗っている。これに近くの屋台からかき揚げを買ってきてのっけて食べる。汁は全部飲み干してしまうほどおいしい。あるいはお粥。刻んだ青菜が浮いていてとってもお腹にやさしい。スナックはミニ春巻き、ミニコロッケ、かき揚げ、揚げ小魚、ドーナツ、ヨーグルト・・・と選り取りみどり。どれも1つ5〜10円也、しかもおいしい。夜は焼き鳥やら中華料理店でワンタンメンを食べたり。西アフリカのぶっかけ飯や南アフリカのハンバーガー、チップスにうんざりしていた私達、そしてケニアのチップスにうんざりしていた柳田夫妻には天国のような環境だ。
マダガスカル人は1000〜2000年前にインドネシアの辺りから来た人々が祖先なのだそうだ。つまりアジア系。だから味もアジア系なのだ。ここもフランスの植民地だった所だが、西アフリカとはまったくレベルの違う食文化が育っている。やっぱりアジア系の人々の味覚というのは世界一なんじゃないだろうか。これは私達がアジア系だから馴染みの味を好むというだけの理由だけではないと思う。マダガスカルの西側沿岸部に行くと黒人系の人たちの割合がぐっと増え、食べ物の味はぐっと下がった。
さて、アイアイに話を戻す。アイアイは原猿(レミュー)の一種で、マダガスカルが太古の昔にアフリカ大陸から分離した後、独自の進化を遂げた猿である。マダガスカルにはレミューが何種類もいてみんな愛嬌のある姿なのだが、なぜかアイアイ「だけ」がかわいくない。なんでだ。私達4人はレミューを求めて国立公園を3ヶ所訪ねた。どこでも何種類かのレミューを見ることができたがアイアイだけは駄目だった。なぜならアイアイはとても稀少な上、夜行性なのだ。一度だけアイアイが木をほじった穴を見て、博物館で骨の標本を見ただけ。こうなったら動物園で見るしかない、ということでタナに戻ってきて動物園に行ってみた。しかし、入園料が高い上にアイアイの特別鑑賞料が必要で、これまた高くて、しかも夕方6時以降しか見れないという。うーん、なんて難しい奴なんだ。結局アイアイを見ることは諦めた。
マダガスカルに行く最大の目標は果たせなかったが、かわいい野生のレミューをたくさん見たり、バオバブ並木を見たり、柳田夫妻と4人旅を楽しんだり、美味しいものを食べたり、ほんとうに楽しい3週間だった。アイアイの島は私にとって特別な島になった。
![]() これがアイアイです。 |
(2003/5/7)
楽しい古着市
アフリカの市場には、必ずといっていいほどあるのが古着屋。服がたくさんぶらさがっている店があれば、それはたいてい古着屋さんだ。たぶん先進国からやってきたのだろう、シャツ、ジャケット、Tシャツ、スカート、ズボン、靴下、そして時にはブラジャー、靴まであらゆるものがある。どうしてこんなにいいものを捨てるのだろう、と不思議に思うほど、商品には良いものがある。でも考えてみれば、私はそんなに服を買う方ではないけれども、それでも箪笥の肥やしになっているものがどれだけあるか。ちょっとでもしみがついてしまったら日本ではもう恥しくて着れない。そういう服達がどういうルートを通ってくるのか知らないが、最後に行き着くのがアフリカの地なのだろう。
古着市には探せばいいものがたくさんありそうな予感がする。そう、掘り出し物。山積みの服の中から目当ての服を探すのはわくわくする。
今まで旅した中で大規模だったのは、ガーナのクマシのマーケット、ウガンダのカンパラのオウィノマーケット(ここは良いものがたくさんあった)、ケニアでもいたるところで見かけた。まだまだたくさんあると思うが、全てをチェックしていないのであしからず。古着は20kg位の包みで届くようである。その中身は玉石混合。それを仕分けしてそれぞれの店が自分の欲しい商品を買い取って行く。例えば、スカーフやバンダナだけ、とか、フリース、ワンピース、マタニティウエア、女性用ズボン、ジーンズ、ワイシャツ・・・と古着屋にもいろんなジャンルがあるものである。
値段はいたって安い。ガーナで買った綿の長袖シャツは1枚60円ぐらい。ウガンダで買った長ズボンはほとんど新品が200円、ケニアで買った長袖シャツは40円、ケニアで売ってたフリースは500円ぐらい、といった感じだ。こんなにいい古着が手に入るのだから現地の人もあんまり新品を買わないんじゃないかと思う。こうやって先進国の人々が浪費した資源を、アフリカの人々が使ってくれているのだ(私達旅行者も大いにお世話になっています)。
![]() 古着市はこんな感じ。 |
(2003/7/10)
ジャパニーズ・カラテ
黒人の体は美しい。筋肉質で、黒光りしてつやつやしている。私達にはまったく見分けがつかないが、彼らにも地域によって特徴があるらしく、「あ、彼は西アフリカの人間だ」とか「あれは、ナイジェリア人だね」とか、一瞬にして判断していた。そういわれれば、西アフリカの人は、足がどこまでも長く、信じられない高い位置に腰があってびっくりした。しかもみんなすらっと細身で、切れ長の目の人が多く、綺麗な人が多いなあ〜と感心したものだ。物を運ぶ時は頭に乗せるから、姿勢もとてもいい。
さて、身体能力が高いということが影響しているのかどうか分からないが、アフリカの人々はとても格闘技が好きなようである。たまにいいバスに当たるとビデオ放映があるのだが、ほとんどB級アクション映画。香港のものが多い。テレビもしかり。そんなのを見慣れているせいか、東洋人はみんなカラテやらカンフーの心得があると勘違いしている人も多いらしい。
ダンナに向かって「カラテはやるか?」と何回聞かれたことか。そのたびに「カラテはやらないけど、柔道はやる。柔道って知ってる?」というと、たいてい「知らない」という返事(オリンピック競技なのに知名度が低い)。「こうやるんだよ」と言って、いきなり相手の襟首をつかむと、体格のいいお兄ちゃんが、急に真顔になって怯えていた。反対にこちらが驚いてしまったくらいだ。映画みたいにガツンといきなりやられると思ったのかもしれない。でもダンナなんて、痩せてガリガリだし、高校の体育の授業でやっただけなのでよわっちい。お兄ちゃんとの体格の違いは歴然、本気を出されたら、いちころだ。
ケニアのナイロビの日本人がよく行く宿で、スタッフの人とその近辺の治安について話していた時だ。欧米人がホテルの前で扉が開くのを待っている間に襲われたことがある、なんていう噂を聞くぐらいそこは治安が悪くて有名だった。でも大統領が替わってから大分改善されたようだったが。「日本人は大丈夫だよ。みんな、カラテをやっていると思っているから、襲わないんだ」と彼は言った。話半分に聞くとしても、あの兄ちゃんの怯えようを見たら、少しだけ納得できた。カラテやカンフーの真似をしたら、一瞬にしろ怯むに違いない。
アフリカでは、香港のアクション映画をたくさん流して、強い東洋人(彼らにはどうせ日本人や中国人の区別はつかないし)のイメージを定着させたら、強盗の被害は減るかなあ・・・なんて考えてしまった。
(2004/2/20)