移民の国ブラジル

ブラジルにやって来て驚いたことが一つある。
それは日本人のブラジルに占める社会的地位が非常に高く尊敬されていることである。
僕たち東洋人を見ると、たいていの国は「チーノ(中国人)か?」から会話が始まるのだが。ブラジルは「ジャポネス(日本人)だろ」と声が掛かる。
道を歩いているとすれ違いさまに、「こんにちは、さようなら」と大声を掛けられることも多かった。
僕たちが驚いて振り返るとにっこと笑って親指を立てる挨拶を送ってくれる。

これも一重にブラジルに移民された日系人の方々が苦労をして掴み取った結果なのだろう。
そして、日本人である僕たちは日本人であることのある種「誇り」を持ってこの国を旅することが出来るのも先人達のお陰であると僕は思っている。

日系人の比率はサンパウロを頂点にして北に上がるほど少なくなっていくような気がする。
アマゾン地域にはたくさんの日系人が入植しているそうだが、僕たちはそれらしき人には誰にも会わなかった。
その代わりに北へ行くほど黒人の比率が高くなっていった。
サルバドールを州都に持つバイーア州はブラジルではなくてアフリカを旅しているような錯覚を起こさせるほど黒人が多かった。

僕はブラックアフリカももう一方の移民大国であるアメリカも旅をしたことが無いので何とも言えないが、今日まで旅して来た中南米諸国に住むどの黒人よりも、ここブラジルに住む黒人が一番差別が少なく伸び伸びと暮らしているように僕は見受けられた。
黒人がこの国に連れて来られた歴史的背景から貧民層は圧倒的に黒人に多いのは紛れもない事実であるが、一方そこそこの生活レベルを享受している黒人もブラジルが一番多いのではないかと僕は感じた。

他の国では見ることがほとんど無かった黒人のホワイトカラー(銀行員など)はブラジルでは当たり前だし、黒人と白人が全く一緒の職場で楽しそうに働いているのもブラジルならではと思う。
サルバドールでは黒人がトヨタやGMの立派な車を乗り回しているのを見て驚きすら感じた。

「黒人=貧困=差別されている」という単純な方程式は成り立たないとは思うが、僕は以前ベリーズで黒人の強盗に襲われて以来、黒人に対してある種の恐れ・恐怖感というものを抱くようになっていた。
これが差別と言われれば、僕ははっきり否定できない。
但し、今回ブラジルを旅していて多くの黒人と触れ合う機会に恵まれた。そして、それを通してたくさんの親切を貰うことが出来た。
僕の黒人アレルギーも少しは解消されたかもしれない。

そして、黄色人種にせよ黒人にせよ人種に拘わらずみんなが差別少なく愉快に暮らせるのは、ブラジルの底知れぬ明るさと楽天から生まれた産物なのではないだろうか。

 

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