2004年度 日本魚類学会公開シンポジウム
淡水魚の放流と保全―生物多様性の観点から
2004年6月19日(土)
東京海洋大学 品川キャンパス
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中村さん
栃木県内におけるミヤコタナゴの保護と放流に関しての発表。
現在県内に4箇所の生息地域が確認されており、保護管理が行われている、また水産試験場にて系統保存を行っている。しかしながら、最近の調査でまったく確認されない地域も存在し、復元のための放流も検討されている。
しかしながら、減少した理由が明らかでないのに放流することが果たして正しいのかと言う議論もある。
また一部に関しては遺伝子解析も行われており、生物多様性の観点からのアプローチも可能である。
中村さんは以前よりイワナの調査も行っており、非常に行動的な研究者である。ゾーニングによる生物多様性の維持等にも積極的である。
原田さん
水産と言う立場からの放流を考える。
漁業組合の増殖義務は放流義務と同一視されていることが多く、資源維持や管理方策が不十分なまま放流が行われている場合がある。
今後の流れとしては、産卵床造成や種沢保存などによる増殖も重要となるであろう。
また渓流域におけるゾーニング(源流域は禁漁、上流はC&R,中下流域は放流といった)といった調査検討も必要となる。
森さん
根拠ある放流のためのガイドライン作成の重要性をアピール。
他地域からの持込放流(メダカが有名)による遺伝子かく乱などの可能性。行政や教育現場での不理解による間違った環境保護などを改めていくためにもガイドラインは必要。
第2部
パネルディスカッション
小澤祥司さん
NPOや地域との連帯により、環境教育を充実させて、安易な放流等で自然は豊かにならないことを理解してもらう。
小林光さん
法整備による自然環境保護の必要性。
レッドデータブックに掲載されている淡水魚76種のうち、種の保存法で保護の対象になっているのは4種だけ。
行政への働きかけも、淡水魚研究家に必要。
前畑政善さん
水族館等における系統保存の必要性。系統保存された魚種の放流の可能性。
丸山隆さん
希少魚や在来魚のいる現場での取り組みを第一義に、そしてその周りからの支援の重要性。
雑感
今回は希少淡水魚がメインではあったが(逆に言うと、在来渓流魚より危機的な状況)、今後やらなければいけない事は在来渓流魚にもまったく当てはまる事であろう。単に希少種を保存するのであれば、水族館等で系統を保持すればよいだけである。しかし重要な事は今まで、どこにでも居たメダカがレッドデータブックに記載されたり、ミヤコタナゴが生息地で絶滅の危機に瀕していることである。これまでの自然破壊がやがて人間にしっぺ返しとして戻ってくるのは明らかであるのに、相変わらず森林は壊され、渓流は魚道すら無い砂防ダムでズタズタにされている。さらに心無い釣り人によりブラックバスやブルーギルがゲリラ放流され、在来魚が絶滅の危機に瀕している。
本来であれば放流などしないで、自然再生を促すような方策が取られれば、生物の多様性は維持されるのであろう。しかし、すでにそれ以上に悪化してしまった自然がそこにあるのかもしれない。単なる釣り人を楽しませるための放流が必要なのか?釣り人の一人として真剣に考えたい。
当日の抄録集(pdfはこちら)と思ったら容量オーバーなのでご希望の方はメイルください。
