ヨセミテ雪上野営訓練、2001年1月

弐拾七日

よっこー隊員、N村隊員、作者の3名は2001(ふたまるまるひと)年1月27日を期し、ヨセミテ付近の穴熊峠に展開し1泊2日の雪中野営訓練を行うこととなった。

早朝4時30分に桑港の基地を出発したよっこー・作者はバークレイに駐留するN村隊員と合流し、本田技研製九八式普通輸送乗用車「和音」にて580号〜205号〜99号〜140号を利用する通常の輸送経路によりヨセミテへ向かった。

  「和音」の格納庫から装備を取り出す

 マリポサ方面からヨセミテに進出するも、途中雪は全く無く、訓練の実施を危ぶむ声もあったが、ヨセミテ谷まで進出すれば、雪が路面を覆い始める。しかし、大奇岩「大将」に着雪は殆ど無く、あまり夏期と変わらない様相である。 140号から41号に入った時点で滑り止め鎖の着用を求められる。急速に積雪を増す中、「古氷河地点道路」に入り、予定より1時間遅れの10:00(ひとまるまるまる)頃前線基地である穴熊峠に到着する。穴熊峠では駐車場まで真っ白に雪が積もっている。

 穴熊峠スキー場

穴熊峠の民間人用スキー場最下部のヨセミテ登山学校に到着する。雪中野営訓練の参加者は我々3名のみであり、ニールという教官が訓練を指導することとなった。ニール教官の指導により、ストーブ、鍋、行動食、天幕等を分担して野営地点まで輸送することとなった。 よっこー隊員はスノーシュー、N村隊員はステップソール付きのクロスカントリースキー(現地借り上げ)、作者はテレマークスキーで行動することとなる。ニール教官はステップソール付きのライトツーリングタイプのテレマークスキーである。 天気が良くて大変気持ちが良い。

 ニール教官

我々の到着が遅れたこともあり、野営地点はスキー場最下部から伸びている一般人用クロスカントリートラックを1時間程歩行し、ある地点からオフトラックに少し入った小ピーク上となった。 オフトラックに入ると、昨日積もったと思われる新雪のためか、スキーを外すと腰まで埋まってしまう。

 オフトラック

野営地に到着し、設営地点の圧雪を行う。ニール教官は用足し場所への道をスキーにより設置する。その後、いよいよ設営を行おうとしたところ、天幕の支柱を忘れてきたことが発覚した。ううむ、切腹もののミスだと思っていたところ、ニール教官は「まーいいよー」という感じで我々に「メガミッド」なる簡易天幕の設営を命じた。メガミッドは竪穴式住居状の簡易天幕であり、中心に一本の支柱を持ち、その頂点から放射上に布が広がる形で設営する。床がないため軽量である。まず、雪上に設営し、縁部分を雪により覆った後、竪穴を堀り居住空間を広げる。その際、中心の支柱を支える雪を残しておくことが肝要である。

 メガミッドの設営に勤しむよっこー隊員

ニール教官が用意してくれる紅茶やコーヒー、持参したベーグル等を適宜取りつつ、教官の指導の下、雪洞堀りに移る。地形的に傾斜がないため、まず深い縦穴を掘り、その後横に掘り進みドーム上の空間を刳りぬくのである。その際、ビーバーの巣の様に入り口を居室よりも低いところに作ると冷気が入りにくいため、居室が暖かくなる。

 いざ雪洞掘り開始

 雪洞掘りの実際

ニール教官に「お前らビーバーみたいに掘ってるなー」等と変な感心をされつつ2つの雪洞が完成した。N村隊員が作った雪洞は理論通り入り口が低くなっており、かなり暖かさに違いがあるが、若干天井が薄くなり過ぎた観がある。

 一服するN村隊員

17:00(ひとななまるまる)頃からニール教官が用意した夕食(パスタ等)を取るが、急速な冷え込みに早々に各々の寝場所に入った。よっこー隊員は竪穴式住居、N村隊員及び作者は雪洞、ニール教官は覆いの無い単なる竪穴に引っ込むことになった。明るくなるのは7:00頃なので、12時間以上の長い夜を各々の持ち場で過ごすこととなった。

 日暮れ

就寝後、トイレに、一服に起きた隊員達は、それはそれは見事な星空を目にしたとのことである。

 雪洞内部

弐拾八日

朝である。

 サバイバルの朝

結論から言えば、隊員全員が無事に野営を完了したのである。就寝時23度であった気温も明け方には12度まで下がり、ニール教官も今までで「一番寒かった」とこぼしていた程である。N村隊員は寝袋を二重にしたため殆ど寒さを感じなかったようである。皆が起床した後も一人だけ熟睡しており、凍死したのではないかと心配になり、足を突付いたところようやく起きたほどである。よっこー隊員はダウンジャケットを着て寝たが明け方の冷え込みは堪えたとのことであった。作者はアウタージャケット以外の殆どのものを着用したためか、度々目が覚めるも深刻な寒さは感じなかった。単なる竪穴で寝たニール教官はしきりにクシャミをしており、風邪を引いたようである。

朝食をゆっくりとった後、装備を全てパッキングしたザックをデポしたまま、行軍・滑走訓練に出かける。天気は引き続き良好である。訓練中の隊員の士気は大変良好であった。

 行軍訓練模様

12:30頃にデポ地点に戻り、昼食を取る。N村隊員は食欲旺盛で、これでもかというほどベーグルとクリームチーズとサラミソーセージを摂取していた。

昼食後、下山を開始した。途中クライミングスキンを取り外したままの登りにウロコ無しの作者は泣きそうになったものの、トラックまで戻るとあッという間に穴熊峠スキー場最下部の登山学校前まで滑り降りられる。借り上げた各種装備を返却し、訓練は成功裏に終了した。ニール教官と記念写真を撮影した後、スキー場食堂のテラスにて軽食をとりながら反省会を行った。

訓練結果の総括

更新 01/10/27  (了)