From Green Creek to Tuolumne Meadows in 2000

参加者:重、三平、私

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6月30日(4マイル)

 

午前5時重ちゃんのシビックと私のアコードの2台で出発。

1時間ほど走って580の風車が林立しているあたりで、なんと登山靴を忘れたことに気づく。とりあえず笑ってごまかすも、全くトホホな状況である。

退屈なドライブが続く。10時頃トゥオルムニ・メドウズに到着。ベア・キャニスターを借り、シビックを置いて1台になって走る。豪快な景色が続くタイオガ・ロードをひた走り、モノ・レイクの所のハイウェイ395とのT字路に到着。スポーツショップに入るも登山靴はなく、おばさんにマンモスレイクが一番近くだと教えられ、隊員達に謝りながらマンモスレイクへ向かう。途中の道は荒涼たるイースタンシエラ特有の光景である。マンモスレイクの大きなスポーツショップでハイテックの安いトレッキングブーツを買う。ああ、金が勿体無い。サブウェイでサンドウィッチを買い、登山口のあるグリーンクリークロードへと来た道を急ぐ。

途中で未舗装路に入り暫く行くと、砂漠のような光景から、緑の谷に景色が変わる。キャンピングカーやRVを見ながらさらに進むと急に道が細くなり、トレイルヘッドに到着。雪を頂いた山が近くに見えるほど奥へ入って来ている。もう12時過ぎである。みんなスマン。

急いで準備をすませ、出発。すぐにフライフィッシングの道具を持ったひげのオヤジに出会い、釣果を聞けば、昨日1匹釣ったとのこと。

 

木が多く、蚊が多い退屈な登山道を2時間ばかり詰めていく。トップに据えた重ちゃんのペースは結構早く、ついていくのにちょっと必死である。2回目の休憩でみんな疲れたことを告白し合い、ちょっと安心。さらに一回休憩を挟み、最初の湖であるグリーンレイクが見えてくる。比較的早い時期の登山と言うこともあり、クリークの水量が豊富であり、ここで靴を脱いでの渡河を強いられる。去年数回シエラに来たがはじめての経験である。水が相当冷たいらしく、隊員は結構真剣であった。

 

 

さらにひと上りしてイーストレイクに到着。荷物で肩が痛い三平は最後の数百メートルを走っていた!!本日のキャンプ地である。湖の向こうにページピークス(1万1千フィート)が見え、美しいが、風が強い。相変わらず蚊に悩まされつつも、岩陰の風があたらぬ場所にテントを張った。

 

釣り部長と私は釣りへ出かける。いよいよ今回の釣りのためにわざわざ日本の嫁さんに頼んで送ってもらったフライであるイワイイワナ様のご登場である。いつものように瞬く間に準備を終えた「釣りキチ三平」の異名を取る釣り部長はあっという間に30センチ弱のレインボーを釣り上げる。光速の魔術師である。サビつきの色合いだが、どうやら今晩は魚を食えそうである。私も三平の見守る中、30センチ強の綺麗なレインボーをあわせが遅れたにもかかわらず一発で釣り上げたが、三平に言わせれば「うなぎかと思った」というほど変に細長い感じの魚体であった。

三平の釣ったレインボーをホイル焼きにし、パスタを食って寝る。

 

1日(9マイル)

 

 

今日は最初の登りの後は、下り中心である。イーストレイクを出発し、美しいフーバーレイクスを過ぎ、サミットレイクへ向かう。三平トップである。のっけから岩・雪のアルパインムードのトレッキングで満足。重ちゃんも「キレイですねー」と感動している模様。三平もザックのセッティングが決まり、快調なようである。しかし、大きな雪渓を渡ることが多く、軽アイゼンが欲しくなる程である。正直、こんなに雪が残っているとは思わなかった。融雪で橋状になったところを渡った時はびびったが、三平がホイホイ渡ってしまったので仕方なく後をついていった。

 

 

メチャクチャ気持ちの良い登りが午前中一杯続き、サミットレイク(10250フィート)に到着した。ここが今回の最高点であり、ここから先はヨセミテ国立公園の中である。ここで昼飯を食うことにした。重ちゃんが働いている間、三平と私は無情にも釣りに熱中。三平はブルックトラウトを初めて釣り、喜んでいた。

昼食後は、ロウワーバージニアキャニオンへのだらだらした下りである。ヨセミテ国立公園に入ってからは急に蚊が減るのが面白い。何でかな。上から見ると森林のようであったが、実は木が案外疎らで、見通しが利き、気持ちの良い道である。だらだらした下りを進みつつ、何本か小川を苦労して渡りながら、最後は重ちゃんがちょっと下りで右足を痛めたようなので楽なトップに戻ってもらい、3時間弱で目的のリターンクリークとルートがクロスする地点に到着。川を渡り、比較的オープンな場所にテントを張る。

 

さて、三平と私はまたまた釣りをはじめたのだが、この川がもう爆釣!!フライ1投毎に鱒1匹という程にポンポン釣れる、魚影が濃いというか魚に食い気がある川であった。最高だよおまえら!!今回は釣りが良さそうなのでこのコースにしたのだが、こんなに釣れるとは思わなかった。改めて、リターンクリークである。20センチ〜30センチ弱のレインボーとブルックが中心である。ここで有効だったのはバッタパラシュートのパターンである。しかし、実はフライの種類などあまり関係なかったかもしれない。ヨセミテの北部地域の釣りは非常に良いと「Yosemite Trout Fishing Guide」に書いてあったことを思い出した。後で読み返してみると、このリターンクリークについては「このoverpopulatedな川では2分で一匹釣れた」などと書いてあるがもうまさにそのまんまである。三平は生まれて初めて級の爆釣で50匹近く釣ったらしい。この日釣りの夢を見たというからその衝撃の大きさが伺える。私も25匹は固い。重ちゃんも三平の指導で5匹釣り上げた。とにかく釣り天国であった。といっても魚は全部リリースしたが。夜は薪を集めて、火を焚いてしばしのキャンプファイアー気分に浸った。ここでも火の維持・始末に三平は大活躍であった。

 

 

2日(8マイル)

 

今日は殆どの行程が疎らな森林と草原の連続する地帯である。キャンプ地すぐの川をまたまた苦労して渡る。ガイド付きらしい白人のパーティは靴を脱いで渡っているが、われわれは身軽な三平が見つけてきた倒木の上を何とか渡りきって歩き出す。途中、点在する草原はとても美しい。ひときわ大きな平原で、三平と重ちゃんを被写体として鉄道写真のようなトレッキング写真を撮りたいと思い無理やり並んで歩かせる。その平原のどん詰まり近くで昼食を取る。独立記念日の週末に入り、他のパーティを会うことが多くなってきた。

平地を行くので何か思ったより歩行距離が短い感じである。

 

 

再び歩き出し、やや疲れた頃にグレン・オーリン・ハイシエラキャンプに到着。まだ3時前である。素朴なつり橋を渡り、白いテントが立ち並ぶ場所を過ぎると、突然、大きな滝が轟々と流れ落ちる景色が目に飛び込んで来て爽やかこの上ない。近くのバックパッカー用キャンプ場にテントを張ると、早速水着になって我々は滝壷に入ってみた。ちょっと泳いでも見たが、実は水が異常に冷たく、また、滝壷の水の色がちょっとなかなか無い位の深い青で相当に深そうだったので、実は溺れるのが怖く、向こう岸まで泳いだりするのはやめておいた。そもそも泳いでいたのも我々だけであった。

 

 

三平と私は早速キャンプの脇を流れるトゥオルムニリバーで釣りを始めた。さすがに昨日ほどではないが、まあまあのブルックやレインボーがポンポンと釣れる。徐々に場所を移動し、滝壷まで行って見る。こうなったら滝壷に住む怪魚“滝太郎”を釣ろうと言うことになって飛沫を浴びながら粘った。私はストリーマーを流し、三平はエルクヘアーカディスを浮かす。結局、三平がレインボーを3匹釣り上げたがストリーマーは一回あたりが来ただけ完敗である。いずれにしろ滝太郎とはほど遠いが、三平は1匹キープした。何しろ水場まで在るテント場である。快適にすし太郎を食べ、夕食を済ませる。先ほどのレインボーは塩焼きである。私は魚を一口齧り、もう一度釣りに出かけた。

 

テントに戻り、ちょうど懐中電灯が必要なくらい暗くなった時、隣のテントのおばさんが突然悲鳴を上げた。聞いてみれば、振り向いたら3メートルくらいのところにクマがいたとのこと。近くのみんなで声を上げたりして見えないクマを追い払う。考えてみれば我々も最も山よりにテントを張ってしまった。ちょっと心配。

暫くするとまたまた隣のフランス語をしゃべるおっさん一行が騒ぎ出した。ザックが無くなったとのこと。クマが持っていったのではないかと言う話だ。急に心配になった我々も、ザックを1箇所に紐で縛ってテントのポールに括って寝た。普通はこれだけで終わるのだが…。

 

夜中に突然三平が重ちゃんと私をキックして起こしたのである。何か気配を感じたらしい。隣人が懐中電灯をつけている。てっきりこれだと思い、ひとまず安心したのだが、胸が騒いだ私はテントのジッパーを開け、暫く外を見ていた。すると一瞬、大きな獣の形をした影が見えた(気がした)。すかさずヘッドランプの光を当てて見てたまげた。5メートルくらいのところにクマがいる!!急いで一度寝かけた二人を起こし、引き続きクマを見守るも、我々を気にする様子などまったく無い。おっさんパーティのものと思われるフレームザックをガシガシ噛んでいる。そのうち、闇の中に消えていった。しかしクマと言うのは想像よりもはるかに大きかった。単に大きなだけでは無く、何か身体中に獣性を充満させている感じである。襲われたらやはり命がけであろう。

 

3日(5.7マイル)

 

我々はこの文明界の中では起床が比較的早いほうである。隣のおっさんパーティの連中は、昨晩ザックを取られたり、ザックをかじられたりで、朝から半ば放心気味であった。昨夜無くなったザックは後でだいぶ離れたところから出てきた。やはりクマに持って行かれたらしい。飯を食ってスタート。今日は下りだと思っていたが実は登りであった。とりあえず滝を見てから行こうと言うことで記念写真を撮ったりした。重ちゃんは滝壷に突き出た岩に登るや白い粉をまいた。三平と私は、いらない調味料かな?とか無責任な想像をしていたが、実は全く違った。本当は何だったのかは我々しか知らない。

 

 

登りは大したことなく、幾つもの滝を見ながらトゥオルムニ・メドウズへ。途中、あまり釣れなかったものの、相当長時間釣りをしてしまった。三平はブラウン中心に7匹程度、私もブルックを3匹ほどである。その間重ちゃんはまたもや飯を作ってくれたのである。感謝。歩いていけば、周囲はますます美しい森に囲まれた草原であり、悠々とトゥオルムニリバーが流れている。前方にタイオガ・ロードの南側に聳えるキャセドラルピークが見えてくる。その名の通り、ゴシック様式の教会の尖塔の様にものすごく尖ったフォトジェニックな山である。

 

 

そんなこんなで4日前に残したシビックにたどり着いたのは2時くらいだったろうか。ベア・キャニスターを返却し、グローサリーでソフトドリンク等を買い、文明に浸る。山岳部へのオルグの一環として、三平にグレン・オーリンのワッペンを購入し「よく歩いたで賞」として授与した。そこからグリーンクリークトレイルヘッドでアコードを拾って、タイオガ・ロードを戻り、ヨセミテバレーに降り、工事中の140号を経由してマーセドの中華料理店で晩飯を食い、気絶しそうになりながらひた走り、アパートに帰り着いたのは午前1時頃であった。

 

 

参考文献:

Sierra North Seventh Edition, Wilderness Press, Berkeley, CA, 1997

Yosemite Trout Fishing Guide by Steve Beck. Frank Amato Publications, Portland, Oregon. 1995. pp72

 

 

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