生 駒 山 
(642m)

大原山から眺めた生駒山
               
 
 大阪平野と奈良盆地を隔てる生駒山地の主峰が生駒山である。
 都市圏に隣接した里山らしく、山上には遊園地があって放送局の鉄塔が林立し、
 稜線をドライヴウェイが貫通するなど開発が行き過ぎたきらいがあるが、
 山腹・山麓には多くの寺社が点在して信仰の山としての性格も帯びている。
 
 大阪と奈良を結ぶ生駒越えの昔からの峠道がいくつも通じており、
 由緒深いそれらの古道は、現在ハイキングコースとして継承されている。
 
 東大阪市の石切から辻子谷越道で稜線へ登り、
 南へ縦走路をたどって十三峠から八尾市の神立へ下った。




近鉄奈良線石切駅の南口を西側に出て左へ向かい、石切神社の鳥居をくぐる。
神社への参道が通じる辻を左にとり高架を抜けて山手へ向かう。

この辻子谷越の道は、石切神社から辻子谷沿いに登り、興法寺を経て稜線を越え宝山寺へたどる参拝道であったという。
弘法大師が一夜のうちに爪で刻んだという爪切地蔵の堂や石切神社上之宮を過ごしながら、舗装された坂道を登ってゆく。


石切神社参道入り口 石切神社上之宮

程なく辻子谷左岸の道沿いに、台座に番号が彫られた二体一組の石仏が間隔をおいて何組も見かけるようになる。
これは江戸末期から明治初期にかけて、四国八十八カ所霊場巡りを模して造られたもので、
台座の番号は八十八カ所札所の番号で、二体の石仏は弘法大師とそれぞれの寺院の本尊であるという。

弘法大師像(左)・札所寺院の本尊(右)
祠の中の二体の石仏



集落を抜けて辻子谷の右岸に渡り、高度を上げてゆくと石段に出合う。

石段入り口

これを上がれば興法寺の山門にたどりつく。
鷲尾山興法寺は、真言宗醍醐派に属し修験道の祖・役行者の開基とされている。
境内は手入れが行き届き、苔が生えて杉が立つ味わい深い庭をもつ。

興法寺山門の前
興法寺境内



山門から再び石段を登ってゆくとぬかた園地に入り、趣きのある石畳の道が稜線まで続いている。
途中右側の展望が開け、山上遊園地の施設が立つ生駒山上が眺められる。


石畳の道 生駒山上

石畳の坂をつめて稜線に乗っかれば、生駒信貴スカイラインのドライブウェイを挟んで山上遊園地の前に出る。
道路を渡って遊園地の敷地を進むと、列車の遊戯のところに立派な一等三角点が設置されている。

遊園地を後に林立する放送局用の鉄塔群を抜け、尾根伝いに下ってドライブウェイを横切り、暗峠をめざす。

山上遊園地の前 一等三角点



暗峠は「日本の道百選」に選定された峠道で、江戸期には大阪から奈良の古社巡りや伊勢参りへ向かう人が多く、
旅篭や茶店が軒を連ね大いに賑わったらしい。今は狭い道幅ながら国道308号であるが、峠周辺に敷かれた石畳が美しい。

暗峠



南へ進み大原山へ向かう。大原山の山上はなるかわ園地として整備され芝生の広場が広がっている。
展望もよく西には大阪市街、大阪湾の向こうに六甲の稜線、淡路島が遠くに霞み、
北には生駒山南面のおだやかな山容が指呼の間にある。

なるかわ園地の遊歩道をゆるやかに下ってゆくと鳴川峠にたどりつく。
ここから奈良側へは、役行者が山上ガ岳(大峰山)の前に開き「元山上」と呼ばれる千光寺への道が通じ、
峠の傍らには地蔵が一体佇んでいる。


大原山頂上 鳴川峠



さらに南下を続け、登り下りを交えながら雑木林の明るい尾根をゆく。
鐘の鳴る展望台、銚子ガ池を過ぎてドライヴウェイを渡れば程なく十三峠である。

明るい尾根



十三峠には名の起こりとなった十三塚が北側の丘に並び、矢田丘陵の松尾寺や
竜田大社、信貴山を指す古い石の道標と地蔵尊を見る。
大阪側の神立と奈良側の平群方面をつなぐ峠である。

十三塚 十三峠

ここで縦走路を離れ大阪側へ下山する。
西側のみずのみ園地を通り、木の間越しに大阪の街並みを眺めながら下ってゆくと、水飲地蔵院の境内に達する。
本堂脇の小堂には、弘法大師がこの坂を行き来する人のために念じて湧かせたという「弘法の水」がこんこんと湧きでている。

境内を通り抜けて簡易舗装された急坂をゆくと、
この道沿いにも、石切からの辻子谷越の道と同様に、四国八十八カ所霊場を模した石仏が並んでいる。

山麓の集落に入れば左に神立茶屋跡の石彫の案内板を見る。
かつてこの周辺には多くの茶屋があったといい、在原業平が天理から十三峠を越えて、
茶屋の娘の元へ通いつめた伝承が残っている。

第2万葉植物園を過ぎて近鉄信貴線服部川駅へ向かう。

水飲地蔵院 神立茶屋跡の案内板




 生駒山地は、大阪府枚方市と京都府八幡市の府境あたりから生駒山を過ぎて、
 高安山の南の大和川まで南北に連なる山地で、縦走路は北の飯盛山から南の高尾山まで通じている。
 
 この山系に位置する主な寺社を挙げてみると、北から、旧官幣大社・石清水八幡宮、生駒聖天・宝山寺、
 河内国一之宮・枚岡神社、元山上・千光寺、信貴山・朝護孫子寺と、参拝者が多く由緒をもった寺社の名が並ぶ。
 商都大阪と古都京都・奈良に囲まれた山域ゆえの個性であろう。




コメント・ご感想など、掲示板のほうへどうぞ・・・


戻 る

リンクマーク2アニメ(2.0k)