エサオマントッタベツ川ガケノ沢

2002年7月12日(金)n〜14(日)


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わずかな期待を持ちつつ外に出て空を見上げてみると、予想通りの霧雨だった。
ここのところ週末はいつも天気が悪いよなぁ、とぶつぶつ文句を言ってみても仕方がない。
雨は強くないのでとりあえず行ってみることにする。
簡単に朝食を済ませて、一晩お世話になったトッタベツヒュッテを後にした。

以前は地形図上の林道終点まで車が入れたようだが、現在はもう少し手前で車は通行止めになっている。
車止め広場から先は荒れた道になっている。とり残された交通標識が哀愁を誘う。林道の維持が大変なのは日高の宿命か。

地形図の林道終点辺りから入渓。
あまり日高の沢には来たことがないので何とも言えないが、やはり水量は多かったのではないかと思う。
河原を歩くと、程なく標高725mの二股に着く。
明らかに水量の多いエサオマントッタベツ川本流を遡行するパーティーの計画完遂を祈りつつ、
僕たちはやや水量の少ない左股に入っていく。

標高840mの二股まではまでは平凡な河原歩き。
「北海道の山と谷」の記述によると、ここから標高1100m二股までに10〜15mの滝が10個ほど出てくるはずだ。
「ガケノ沢は!!の沢としては易しい」とはよく言われるが、腐っても!!の沢。気を抜くわけにはいかない。
なんせ僕は大学の部活では難しい沢は全くやってこなかったのだから。
二股で「さぁ、ここからが本番だ!」と改めて気合を入れなおす。
10mもない滝を3〜4個快適に登っていく。次第に1100mの二股が近づいてくる。
「ここから10〜15mの滝が6〜7個も連続して出てくるのか!」と思わず身構える。
ちょうど体も草鞋のフリクションに慣れてきた頃だ。
「できる限り直登してやる!」気持ちも高揚してくる。
そして程なく1100m二股に着いた。
「・・・あれっ?10〜15mの滝は?」「T平さん、これは誇張しすぎっすよ・・・」
まあ、ガイドブックに書いてあるより難しいというよりはマシだけど。

気を取り直して先に進む。
記録通り、1100m二股から上は徐々に傾斜がきつくなり小滝の連続となるが、難しいものはなく、直登可能。
そのうち、ついに雪渓が現れる。いくら今年が雪が少ないと言えど、さすがにこの時期に雪渓が無いはずもない。
雪渓の丈夫そうなところを選んで進む。まくことができる雪渓はまくこともあった。
上部は枝沢と本流の区別が難しい。
ガイドブックでは「階段状の岩盤をつめてブッシュ漕ぎなしでPeakに出る」とあるが、沢を詰めていくと潅木の急斜面になる。
「ルートを間違えたかな?」と不安を覚えつつ登っていくと、スカイラインが見えてくる。
「ヤッ!」とスカイラインに出ると、そこが札内岳のPeakだった。
皆で登頂を喜び合い、Peak写真を撮る。
まだ時間もあったので、札内J.P.(junction peak)への稜線を歩き、稜線途中で泊まることとする。

札内岳〜札内J.P.の稜線は、踏み跡は確かにあるが不明瞭なところもある。
藪漕ぎに近い部分7割、お花畑など夏道に近い部分3割といった感じだろうか。
途中何度も見かける大量の熊の糞や高山植物の掘り返しには少しびびる。熊鈴の一つでも持ってくるんだった。
パーティーの皆さんは花の名前に詳しく、あれはナントカ草だ、これはナントカ花だ、と教えてくれる。
僕はあまり夏に山に登らなかったので、山の花の名前にはめっぽう疎い。
僕に区別できるのはヒマワリとかチューリップといったわかりやすい花くらい。
これから花の本でも買って勉強してみようかなぁ。
標高1700mコルのあたりにテントを張れそうなスペースがあり、そこにC1とする。

天場ではお酒を飲み、食当のT川さんが腕をふるって作ってくれたおいしい夕飯を食べた。
はっきり言って、僕は山に来た時の方が下界に居る時よりも良い物を食べている気がする。
せっかくの稜線泊なのにもかかわらず、生憎の天気で眺めこそ悪かったが、いろんな話を聞くことができて楽しい夜だった。
「T中さんは地形図を見ただけで滝のある位置がわかる」という話には驚いた。
そうなったら便利だなぁ。僕もそんな風になりたいなぁ。

翌日。
札内J.P.まで行く予定だったが、意外とブッシュの濃い稜線を行くよりも
816から北に尾根を強引に降りた方が楽なのではないかという話になり、
816から97二股に向かう北向きの尾根を下ることにする。
結果としてどちらの選択が楽だったのかは知る由もないが、けっして快適な尾根ではなかったとだけは言える。
あまりお勧めはできない。
途中で小沢を渡ったりしている内に一本東の尾根に乗っていたようで、97二股の左股の標高1100mくらいに出た。

もう後は核心も何も無い。まだ若干増水している沢をひたすら下る。
エサオマントッタベツ川本流には「これでもか!!」というくらいまき道があり、
しかもその入り口にはいちいちデポ布が付けてあって辟易する。
入渓点には釣り人がいた。けっこう釣れるみたいだ。
車止めに着いて無事山行終了となった。
帰りは温泉に寄り、飯を食べて帰札。
温泉では他パーティーとのご対面となった。
どちらのパーティーも本流だったので増水の影響を受けたためか、完遂はできなかったようだ。

計画そのままというわけにはいかなかったが、目的のガケノ沢を遡行できて僕は満足だった。
天気に恵まれない山行だとは思ったが、
それでも山行中止にならない程度の雨だったというのは、ある意味運が良かったのかもしれない。
僕は学部の2年生の時以来沢を止めてしまったため、あまりレベルの高い沢には行ったことがなかった。
だから沢の面白さなんてわからなかったし、夏の活動はいつも手持ち無沙汰だった。
中央労山に入ったのは、もう一度沢を一から始めてみようと思ったのも理由の一つだ。
ガケノ沢は決して難しい沢ではないが、
今の僕にとっては難しい沢の片鱗だけでも見られたという意味では非常に意義のある山行になった。
でもそんな意義云々を除いても楽しいパーティーの方々に恵まれて非常に良い山行だった。
また山の楽しみが一つ増えた。
山行を企画してくれた山行企画部の方、パーティーの方、ありがとうございました。

コースタイム
7/12(金):1945事務所発―2400トッタベツヒュッテC0
7/13(土):0450起床―0630車止め広場発―0830ガケノ沢出合(c840)―1000 c1100二股―1340札内岳Peak―1550 c1700コルC1
7/14(日):0400起床―0605発―0650 816―0905エサオマントッタベツ川左股c1100―1257 c725二股―1302入渓点―1327車止め広場

記:2002年7月29日(月)


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