恵庭岳 滝沢
2002年11月16日(土)n〜17(日)
【メンバー】T平,N海,K崎
【予定の行動】
11/16(土)
18:00 中央労山事務所―20:00 林道C0
11/17(日)
04:00 起床―05:00 C0発―05:30 F1下―06:00 登攀開始―14:00 F9上引き返し―16:00 F1下―16:30 車止め
【実際の行動】
11/16(土)
18:00 中央労山事務所―20:00 林道C0
11/17(日)
04:00 起床―05:50 C0発―06:15 F1下―06:50 登攀開始―14:30 F9上引き返し―16:30 F1下―17:15 車止め
恵庭岳滝沢。
近場で難し目の滝登りをしたい人にうってつけの沢である。
「沢」と言っても、水の流れていない所謂「涸沢」である。
岩は苔むしていて、逆層している。
そのため、夏場はフラットソールではなく、地下足袋で登られている。
今回は季節柄、そのような選択肢は無く、アイゼン・グローブ・バイルでのクライミングとなった。
11/16(土)
事務所で待っているとT平さんが来て、「N川さんが風邪で参加できなくなった」と聞かされる。
この時点で「(3人パーティーなら)F9の日帰りは無理だな」との思いが頭をよぎる。
中央労山の新進気鋭のクライマー、N海君とは滝沢入山口の林道で待ち合わせ。
彼は土曜は義経岩でフリークライミングをしていたそうな。よぅやるなぁ。
酒を飲み、22時頃就寝。
23時過ぎ、人の足音。
そして、明日に備えて眠っている僕らに不躾に声をかけてくる。
「あんたら、何なんだ!?」「***さんか!?」
(お前こそ何なんだ)
詳しい話は聞かなかったが、行方不明の人を捜索中なんだとか。
おまけにその人が自殺するかも、という話である(!)。
あの入り口にとめてある**ナンバーの車は、それだったのかい。
同じ会社の人も、いても立ってもいられなくて駆けつけた、とのこと。
本当に気の毒な話ではあるが、僕らとしては明日、仏様とバッタリ出会わないことを祈るばかりである。
11/17(日)
予定通り早めに起きたものの、昨日の一件から暗い中歩くのは怖いので、空が白むのを待ってゆっくり準備。
そんなこんなで、F1を登り始めたのは06:50になってしまった。
F1(35m):N海
滝沢の核心ピッチの一つ。
下部はねているが、逆層しているのでアイゼンだとひたすらきつい。(文字通り歯が立たない)
探せば要所要所にガバがあるが、それでもえらく厳しく感じた。
支点は豊富にある。
落ち口の小ハングは横に足を置ける岩があり、上の方にガバもあるので、フリーで乗っ越し可能。
だがリードだとそれなりに怖いだろう。
(あの足を置ける岩はそのうち落ちそうな気がするが・・・)
ここを朝一でリードしたN海君はさすが、である。
ちなみに僕は(セカンドだったし、時間短縮のため)A0しまくり。おまけにアブミも1回使った。
・・・ここのリードはまだ無理かも。
セカンド確保用の支点は豊富にある。
F2(20m):K崎
F1からすぐ。
それほど難しいピッチではないはずだが、氷が張っていてほとんどスタンスが見えない。
バイルでいちいち氷を砕いてホールド・スタンスを探す羽目になる。
ガバなのに凍りついて滑り、全然使えなかったりして、泣きがはいる。
支点も確実なものは中間部のボルト1本で、あとは腐れハーケン。
そのボルトにA0して無理矢理体を持ち上げる。
その後は確実な支点が無く、生きた心地がしない。
自分では15分くらいのつもりだったが、リードに1時間かかったことを知らされ、愕然とする。
・・・申し訳ない。
中央労山のN見さんの名前がばっちり書かれたハーケンがあった。
セカンド確保用の支点は豊富にある。
F3
なんも。行きは何も考えずに通過してしまった。
「これがF3ですかね〜?」
「こんなショボイわけないでしょう」
帰りは懸垂下降した。
F4
なんも。これも行きは何も考えずに通過してしまった。
「F3とF4、なかなか出てきませんね〜・・・あっ、F5だ」
帰りは懸垂下降した。
F5(5m):N海
チョックストーンの滝。
チョックストーンの右脇を登っていくが、確実な支点が取れない。
支点は伸びきったリングボルトだけ。はっきり言って、気休めにもならない。
岩の隙間から残置スリングが出ているが、どのように支点をとっているのか分からないので使えない。
スラブ系でホールド・スタンスが細かいので、グローブを履いた手では掴めず、ドライツーリングとなる。
よって、リードはなかなか厳しいだろう。
セカンドの確保用の支点は木。
F6(20m):K崎
適度な傾斜、適度なホールド・スタンスの好ルート。
冬季でもアイゼン・グローブでフリーで登ることができる。
だが、僕はビビッて、A0・ドライツーリングを使ってしまう。
支点は下からだとよく見えないが、けっこうある。(ただし、全てハーケン)
セカンドのT平さんはバイルを使わずフリーで登った。
N海君は右ルートに張っていた薄い氷で「アイスクライミングだ!」と喜んで登っていた・・・
セカンド確保用の支点は右岸に豊富にある。
F7(20m):N海
所謂、人工の滝。滝沢の核心ピッチの一つ。
傾斜はそれ程でもないが、とにかくのっぺりしていて、アイゼンだと厳しい。(沢靴でもしんどいのでは?)
普通はA1するのだが、N海君は中間部までフリーで、そこからA0でリードした。たいしたもんだ。
支点はかなり豊富にあるが、ハーケンが多く、またそれほどいい状態とも言い難い。
セカンドのT平さんはA1で登った。
僕はA0で登ったが、とにかくスタンスが無いか細かすぎるため、スタンスが外れてテンションをかけてしまった。
A1するなら難しくはないだろうが、使えるハーケンを選ぶ(もしくは自分で打つ)のがポイント。
A0してハーケンがグニャッと曲がった時は、「次にここに来る人、ごめんなさい」という感じだった。
セカンドの確保・懸垂下降は木。
F8(30m):K崎
それほど難しい滝ではないのだが、普通に立ってムーブを考えている時にバランスを崩して1mほどフォールしてしまった。
足でうまい具合に着地したのと、下に腐れハーケンからとったランニングで止まった。だが要反省。
それでちょっと怖くなって最後岩を乗っ越すところを巻いて楽な方を選んでしまった。
支点は腐れハーケンが2本あるくらいで非常に少ない。
途中に軟鉄ハーケンを足したが、2/3くらいしか入らなかったので、あまり効いていなかっただろう。
夏季だと簡単との話だが、アイゼンだとそれほど簡単だとは思えなかった。僕に度胸が無いせいか。
セカンドの確保・懸垂下降は落ち口より少し奥の木。
F9(35m):N海
滝沢の核心ピッチの一つ。
おそらく普通は右のバンドから取り付くのだろうが、N海君は果敢に正面突破を試みた。
縦に走る細いリスや、若干バイルが決まる草付を使ってなんとか中間テラスまで抜ける。たいしたもんだ。
中間テラスまでの下部は支点があるが、ハーケンのみ。上部はランナウトする。
中間テラスの木に支点を取り、若干高めの位置からトラバースしていく。
僕もセカンドで登ったが、あのトラバースは逆層で足がほとんどきまらず、
またドライツーリングできるとっかかりもないため、
草付に打ち込んだバイルを全面的に信用してトラバースすることになる。支点も無い。
おそらく、もう少し下をトラバースする方が簡単だったのではないだろうか。
トラバース後は右上していき、残置スリングがかかったよい中間支点をとり、落ち口を乗っ越す。
落ち口は木を使えるため、それほど難しくない。
セカンドの確保・懸垂下降はボルト。
F9をN海君が登り終えた時点で、すでに予定の引き返しリミット間近。
T平さんは、時間短縮のため自分は登らず、僕だけをセカンドで登らせてくれた。謝謝。
懸垂下降でF9下に下りると14:30。そそくさと引き返しを始める。
F4はクライムダウンし、他は全て懸垂下降した。
F1下に着いたのが16:30。ちょうど暗くなった頃だった。時間読みピッタリ。
ギアをザックに放り込んでサッサと下山。
昨日のこともあるので、暗い中ラテルネを点けて歩くのは怖くなくもなかった。
林道に出てみんなでガッチリ握手。
帰りは札幌の「ゆーとぴあ」で汗を流し、吉野家で牛丼を食べて帰宅。
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今回はフォールしてしまったし、A0も何度も使ってしまった。
それに何と言っても、交代でリードしたせいもあるが、難しい滝を全てN海君に任せてしまった。
その中には、僕の技術では厳しいものもあっただろう。
僕は確かにF9の上に立って、形の上では完登である。
でも、僕はまだ滝沢を登れていない。本当の意味では。
N海君との技術の差を思い知らされ、ショックは受けた。
だが、自分の現在の力量を把握することができたし、課題もわかった。
色々な点で、意味がある山行だった。
最後に。
リーダーのT平さんがいなければ、この山行は実現し得なかったし、ベテランのT平さんがいるだけで安心できた。謝謝。
N海君には損な役回りばかりさせてしまった。ごめんね。そしてありがとう。
記:2002年11月18日(月)
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