上ホロカメットク山 正面壁左ルート・化物岩左ルート

2002年11月29日(金)N〜12月1日(日)

上ホロカメットク山 正面壁左ルート 1ピッチ目
上ホロカメットク山 正面壁左ルート 1ピッチ目

【地図】十勝岳(2.5万分の1)
【メンバー】M本,S藤(信),T橋(学),S藤(園),H井,M浦,T橋(真),N海,Y崎,K崎
【予定の行動】
【実際の行動】

上ホロカメットク山―
山名の由来はカムイホロカメトッヌプリと推測され、『河口と反対方向に流れる川の川向かいにある奥深く高い山』の意味。
十勝岳温泉からのアプローチが近く、また標高もそれなりに高いため、山岳団体の氷雪入門の場所に使われることが多く、
11月後半の週末には本州の山と見間違うほどの賑わいを見せる。
主稜線の北側は火山の影響からかすっぱり切れ落ちていて、バリエーションルートとして登られている。
他にも化物岩、八ツ手岩などにもバリエーションルートが拓かれている。
入門としての尾根歩き、難しめの細い稜線、雪壁、ミックス登攀、何でも楽しめるフィールドである。
とは言うものの、この山域は天気に恵まれないことが非常に多く、下界がスカッ晴れでもなぜかガスがかかっているという不遇の山でもある。
ここに来る登山者は天気が悪くても悲観しない。こんなのはいつものことだから、といった感じである。
人によっては「天気がいい時に登っても、上ホロを登ったことにならない」とまで言うほどである。

今回の目的はバリエーションルートの登攀だった。土曜日に正面壁、日曜日に化物岩。
『北海道の山と谷』によると、この山域では過去に何人も雪崩・滑落で死亡しているとのこと。
慎重に登らなければ。自分に言い聞かせた。

*****************************************************************************************

11/29(金)
2人のT橋さんと車で十勝岳温泉の凌雲閣まで。
札幌を発ったのが21時近かったため、高速を使ったにもかかわらず凌雲閣の駐車場に着いたのは12時を回っていた。
それでもしっかり酒を飲んでから就寝。
10人の大所帯だし酒飲みが多いので、さすがに うるさい 賑やかだ。


11/30(土)
就寝が遅かったにもかかわらず、気合いの4時起床。
なかなか起きないメンバーを無理矢理起こす。
だが皆のテンションが上がらず、C0を出発したのは06:50だった。なんのために早起きしたのやら。

久々の重い荷物に喘ぎながら旧噴のB.C.まで。なぜか僕だけ異常にザックがでかかった。
準備をして各パーティー出発。パーティー割りと取り付いたルートは次の通り。

M本,N海,K崎正面壁 左ルート
S藤(信),S藤(園),H井八ツ手岩
T橋(学),M浦,Y崎,T橋(真)北西稜

B.C.からヌッカクシ富良野川沿いに登る。
c1500二股で北西稜Pと別れ、右股に入る。c1570二股の間の尾根が正面壁への取り付き尾根である。
B.C.に余計な荷物をデポしたが、登攀具だけでもなかなかの重さである。
しかも久々のラッセル。息が上がってしまう。体力不足を痛感した。
割と雪の堅い取り付き尾根を30分ほど登ると、ガスの中、正面壁が姿を現す。・・・これを登るの?
正面壁手前はちょっとしたナイフリッジになっていて緊張する。
取り付き尾根からすぐ正面の凹角が左ルートの取り付きである。
正面壁左ルート
1pitch : M本
左右2本の凹角があるが、左の凹角はのっぺりしていてアイゼン・グローブでは厳しそうなので、右の凹角を行く。
一面雪が付いているが、全てエビのシッポ状であり、ホールドにもスタンスにもならない。すべて叩き落して登る羽目になる。
この凹角は4mほどで、けっこう立っている。
ホールドになるような岩も無く、微妙なドライツーリングを強いられる。
凹角を乗っ越すとバンド状に出る。これを左に行くと2m程の立った壁にぶつかる。この乗っ越しも非常に厳しい。
それを越えた次のスラブの手前のテラスでピッチを切る。
ちなみに、『山谷』ではもっと上でピッチを切っている。

2pitch : M本
出だしのスラブは細かく、乗っ越しが厳しい。
スラブを乗っ越し、バンド状を右上すると4m程の立った壁にぶつかる。
個人的にはこの乗っ越しも厳しかった。
その上は雪田になっていて、それを登ると人間一人ギリギリ入れるようなチムニーのある壁にぶつかる。
『山谷』ではこの壁の手前を1pitch目の終了点としている。
ここからチムニーを7m程登るが、これが狭すぎて非常に辛い。
ザックを背負うと厳しいので、ザックをハーネスの安環にぶら下げて登る。
登りきったところにRCCボルトを1本打って、それでビレイ。
『山谷』の記録と照合すると、ここは2pitch目の途中になる。
3人登りきった時点で15時前で時間切れとなる。
懸垂1pitchで取り付きまで降りる。
一時ロープが回収困難になり、焦る場面もあった。
暗くなり始めている中、急いで片付け、B.C.に降りる。
B.C.に着いた時には16時を回っていた。

北西稜に行ったT橋Pは、あまりの雪の多さにロープを出す場面も無く、楽々完遂したらしい。ついでに十勝岳までアタックしたとか。
八ツ手岩に行ったS藤Pは僕らよりももっと遅く、17:30過ぎに帰ってきた。
何か事故にでも遭ってビバークしているのではないかと心配していたので、皆ホッと胸を撫で下ろした。
晩飯はすき焼き。非常に量が多かった。


12/1(日)
いきなり寝坊。気の緩みか。
元々の朝飯の雑炊に昨日のすき焼きの残りをブチ込み、不思議な味の料理ができる。
そそくさと準備をし、皆で化物岩を目指す。
パーティー割りと取り付いたルートは次の通り。

M本,Y崎化物岩 左ルート
N海,K崎化物岩 左ルート
S藤(信),S藤(園),H井化物岩 右ルート
T橋(学),M浦,T橋(真)化物岩 右ルート
化物岩 左ルート
1pitch : N海
下部にブッシュの生えた凹角を7mほど直上してから左上する。
左上部分にチョックストーンがあるが、難なく越えられる。
その後バンド状を右にトラバースし、ちょっとした段差を乗っ越すと後は雪稜となる。
這松を掘り起こしてビレイ。
キャメロットがあればけっこう支点は取れる。
バンド状トラバース部分にはボルトもある。

2pitch
雪田。一応ザイルはつけたが、コンテ可。3pitch目の下でピッチを切る。
ビレイ点はハーケン2本。

3pitch : K崎
浅い凹角を10mほど登ってから右に少しトラバース。
あとは雪壁をダブルアックスで登る。
普段はあまり雪が付いていないらしいが、今回は凹角部分も雪が付いていたためアックスやアイゼンがきまり、
例年より簡単だったらしい。
下部の凹角はたくさんハーケンがある。
トラバース部分からは支点が取れないためかなりランナウトするが、
一歩一歩しっかり登っていけばなんも。
上部は化物岩の頭近くの緩い斜面までロープを伸ばし、スタンディングアックスでビレイ。
登攀用具をしまい、B.C.へ向かう。
化物岩の頭直下を下ろうとしたがあまりに急なので、少しD尾根を下ってから回り込むようにしてB.C.へ帰る。
T橋Pは化物岩の上のコルからの短縮ルートで戻ってきた。
S藤Pは3pitch目が渋滞していたため、エスケープしたが、かえってハマッてしまい、だいぶ遅れて帰ってきた。
大変な方にばかり流れてしまうパーティーだ。
パッキングして重いザックを背負ってスキーで下山。
山スキー部出身、というだけで何故かジャンボテントを持つ羽目になる。WHY?

白銀荘の温泉に入り(\600)、富良野のいつものレストランで食事をした。
定食を頼むと御飯のお替り自由、ということで、学生は半ば強制的にお替りをすることになった。
頼んでもいないのに僕まで『3倍飯』って・・・。

*****************************************************************************************

記:2002年12月4日(水)


2002年のclimbingのページに戻る