会社に勤めていた頃、仕事の関係で南イタリアに暮らしたことがあり、この時この近くの古代遺跡を巡り歩きました。
この地方はマグナグレチアと呼ばれる古代ギリシア文明の栄えた土地で、この地方で訪れた、いろいろな古代都市の遺跡を紹介します。
1.マグナグレチア
2.メタポント :田園の中の遺跡
3.パエスツム :巨大神殿遺跡
4.エラクレア :丘の上の遺跡
5.アルベロベッロ :とんがり帽子の家並み
6.タオルミナ :山上の円形劇場跡
7.マッサフラ :真冬のカーニバル
8.セジェスタ :トロイの末裔
9.アグリジェント :巨大神殿群
10.サンマリノ :人口2万人の小国家
11.シラクサ :石切場跡の牢獄 (作成中)
1.マグナグレチア
紀元前750年頃、ギリシア本土には進んだ文明が発展し、それと共に人口も増え、そのためにギリシア人達はイタリア半島、シシリー島に新天地を求め、移住していった。
そして、この南イタリアの地域に華麗な文明を花開かせたのであった。
数学者のアルキメデス達が活躍したのはシシリー島のシラクサ市であったし、哲学者のプラトン、数学者のピタゴラスが活躍したのは南イタリアの
街であった。
この時代に沢山の都市がギリシア移民によって建設された。南イタリアでは
タラント、パエスツム、シバリ、レッチェ、、、、そしてシシリー島ではシラクサ、アグリジェント、パレルモといった都市が、、、、。
紀元前202年にローマ軍によってこの地方が占領されるまでの間に花開いた大文明をマグナグレチア(偉大なるギリシア文明時代の意)とよばれている。いまでも、この地方にはギリシア本土に勝るとも劣らない大きな都市の 遺跡が沢山残されている。
写真は、いまのナポリの少し南にあるパエスツムの遺跡である。
2.メタポント
南イタリアのタラント市の少し西にある、マグナグレチアの代表的な都市の跡である。
10月のある日、通勤車の運転手のアンジェロの案内でこの美しい遺跡を訪れた。彼のかわいい小学生の娘さんが同行してくれた。
行き交う車もほとんどない、両側に野菜畑の延々と続く田園地帯を走る国道を行くと畑の中に忽然と古代神殿の柱列の跡が現れた。
南イタリアにはこのような田園の中に小さな遺跡が残っていることが多い。
この街はBC.7世紀頃、ギリシアからの移民が建設したとされている。<
ピタゴラスがここに学校を開いて彼の哲学派の基礎を築いたところでもある。今は神殿の柱が残っているだけであるが、ここから約4kmほど離れたところには、広い遺跡群があり、この都市の大きさをうかがわせる。円形劇場跡なども見られるが、これも周りの壁などの建物は破壊され、底部とそのまわりの座席部が見られるだけである。
繰り返された戦いと地震でほとんど破壊されてしまっている。この街も最後は
カルタゴのハンニバルに占領され、BC.207年ハンニバルがローマ軍に敗れると同時にローマの軍門に下ることになった。
3.パエスツム
ナポリから国鉄で約1時間ほど南に下ったあたりに巨大な古代都市、パエスツムの遺跡がある。現存する神殿等の規模はアテネのアクロポリスをしのぐとも言われており、イタリアでもシシリー島のアグリジェント遺跡と並んで最大規模のものである。
この街は南イタリアに移住したギリシア移民達がBC.600年頃に建設したものとされているが、AD.500年頃ペストの大流行で多くの住民は死亡し、残った住民も街を捨て他の街に逃げて、この街は廃墟と化したとされている。
4.エラクレア
イタリア半島の南端、長靴の形の半島の土踏まずのあたりの海岸近くにポリコロという小さな町があり、その町はずれにエラクレアの遺跡がある。
麦畑の中に丘があり、その上に古代のギリシア移民の都市エラクレアの遺跡の発掘が行われている。紀元前5〜3世紀に栄えた街である。現在発掘が進められているが、街の道路、家の基礎、壁の一部、水道跡などが見つかっている。神殿の跡も見つかっているが、現在はその基礎と敷石の一部が残っているにすぎない。。
この街も他のマグナグレチアの街と同様、カルタゴとの戦いに敗れ、カルタゴの支配下に入り、最後はローマ軍に占領され紀元前3世紀ころ以後再び歴史上に登場することはなかった。
5.アルベロベッロ
(今回は古代遺跡ではなく、現在も人々が日常生活を営んでいる町である)
南イタリアの長靴のかかとのあたりは、この地方で有名なワインの産地である。ここに広がるブドウ畑の中に真っ白な壁と三角帽子の屋根をもつ不思議な雰囲気をもった、おとぎの世界にでも入ったような気持ちにさせる家並みの町、アルベロベッロがある。
この不思議な家はトルーリ(三角屋根)と呼ばれ、壁は石灰で白く塗られ、屋根は小石板を円錐形ドームに積み上げられ白あるいは茶色に塗られ、頂上にはローカル色豊かな魔よけの飾りなどが付けられている。
家の中は結構広く居間、台所などいくつもの部屋があり、農家ではワイン貯蔵用の倉庫などもあるそうである。
この町はすべてこのような三角屋根の家が集まっており、町の中央には土産物の店があり、郊外にはブドウ栽培の農家などがある。
この地方では有名な観光スポットである。
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6.タオルミナ
シシリー島の東海岸、エトナ山の近くのタオル山の海岸に迫る絶壁の上に立つ古代の街である。海岸からそそり立つ約250mの絶壁の縁にあるこの街の遺跡、円形劇場跡に立つと、眼下に紺碧のイオニア海が広がり、遠くには標高
3340mの雪をかぶった活火山エトナ山を望むダイナミックな景観が広がる。
紀元前753年ギリシアから来た移民達がこのタオルミナ海岸にシシリー島最初のギリシア移民都市ナクソスを建設した。
しかし、ナクソスは紀元前403年シシリー島の覇者シラクサに敗れ、人々は山の上に逃れ新しい街タオルミナを建設した。
タオルミナはその後もポエニ戦争までシラクサとは友好関係、敵対関係を繰り返す複雑な関係を続けた。
現在残っている最大の遺跡はこの円形劇場(グレコロマン劇場)跡である。
写真は、T夫人の描くタオルミナ遺跡(円形劇場)とエトナ山である。
7.マッサフラ:真冬のカーニバル
マッサフラの街は古代ギリシアからの移民によって造られたとされており、南イタリアのタラント市の隣にある大峡谷の両側にある古い街である。
セントマーク峡谷と呼ばれるこの大峡谷の谷の岩の間には草に覆われた古代の居穴人たちが住んでいた洞窟住居の跡を見ることが出来る。これらの住居のいくつかは教会として使われたものであり、美しい壁画なども残されている。
この街で忘れられないのは2月の上旬に行われるカーニバルである。特に最後の夜には街の中央広場に向かって20を越える仮装車が巨大な張り子人形を飾り立て、着飾った子ども達や仮装した若い男女を一杯に乗せて激しい音楽と光の中、街の通りを行進する。その周りでは思い思いの仮装をした人々が踊りまわる。
真冬の寒さを吹き飛ばすような華麗な冬の夜の祭りである。
製鉄所の社員のミカリ氏のお嬢ちゃんシモナちゃんは日本のきれいな着物姿で我々を楽しませてくれた。
8.セジェスタ
パレルモから車で約1時間、シチリア島の西海岸にあるセジェスタの街は昔トロイ戦争に敗れたトロイ人の子孫といわれるエルム人によって紀元前5世紀頃建設されたという。
その頃セジェスタは南にギリシア移民都市であるセリヌンテが勢いを付けてきて北方への進出を狙ってきたため、セジェスタはセリヌンテとの戦いに悩まされ続けた。
また、第一次ポエニ戦争ではセジェスタの西海岸のトラパニ、マルサラがローマとカルタゴの激戦地となり、セジェスタも両軍からの攻撃の矢面に立たされた。
現在、セジェスタの遺跡には神殿遺跡と、円形劇場跡が残されている。円形劇場は紀元前315年の建設とされており、それほど大きなものではないが、現在でも夏祭りでの古代劇の舞台として使われると言う。
9.アグリジェント
「ギリシアを見たければアグリジェントに行け」と言われる。それほどアグリジェントには古代ギリシアの遺跡が良く残されている。
シチリア島南部に位置するアグリジェントの街は紀元前581年に当時のギシア移民都市であるゲラの住人がここに新しい街を造ったのが始めとされている。
その後カルタゴの侵入を受けてカルタゴの傘下に入っていたが、第一次ポエニ戦争ではカルタゴの対ローマ前線基地となったが、緒戦でローマに敗れ市民はローマの奴隷となってしまった。
現在、当時の遺跡は「神殿の谷」と呼ばれる地域にジュノ神殿等4つの巨大な神殿が残されている。特にコンコルド神殿は内部の壁から天井まで保存されている珍しい遺跡である。
このあたりは春になると桜の樹とそっくりのアーモンドの花が美しい。
補修作業中のコンコルド神殿
10.サンマリノ共和国
サンマリノ共和国。イタリア、のフィレンツエの東方の海岸に近い山地にある人口は僅か2万人の独立国家である。
伝説によるとこの国は301年に石工のサンマリウスが建設したとされている。
国としては1631年にローマ法王に承認され、1862年にイタリアの保護のもとに独立を承認された。
岩山の絶壁の縁に中世の城があり、この一帯がこの国の首都域であり、政権は2人の摂政を中心に運営されている。サンマリノ城の近くには60人の国会議員の集まる国会議事館があり、観光客にも公開されている。
この国の発行する切手とコインは世界的にも有名であり、この切手とコインを求めて観光客が集まる。これがこの国の最重要な産業であり、収入源でもある。
独立国家といってもビザがある訳でもなくイタリアの一般道路から何のチェックもなく入国出来るし、通貨もサンマリノ通貨、イタリア通貨がなんの支障無く使える。
絶壁上のサンマリノ城とサンマリノ国の中心部。
後方はサンマリノ国の住宅街
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