三本足で臨んだ唐松岳山歩

今年も秋に一人でお山歩を楽しむことにした。しかも今回はヴァージョンアップして山小屋宿泊付きだ。

まだ2回目だが、私がミニミニ山行とはいえ単独行を決行すると、幸いお天気には恵まれるが、その代わりに予期せぬアクシデントに見舞われることがジンクスとなりそうだ。
昨年はバスが運休になっていた!という、聞いてないよー的アクシデント。
そして今年は・・・。アクシデントと書くこともはばかられる全く私ならではの個人的なドジだった。

今年は火傷の手術の後、足腰はもとより抗生物質漬となった私の身体自身も弱っていた。夏までに完全復活を果たせず、しかもハイキングにさえ行っていないほとんどぶっつけ本番の山行が7月の立山プラス五色が原となった。結果、当然のことながら、久々に超スロー&激バテ歩きとなってしまった。
雄山への登りで初心者のお子様を連れたファミリーに抜かされ全くついて行けなかった始末。かなり早くから私の視界から消え去っていた同行のM嬢は休憩所で身体を冷やす羽目に・・・。(しかも悪天候だったもので・・・)

あれから2ヶ月経っているが、体力が回復したは言えないだろうなぁ・・・・。
でも歩く距離は短いし、山小屋に一泊してのピストン山行だから何とかなるだろう、とまたも楽天的に考えていた。

でも、雨の中を一人で歩くのは寂しすぎる!!
週の始めから一日に何度も天気予報のページを覗いていた。始めは”えー!”って思わずのけぞる予報だったが、私のリアクションに恐れをなしたのか、密かに送った私の念力が効いたのか日に日に降水確率は低下し、出発前日には”おーっ!”って感じの予報。パソコンの画面に向かってニンマリする怪しい女となっていた。
初日は降水確率ゼロパーセントの晴れマーク!2日目も悪くはないお天気となりそうだ。

三連休前の金曜日の夜、京都駅の夜行バス乗り場は登山客でいっぱいだ。何と上高地行きのバスは6号車まである。あー、いつか紅葉の涸沢に行きたいなぁ・・と上高地行きに乗り込む人々を指をくわえて見送る。

夜行バスではなかなか眠れない私は荷物が多少重くなるが首を支えるクッションを持ってきていた。バスの中より外で膨らます方が新鮮な空気を吸い込めるのでいいか、と立ったまま息を吹き込んだ。
が、やばい。酸欠で目が回り頭がクラクラする。倒れそうになりながらなんとかパンパンに膨らませた。大した空気量でもないのに脳貧血寸前とは全くもって先が思いやられる。

バスに乗り込むと隣の席のオバサマは単独で猿倉から白馬に登り、親不知に抜ける大縦走をされるそうだ。すごい健脚さんとお見受けした。根性軟弱心肺および足腰ひ弱な私は一生その領域に達することはないでしょう。でもそんな私にも親しげにお話しして下さってありがとう。

やたらトイレ休憩がありその度に目を覚ましたような気がしたが、細切れだったとしても今回は結構眠れたような気がする。たいがいの場合恵那山トンネルまでは確実に意識があったことを思えば上等だ。高速を降り、八方に近づくにつれ山がちらちら見え始める。やはりお天気は良くなりそうだ。


白馬駅でお隣のオバサマは下車。どうぞ気をつけて行ってらっしゃい。

さわやか信州号の八方バス停はアルピコのバスターミナルとなっているのでトイレも待合室もあり準備を整えるのに丁度いい。コインロッカーももちろんあった。朝食を取り身支度を整えると八方尾根のリフト等のチケットを販売していることに気付き窓口で購入。2260円だった。結構安いじゃん。
お天気もいいし上機嫌でリフト乗り場に向かう。登山者の姿もちらほら。看板に導かれて歩いて行く。

ちょっとした準備体操になったなぁと思いながら既に数十人の登山客が並んでザックを置いている駅に到着。
が、そこで私は衝撃の事実に顔面蒼白となる。
私も適当な列の後についてザックを降ろそうとして、まず腕にぶら下げて歩いてきたダブルストックを地面に置こうとすると、様子がおかしい。

私の大切なアナザー二本足、ダブルストックの片方の先端3分の1が無くなっている。!!

ザックのポケット等を探してみたが無い。きっとターミナルから歩いている途中で落っことしたに相違ない。

道路まで戻って来し方を見下ろしてみたがそんな怪しげな落としものは見当たらない。
到着した登山客に恥を忍んで ”こんなものが落ちていませんでしたか?” と尋ねるも”気付かなかったなぁ”とのこと。

その時時刻は7時過ぎ、ゴンドラの始発は8時のはず。ターミナルまで戻る時間は十分にある。
そこでザックは置いたまま、先の無くなったストックを片手に人の流れに逆行して早足で歩き出した。ゆっくり歩けばいいのだろうが何となく気が焦ってしまう。さっき歩いたばかりの道だというのに迷ったりしながらキョロキョロと、しかもブツブツ独り言を言いながら歩く私はまるっきり不審者に見えただろう。

バスターミナルまでに見つけることが出来なかったのだが、私は”きっとターミナルで落としているに違いない”と根拠の無い期待をして建物の中に入る。
が、都合の良い期待は見事に裏切られ、そこに哀れな”先っちょ”は落ちてはいなかった。再び窓口に行き、おニイさんに尋ねるがやはり無いとのこと。

いきなりの落胆。自分のドン臭さに嫌気がさす。
が、せっかくの晴天が崩れないうちに登りたい。これ以上時間をロスするのは嫌だ。

思えばアルプスデビューからずっと日帰り登山でさえダブルストックのお世話になっていた私だが、実に5年以上ぶりに3本足での歩行を決意した。
不安はあるが一泊なので荷物は軽めだしお天気もいいしがんばろう。

朝の青空。
八方尾根が見える。

この写真を撮った頃には不幸な落し物には気付いていなかった。

出発は遅くなってしまったがゴンドラ、リフトと乗り継ぐ。

不幸な出来事はあったものの
立ち直りが早いのか忘れっぽいのか
お天気の良さに鼻歌も出る。
WOW!
鹿島槍!

その時マヌケな私はその隣の立派なお山が五竜岳だとは気付いていなかった。
hahaha...
白馬三山。

すみません。その時も通りがかりのオジサンが左が白馬岳なんて言うのを拾い?聞いて
白馬、杓子、鑓 

だと思い込みました。

せっかく夏に剣御前小屋前で居合わせたおニイさんに白馬岳を教えてもらったと言うのに・・・。

後で地図を見るまで間違っていました。
正しくは 鑓、杓子、白馬です。





八方池の向こうに・・・。

カエラズノケン

わぁ、岩場の苦手な私に縦走させるまじと力いっぱい阻んでいらっしゃるようなお姿だった。。。
本日初めて入る樹林帯。
下の樺。

樺の木?の並び方がきれいだったので
思わず撮影。

この辺りまでは写真を撮る元気があった。

あーっ!
雪渓の辺りからフラフラになりつつ登り
やっと着いたと思った丸山はまだはるか
上部に・・・。

きれいな景色だが私と同じ理由で落胆し
ていた登山者も多し。
ガスがかかってきたが紅葉がきれいな場所があった。

赤くなったナナカマドをまともに見るのは初めてだった。

丸山を越した辺りから元気が復活し、その後は思っていたよりは早く小屋に到着した。
鎖場(といっても大したこと無い)を前に尻込みするオバサマを励ましたりもした。
(生意気にも!!)
小屋に着くと向こうはいきなり剣・立山である。

感動

安堵!!

そして足が痛い!!!


山小屋の前から唐松岳

この空の蒼さ
唐松岳頂上から立山・剣

7月に歩いた稜線が見える。

剣はその時とは違った方向から見て
いることになる。

ガスが剣を隠したり晴れたり。
ちなみに白馬方面は大体ガスの中。


山頂は想像したよりは寒くはなく気持
ちが良かったので思わず座ったまま
居眠りしてしまい、
デジカメを落として液晶に傷を付けて
しまった。
(2つ目の不幸?)

看板は人気者でポーズを取る人に
しょっちゅう囲まれていました。

私も撮ってもらおっと。
でも寝起き顔?

翌朝、小屋裏のヘリポートでご来光を待ったがあいにくのガスで望めなかった。
6時頃、気付けばガスが晴れてこの光景。

立ち尽くして眺めていると、隣で眺めていた
オジサマが ”今朝3時頃きれいだったのでご来光は
いただき!と思っていたんだけどダメだったなぁ” と
嘆息していた。
そういえば満天の星を見るのを忘れていた。
きれいだったというのはやはり星のこと?
それにしても寒かったでしょう。








白馬三山の稜線もガスの上に頭を出してくれた。

2002年9月20日(金)〜9月22日(日)

8時に出発!と決めた私はデジカメを片手に小屋の周りをぶらぶらすることにした。

私のように縦走しない人、下山する人は
結構多く、のんびりしていた。







←五竜をバックに撮ってもらった。


五郎が私を登らせる!!

私の近くで写真を撮っていた若い女性と
言葉を交わした時、立山の左隣に位置する
どっしりとした山を尋ねてみると、”薬師じゃないかしら” と教えてくれた。
やっぱり!
と、するとその裾あたりから続く稜線の先は最愛の五郎ちゃんに違いない!半分以上隠れてはいるが・・・。

ストックを持っていなかったが、私はそれを確認したくて唐松にどんどん登って行った。
珍しく身が軽い。
しかし、ストック無しで頂上から降りるのは厳しいので途中で断念。(軟弱!)

でもあの特徴のある稜線は確かにごろーちゃんのものだ。
思いもしなかった再会に私は胸が弾んだ。
予定どおり下山を開始。
小屋の横手からは遠くに富士山を望めた。


雪は無くても白っぽい白馬三山をバックに
紅葉もかなりきれいだった。

下りは八方池までは三本足ながら快適に歩けた。
が、その後は観光客が多く、登りではさほど気にならなかった木の階段がつまずきそうで歩きにくかった。

でも、本当に無事に下山できて良かった。

感謝感謝