独学を支えるのはやはり各種書籍だと思う。大雑把に個人的な感想などでも。
フリークライミング
「フリー・クライミング上達方」 W・ギュリッヒ/A・クービン 山と渓谷社
故ギュリッヒによるクライミングの技術書。内容的には目新しいことはないくらい古くなってしまったが1冊にいろいろな内容が凝縮されていて今でも通用する本だと思う。5.11で頭打ちになっていて、岩場のタイプが変ると低グレードでも精神的に負けてテンション入ったりしている私にはぴったりの本。クライマーの進歩の段階についての解説は秀逸。但し絶版。
「パフォーマンスロック・クライミング」デイル・ゴダード/ウド・ノイマン 山と渓谷社
クライミングをスポーツとして捉えてトレーニング方法を解説した本。ある程度クライミングを続けてトレーニング方法等を考えないとならない段階になって読むと非常に面白い本。初心者の頃買ったがその当時は具体的なテクニックには殆ど触れてなく役に立たなかった。筋肉間協調や最大筋動員などクライミングは力だとよく云われていることの本質に触れている(ギュリッヒの本にも既に書かれている)。
「日本百岩場」 北山 真 山と渓谷社
最も利用されているフリークライミングのトポだと思う。ただ、情報が寄せ集めで間違っている記述や新しいものから岩雪時代の古いものまで混ざっていて注意を要する。ただ、編集の苦労と手頃な価格を考えれば間違っているといちいち目くじら立てるようなものでもないと思う。
小川山 御岳 三峰 ボルダー図集 室井登喜男
百岩場のボルダーのトポより詳細な内容。あまり活用していない。
「Yosemite Bouldering」 by Don Reid
ヨセミテに日帰りバスツアーに行った時(仕事で行ったので週末これがやっと)に自由時間があれば一つくらいは触れるかとわずかな望みに期待してこの本とシューズを荷物に忍ばせたが日帰り強行軍で各観光ビューポイントを巡る旅ではとても適わなかった。でも今中を見返せばBridalveil Fallや Yosemite Fallsでは自由時間で滝を見に行ったし、後者は実はバス駐車場の脇にあったのであった(でも登ってる人はいなかった)。実際バスの初対面の同乗者同士(ツアーなんで当然国は違えどアメリカの人ではない)で一緒に行動していたのでよほどオタクになりきらないといずれ登れなかったと思う。
「Rock Climbing Yosemite Free Climbs」 by Don Reid A FALCON GUIDE
いつかはヨセミテの夢の為にとりあえず1冊買った本。FALCONのシリーズは「日本の岩場」なんかと違ってREIの書棚1列を占拠するくらい沢山ある。エルキャピタンのロングルートから何から何まで1冊にとりあえず載っている。巻末のルート名索引は便利。400ページほどの厚さで$25.00。Yosemiteはこの分厚い1冊以外にいろいろなエリア/ルート別の本もFALCONから出ている。
アルパインクライミング
「Self-Rescue 」David J.Fasulo A FALCON GUIDE
A FALCON GUIDEの本は沢山あるが、どれも結構高いので技術書はこれ1冊だけ買ってみた。イラスト入りで分かり易いが英語を読むのが面倒なので普段使わないブーリンや仮固定の方法を思い出す為にたまに開いているくらい。
「関東周辺の岩場」 菊地敏之 白山書房
フリーに分類しても良いと思うのだが、越沢とか日和田とかの本ちゃんのゲレンデに行く人にはこちらの方が良いかと思う。百岩場と両方見ると微妙にグレードとか違ったりしていて面白い。
「改訂 日本の岩場」 CJ編集部 白山書房
上下巻を揃えるのはお約束。内容がかなり古いままのも多いのでこれに載っている朽ち果てたルートをグレードで判断して取り付くのは禁物。アプローチや悪さなどのマークがしっかり出ているので熟読すること。このへんが親切なガイド本とは違うところ。
「冬期クライミング」 西村 豊一 CJ編集部 白山書房
廣川氏の本がある今ではヘタレな我々はあまり開かない本。人気ルートの赤岳西壁主稜がルートグレード1級と書かれたり、八ヶ岳はゲレンデと書かれたりしていて真のアルパインを目指す人の感覚で書かれている本なので他のガイドブックと同じ解釈で読まない方が無難か?
「アイスクライミング」 廣川 健太郎 白山書房
最近は氏の本が多数出てきたので以前はこれだけという状況から改善され必須とまでは行かなくなったがこの本にしか出ていないルートもまだ多いのも事実。氏が殆どのルートを自身で登っているのもあるのだろうが内容も正確。
「最新クライミング技術」 菊地敏之 東京新聞出版局
フリー/アルパインと分類出来ない内容の本。一通り説明してあるが初心者にどう説明するか苦慮しているような内容。一般的な技術的な内容はとりあえずこれ1冊である程度事足りる。氏の思想が強く全面に押し出されているのは読む人によって快/不快が分かれる部分だと思う。
「アルパインクライミング」 菊地敏之 東京新聞出版局
菊地氏の思想が色濃く出ている本。私としては「最新〜技術2」とか「続〜」とかした方が良かったのでは?と思ってしまう。これから三つ峠や日和田に行って本ちゃんを始めようと思っている人が最初に買うと面食らうか反発を感じてしまうだろう。上記前著を読んで良かったと思う人は買うべき。
「全図解クライミングテクニック」 堤 信夫 山と渓谷社
こちらの方が菊地氏の本より具体的にイラストも交えて一通り説明してある。ボルトの打ち方まで書いてある。とはいえボルトを打つことに対して最も重要などのような場合に打って良いのかとか、今の時代にリングやRCCの説明だけで設置の手間が殆ど変らない8mmのハンガー用のアンカーの説明がないとか大事な事が欠けている。ただ、菊池氏とは対極に思想部分を排しているのならこれもありかと思う。一通りとりあえずまとめましたという感じ。でも8環の仮固定、スリングのまとめ方など他の本にはなく参考になることも多い。
「ヤマケイ登山学校 アルパインクライミング」保科 雅則 山と渓谷社
この本も絶版になっているようで入手したのは最近だが菊地氏の本と非常に内容が似ている。保科氏はアルパインでも高難度を登っているがフリーの高難度ルートも開拓しているからであろう。内容的には日本の本ちゃんを登りましょうというものとは異なっている。限られたページ数で通り一編の説明となってしまっているが氏のグレートトランゴの登攀の所だけでも読む価値はある。
「ヤマケイ登山学校 氷雪テクニック」木本 哲 山と渓谷社
内容的には冬壁メインの内容であるが、生活技術や装備に関しても細かな記述があり、ともすれば間違った解釈や中途半端な経験者の教えによる間違った装備の選び方を正す程内容が濃い。確保はブタ鼻だったりとても古いように見えるが、アイゼンでフリー化されたルートは登るべきではないとか、アイゼンで5級で物足りない人はクライミングシューズに履き替えて5.11以上を登るべきだとか全然内容は古くはない。私のお奨めする最高の本。でも最近あまり見掛けない。
「ROCK&SNOW BOOKS アルパインクライミング」遠藤 晴行 山と渓谷社
判分弱が技術書で残り半分強がルートガイド。どちらかというとルートガイド的な色彩が強い。技術書としてはページ不足であるが、ルートガイドとしては優れている。
「日本のクラシックルート」 山と渓谷社
ルートガイドを買うなら今では他にも沢山出ているので今更買わなければならない本ではないと思うが、カラーページの写真とかは現場の雰囲気を良く伝えている。情報が多い方がよいと思う人は買っても損はない。
「チャレンジ!アルパインクライミング」 廣川 健太郎 東京新聞出版局
最近になって出たガイドブック。写真も豊富で説明も詳細で分かりやすい。上下巻で結構な出費だが本ちゃんに行く人はまずは買うべき本だと思う。巻末の細かな装備等の説明も的を得ている。
「氷の世界へチャレンジ!アイスクライミング」 廣川 健太郎 東京新聞出版局
これは上の著のアイス版、ギアの説明がちょこっとあってあとはルートガイド。ゲレンデ、ロングルート織り交ぜて多数が掲載されている。ただこれを買えば全て載っている訳でもなく氏の他の著も揃える必要あり。
「実戦!オールラウンドクライミング」 廣川 健太郎 東京新聞出版局
ルートガイドと技術書の両面を備えた本。編集方針は昔あった故小西氏の監修の「実戦登山セミナー」と同じような感じ。目標ルートを設定してそれに必要な技術を解説していく内容。ルートを比較的難易度の低いものに絞って説明してあり、イラストも豊富で分かり易い。日本の本ちゃんを目指す人にはもっとも有効な本だと思う。今までこのような本がなかったのが不思議なくらいである。多くの著名クライマーの最終目標が海外のアルパインクライミングに向いている昨今、日本の本ちゃんを愛する氏の情熱が伝わる。フリーなんてやってられない、とりあえず手っ取り早く本ちゃんデビューしたいという人向き。でも小川山の代表的なクラックの解説もあったりする。価格もボリュームの割りに安価。
「改訂版 生と死の分岐点」 ピット・シューベルト 山と渓谷社
とりあえず読むのはお約束の本。内容については今更触れるまでもないでしょう。
「続 生と死の分岐点」 ピット・シューベルト 山と渓谷社
続編だからかやや重複するような内容。上記著を読んでもう沢山と思った人は買わなければいいし、少しでも危険に関する情報を増やしたいなら読むべき本。
2006.11.24記
END