本ちゃんで使うのは大抵ダブルロープである。ダブルロープの利点はロープラインを2本に分けることが出来ることによる屈曲したルートでのロープの流れの良さ、懸垂下降でロープ1本分の長さを下降出来る。ロープが軽量というのが使われる理由であろう。
しかしながらロープの伸びにより支点に掛かる衝撃が少ないなどの利点を考慮して使用している人は少ないのではないだろうか?ロープが伸びるというのは諸刃の刃でそれだけ墜落距離が延びるということでもある。私の場合はフリーのマルチではシングル+バックロープという方法を取ることも多い。
ロープの伸びによる衝撃吸収と並びに良く言われるのがロープを流して止めるということである。その為にロープの流れが良いルベルソなどのビレイデバイスが多くの人に愛用されている。
実際、本ちゃんルートを登れば判ることだが、人工登攀を除けば支点の間隔は5m以上が普通であって、もし5m間隔のプロテクションに交互にランニングを取って墜落した場合は(以下は例の為にロープの弛み、伸びは無視します)最後の支点から上に2m登っているとすれば4m墜落したところで最後の支点に衝撃が掛かり、この時点での衝撃はロープ1本にしか掛からない。そこからさらに10m(トータル14m)墜落したところでようやく2本のロープによる制動となる。ルベルソ等の流れが良いデバイスで流そうと思ってビレイしていると場合によってはかなりの距離、クライマーを落とす可能性があるということだ。日本の岩場でそこまで落ちた場合にどこにも引っ掛からずに綺麗に落ちるということは少ないのではないだろうか?
以下はそのことを証明する為に行った実験である。以前に説明用に作成したのがあったのでアップしてみることにした。
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ジムでビレイデバイスのテストをしてきました。厳密に計測してやった訳ではないので微妙な違いは感覚的な表現となります。
2条件で行いました。
条件1、8.3mm、9mmのダブルロープで5.4mの高さに9mmをクリップ、6.3mの高さに8.3mmをクリップします。
クライマーはそこから約90cm前後登ったところ(最終プロテクションからハーネスビレイループまでの長さ)で予告してフォールします。
ビレイヤーは張り気味のビレイ状態(クライマーを引っ張らない程度に)で普通に止めます。クライマーの体重65kgビレイヤーの体重72kg。
7.2mの高さから1.8mの墜落なので墜落係数は0.25です。
1. DMMバケット:ロープが細いのでダイレクトに衝撃が加わり(支点の摩擦が低い)体が持ちあがる。一番流れ難いがそれでも4m以上墜落。
2. ATC−XP:あまり流れないがそれでも体は浮き上がらず。減速して止まる前に食い込んでロックする。
3. ATC:適当に流れつつだんだん止まる。墜落距離は上記2つより長いがコントロールしやすい。
4. ルベルソ:2番目のプロテクションのおかげでグランドはしないが5m以上墜落。最初のうちはコントロール出来ずどんどん流れる。
条件2、8.3mmシングルで3.7mの高さから40cm登った所で墜落。3.7mで0.8mの墜落なので墜落係数0.21。
今度はクライマーが72kg、ビレイヤーが65kg。
1. DMMバケット:体が浮き気味に止まる。
2. ATC−XP:食い込む感じは出ず止まる。
3. ATC:やや流れるが止まる。
4. ルベルソ:マットに着地(グランド)
ルベルソは9mmにしてもマットに足が着いたところでやっと止まる。
以上です。各自で危険のないところで実際に試すのが最良でしょう。 少なくともシングルロープのフリークライミングでは不意に落ちられても上記条件でグランドさせるなんてことはありません。
2007.3.15記
END